読後感

歴史小説、ホラー、エッセイ、競馬本…。いろんなジャンルで、「書評」までいかない読後感を綴ってみます。

スペル

2011年09月19日 | ホラー
 監督はサム・ライミ。借金返済の延長を断った女性銀行員が、老婆に呪われるという不条理逆恨みホラー。冒頭、若き日の女霊媒師が失敗する場面で、イヤーな結末を暗示しています。
 この老婆、まずは生身の状態で、老人とは思えない腕力に加え、入れ歯、歯のない歯ぐき、ゲロなどを駆使してヒロインに挑みます。ここは笑えますね。ここで理不尽な、悪魔に売り渡す的な呪いを喰らうわけです^_^;
 このヒロイン、出世を意識したり、飼い猫を差し出したり、降霊会の場面で支店長を売ろうとしたりと、保身キャラでもあるんですが、それでも地獄に落とされるまでの言われはない。
 私は映画での(小説でもですが)「口」の描写は、上手くやれば最高にエロチックだと思ってるんですが、この映画では、最高にグロいものにもなると知りました。歯のない老婆とのディープキなんて…。でもエロとグロって紙一重。
 終盤、ヒロインは、「エイリアンでのリプリー」ばりの「戦うヒロイン」のたくましさを見せますが、中盤で頼りになるかと思われた彼氏が、やっぱり使えなかった~。A級戦犯は、「山羊への一撃をしくじった男」ですがね(^_^;)
 
 
 

荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論

2011年09月07日 | ホラー
                    集英社新書

 ありそうでなかったホラー映画ガイド(ホラー小説ガイドはあった、風間賢二「ホラー小説大全」角川ホラー文庫など)。それをなんと、ジョジョ・シリーズの荒木飛呂彦さんがやってくれます。
 100作品を10の章(ジャンル)に分けて。ゾンビもエイリアン(「SFホラー」ってジャンルがありだとすれば、そりゃあトップですね)もジョーズもソウもシックスセンスも、結構マイナーなのも、次々に紹介してくれます。
 私の大好きなスティーブン・キングで1章設けてあるのが、すごく嬉しいところ。「田舎に行ったら襲われた」ってジャンルも、なるほどアリですね。 章ごとの挿絵がまた、ジョジョ・ファンには最高です。荒木さんのホラー映画ベスト20、上位に「ミザリー」「ミスト」があるのは私と同じ(^^)v
 ホラーを通じて不条理な、理不尽な状況を仮想体験するのも人生には必要、ホラーを全く見ない、美しく正しいものしか見ない人も問題…、その通りだと思います。
 ただ荒木さん、「ゾンビは無個性で群れているのがいい。ゾンビにリーダーがいるのは許せない」が持論のようですが、その意味で荒木さんがボロクソにけなしている「ランド・オブ・ザ・デッド」、私にはけっこう面白かったです(^.^;