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ケイシロウとトークアバウト

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ロボダチ

2022-08-23 23:40:00 | 日記




タワラという家族があった。
ここにシゲルという50代のエンジニアがいて、
20代でニートしているヤスチカという一人息子と、
別居している80代の父シゲゾウの存在に悩まされていた。
ヤスチカとシゲゾウの共通点は、
コミュ症ということで、
息子は働かず、
父親は、
デイサービスに行かないで孤独に過ごしていることやった。
そこで、
シゲルは考えた。
この二人を一石二鳥に解決しようと。
(ケイジロウ、レフティ。ケイイチロウにも言ったが、一石二鳥という言葉ほどミョーなもんはない。フツー、どんなに運動神経良くても、一個の石を二羽の鳥にぶつけることは不可能。また、鳥獣保護法という観点からも、一石二鳥という言葉は敬遠しないといけない)

シゲルはヤスチカが、
専門学校時代にチープ感漂うロボットを作っていたことを知っていた。
それで、
ヤスチカに、
ロボットの中に入って、
ロボットのふりを二週間ほどして、
シゲゾウのところに居て欲しいと頼んだ。
報酬は20万とのことやった。
ヤスチカは、
体が小人症かと思われるほど身長が低く、
専門学校時代の友達から、
ロード・オブ・ザ・リング旅の仲間、という長いあだ名を付けられるほどやった。
(あんまり長いあだ名やったから、そのまま露骨にホビットと呼ばれたらしい)
ヤスチカは父親の申し出を断りたかったけど、
懐がツンドラ気候やったから、
20万に消費税10%付けてもらうことで合意した。

それで、
ヤスチカにロボットの中に入ってもらい、
シゲゾウの家まで車で行った。

シゲゾウは、
若い頃から剣道をしていたので、
その日も、
自宅の庭で竹刀で素振りしていた。
シゲルが来たので、
竹刀を持ったまま、
客間に行った。

シゲルの横に座っている、
ヤスチカが入り込んだロボットを見て、
シゲゾウは、
「ガラクタ集めか?リサイクルショップでも開く気か?」と問うた。
ロボットの中のヤスチカは、
黙ギレ😡した。
シゲルは、
「これはガラクタじゃありません。AKI(アキ)9000型の友達ロボットです」と説明した。
シゲゾウは鼻で笑い、
「『2001年宇宙の旅』のHAL(ハル)9000型よりはレベルが高いということやな」と冷やかした。
シゲルは、
「まぁ使ってみてください。二週間後に引き取りに来ますから」と言った。
シゲゾウはこの二週間という意味を思案した。
おそらく、
二週間以内に、
介護士探す魂胆やと、
息子の策略を見抜いた。
シゲルはロボットを掌🫲で叩き、
「こいつは父さんのロボダチですよ。14日間の友情を育んでください」と言い、
立ち上がって家に帰った。

シゲゾウはロボットに、
「腹減った。ナニか出せ」と言うと、
ロボットは、
「かしこまりました。カップ麺買って来ますので金ください」と言うと、
シゲゾウは竹刀でロボットを叩いた。
フツーなら、
痛みの感情を出すところを、
ヤスチカはグッとこらえて、
「衝撃でエラーメッセージが認証されますとアカウントの再設定を要求されます」と言った。
シゲゾウはロボットをスルーして、
コンビニおにぎりを3つほど持ってきた。
食おうとしたら、
ロボットもおにぎりに手を出してので、
「バッテリー充電で充分やろが😡」とキレて、
竹刀でロボットを叩いた!
ロボットは、
「私はロボダチですので、お友達との周波数を保つ為、おにぎりを食べるのです」と言い返した。
シゲゾウがどう言う意味やろか🤔と考えてた隙に、
ロボットは、
おにぎりを口部の蓋に落とし込んだ。
当然、
中にいるヤスチカが食うので、
ロボットの右手がダラんと下がった。
が、
慣れない環境でおにぎり食ったので、
ご飯が喉に詰まり、
苦しげにシゲゾウに、
「水補給承認のデータが出ています」と言った。
シゲゾウは訝りながら、
ペットボトルの水を持ってきた。

ヤスチカが入ったロボットは、
トイレから睡眠をとることまで、
シゲゾウとの友達周波数を同調させるためと言って、
納得させた。

しばらくして、
シゲゾウは、
ロボット連れて、
久しぶりに、
デイサービスに行った。
目当ては、
旦那に先立たれた昭和20年代のミス東京足立区の、
キョウコやった。

シゲゾウが、
昼休みに、
キョウコに話しかけようとしたら、
マツダとタケダとウメダという、
性悪松竹梅ジジイどもが現れた。
そして、
マツダが口をもごもごさせて、
「😜☆☆××😂😂」と言って笑い出したので、
タケダが入れ歯を持ってきてマツダの口に入れてやった。
するとマツダは、
「ほぉ、まだお前が生きとったとは、笑えるだけ笑えるわ」と改めて馬鹿にして、
笑った。
ウメダはシゲゾウに背を向けて、
「シゲゾウ。人が話してる時に背を向ける奴があるか⁉️」とインネン付けていた。
ロボットが、
性悪松竹梅ジジイ達に、
「あなた方の脳波データが確認出来ません。頭にルーターを埋め込んでプロバイダー契約をとられてください」と言った。
するとマツダがキレて、
「頭でルート計算してプロペラ機買えだと🤬⁉️」と叫んで、
ロボットの股間に蹴りを入れた!
ロボットは股間を押さえて横になり、
「回線の不具合が生じました!」と言って苦しんだ。
マツダは足を抑えて悲鳴を上げ、
医療室へと連れられて行った。

シゲゾウがロボットを立たせていると、
キョウコが来て、
「賢いロボットね」と褒めると、
シゲゾウは恥ずかしそうに、
「機種代3割引のふつつかなオンラインものでございます」と訳の分からん説明をした。
すぐに、
ロボットは、
必死にシゲゾウの魅力をキョウコに現代風な売れ込みをして、
ほめまくった。
キョウコとシゲゾウは仲良くなり、
この日を境に、
シゲゾウはデイサービスの常連となった。
また、
ロボットとも仲良くなった。

二週間が経った。

シゲゾウとロボットの別れの日。
シゲゾウはロボットに、
「ワシには白雪姫と仲良くしてたモンの一人(小人を仄めかしている)が孫になってるが、今まで爬虫類扱いをしていた」と呟いた。
ロボットにいるヤスチカはキレることなく、
大人しく聞いていた。
シゲゾウは掌を目頭に当てて、
「けど、かわいいやつやと言う本音が言えんかった。エエ孫なのに」と言って嗚咽した。
ロボットも、
近くにあった布を顔に当てたので、
シゲゾウは、
「ロボットのくせに泣くな!」と怒鳴って竹刀で叩いた!

シゲルが上がり込んで来た際、
シゲゾウは小声で、
「電気代や」と言って、
ロボットの穴部分に、
封筒を押し込んだ。

シゲルとともに家に帰ったヤスチカは、
二週間ぶりに、
ロボットから外に出たが、
きついとは思わなかった。
シゲゾウが渡した封筒の中には、
50万円😳入っていた。
ヤスチカは涙が溢れ、
「じいちゃん」と呟いた。
ズバリ、
最初っから、
正体モロバレやったということになる。

その後、
キョウコの息子でイベント企画を経営している会社社長から、
ヤスチカを雇いたいとの申し出があり、
ヤスチカは、
こうして、
脱ニートを遂げて、
スーツ族としての会社勤めの日々を送ることとなった。