読後感

歴史小説、ホラー、エッセイ、競馬本…。いろんなジャンルで、「書評」までいかない読後感を綴ってみます。

暗黒神話

2008年03月13日 | マンガ
                  諸星大二郎       集英社

 最初に読んだのは30年くらい前だろうか。最近マンガ文庫で再登場。諸星大二郎氏の最高傑作ともいえる、神話ベースのファンタジー。
 神話、歴史的事実、謎、遺跡、怪しい文献、自然現象の断片をつなぎ合わせてストーリーをつくるのは、星野宣之氏の宗像教授シリーズ(これも好き)などにもみられるが、これがなかなか難しい。知識や趣味の広がりと感性が問われ、一つ間違うと底が浅かったりマニアックになりすぎたりする。
 ここでは邪馬台国、ヤマトタケル、国譲りなどの神話や各地の古代遺跡をめぐる謎解きが「馬」をキーにして、宇宙とのつながをほのめかしながら進められる。そして奇想天外な結論へ。「アレ」が宇宙の彼方と地球近辺を行ったり来たりするのは強引きわまりないが、56億年の弥勒神話でねじ伏せてしまう(^.^;。
 印象的なのは、主人公が眺めるラストの地球の風景。ここに収斂させるのは流石!餓鬼の一匹が卑弥呼だと思うと笑えるが、結局一番長生きなんじゃないの?