汗をかき過ぎて喉はカラカラである。つまみを注文して生ビールで乾杯した。「うまいっ!」2人の口から同じ言葉が飛び出した。私が持参したレア物を手渡すとにやっとしての北京オリンピックの話題を振ってきた。
「閉会式にはあのジミー・ペイジが出たらしいな。お前見たんか?」
「ええ。まあ一応」
「で、どうやった?」
「‥‥‥。そうそう、佐田からも同じ質問を受けましたよ。ベッカムの面はとても良かったですが、ペイジは大根役者でしたね。腹のぷっくり出たクラプトンと同様に見っともなくて哀れでした。その点ジェフ・ベックは違います。別格というか。年々渋くなる名優のようで。決して守りに入らず攻めの姿勢を貫く、孤高のギタリスト」
「そやな。ベックはめっちゃ格好ええと思う。ペイジはやっぱりあかんか」
「はい。全然あきまへん。既に終わった人ですよ。それを無理して褒めるのはかすみ目のヅラオヤジくらいでしょう。現在がないのは非常に辛いw」
「あははは。ほんまボロクソやの」
「また扱き下ろしてしまったわ。でも本当のことですからねぇw」
その後も宮川大助・花子の漫才のような会話が延々と続いたのである。店の人はさぞかし苦笑していたことだろう。
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