読後感

歴史小説、ホラー、エッセイ、競馬本…。いろんなジャンルで、「書評」までいかない読後感を綴ってみます。

死のロングウォーク

2010年03月19日 | ホラー
                スティーヴン・キング   扶桑社文庫

 これが大学1年の時のボツ原稿!たしかに不自然な部分も多いけど(参加に至る葛藤が少ない、無駄な動きをしまくった主人公が回復する、人種構成が偏っているなど)、それを補って余りある表現力。とくに痛覚や体の不調を表現する力が抜群。誰もが経験したことのある感覚から、極限状況にある登場人物の状態が推測できる。
 速度が一定以下に落ちたものから射殺され、最後の一人になるまで歩き続ける競技。ものすごく怖いし、感じる痛みはリアルなんだけど、スポーツを観るようなエンタテイメントでもある。
 後書きやよくある解説に「近未来の全体主義のアメリカが舞台」とあるが、それは違うと思う。ロングウォーク以外では、人々は普通に自由に暮らしているようにみえる。