読後感

歴史小説、ホラー、エッセイ、競馬本…。いろんなジャンルで、「書評」までいかない読後感を綴ってみます。

神州纐纈城、マンガ神州纐纈城

2008年01月07日 | ホラー
国枝史郎 河出文庫  (マンガ版)石川賢 講談社マンガ文庫

 amazonで原作を検索したら石川さんのマンガ版も発見、一緒に注文した。マンガから読んだけど、どちらも違った味でそれぞれ楽しめた。戦国末期、仮面の城主が君臨し捕らえた者の生血を絞る本栖湖の纐纈城、富士の裾野の謎の宗教団、両者に因縁を持つ武田の家臣、仮面作りの美女や塚原卜伝まで登場しての謎めいた物語。
 原作はまさに伝奇小説という感じで、三島由紀夫さんの評論(ホントに文庫版のあとがきに使われていた)にもあるとおり、一部の表現はポーを彷彿とさせるほど妖しく美しい。前半はおどろおどろしく、後半になるほど静かで格調高い。
 マンガ版では、原作にない纐纈城吸血軍団(原作では一応人だがこちらはモンスター)と織田軍や武田軍との戦いも描かれ、戦闘アクションとして息もつかせない。最後は輪廻転生がらみの因縁(これはありがち)から纐纈城落城へ。
 マンガ版あとがきでの石川さんの小説・マンガ表現対比論は秀逸。「原作と読み比べて欲しい」とあったが、読み比べて良かった。