
ケイジロウ。
かつては、
男が、
一人の慰めを求めて、
ピンク映画館に足を運んだものや。
4k大型テレビで18禁を見るのもエエけど、
独り暮らしならともかく、
家族がいたら、
見つからないように冷や冷やモンとなる。
けど、
薄暗がりの中、
大画面に、
自分の情欲が満たされるそのとき、
ピンク映画館の存在に、
ありがたさの一念が芽生える。
今から20年前、
イマバヤシという男が、
とある雑居ビル内で、
新装開店の、
ピンク映画館を見つけた。
が、
看板やポスターの類いがなく、
こういう大見出しがあった。
『超絶にして究極の幻ピンク映画上映。
7チャンネルステレオ音響。
ハイエストクオリティ画質。
驚愕の二時間をあなたに---』
すぐに、
イマバヤシは中に入った。
腰の曲がった婆ちゃんが、
特別料金5000円と言ったので、
帰ろうか😠と思ったが、
懐の余裕があったのでコラエた😖
売店に、
ピンク映画友の会永久会員募集というチラシが目に入り、
入会したら、
今後の上映無料と、
ピンク映画ビデオ10本の特典付きとあった。
入会金は5000円やった。
ためらうことなく、
イマバヤシは入会した。
席に座った。
自分を含めて5人しかいない。
しかも、
女性が三人で、
中でも一人は未成年と思われる。
映画が始まった。
タイトルは、
「究極のピンク映画」やった。
ピンク色の画面が現れ、
色欲をそそる。
が、
いつまで経っても、
画面がピンクのままやから、
イマバヤシは、
売店の婆ちゃんにインネン付けに行った。
婆ちゃんは困ったように、
なにごとか呟き始める。
イマバヤシがキレると、
背後から、
さっきのお客たちがやってきた。
婆ちゃんは、
「支配人!」と大声出した。
支配人と名指しされた客の面々は、
若くて可愛い女性と、
気の強そうな美人女性、
デブい刺青オンナ、
頬傷の大柄な男の四人やった。
(2020年7月22日『いなり寿司はオムライスの夢を見るか?』、2020年9月3日『鷹威処屋(たかいとこや)』の二記事参照)
気の強そうな美人女性がイマバヤシに、
「お客様。何をわめかれてるんですか?みっともない!」と邪険に言ったので、
イマバヤシは、
「究極のピンク映画とかぬかしやがって!画面がピンクのままやし、7チャンネルステレオもねえやないか😡‼️」とガチギレ!
美人女性はせせら笑い、
「お客様。この映画はそういう内容なんです。それに無音を7チャンネルステレオで流して差し上げておりますのに」と言った。
イマバヤシは「インチキや❗️金返せ‼️」と更にキレた!
そしたら、
デブい刺青オンナが、
「ケッタイなこと言わはる。二時間ピンクの画面見て、芸術に浸ることがこの映画のテーマどすえ!」と言う。
頬傷の大柄な男は、
「ナニや❓あんさん⁉️お前方のバラしドキュメントでも撮って欲しいんか❓」と凄む!
イマバヤシは泣き出して、
「それでも警察に言ってやる!」と大声出した。
そしたら、
若くて可愛い女性が、
「芸術鑑賞に来たんじゃないの❓嫌がらせなのね⁉️」と言って、
近くにある支配人室に、
「じいちゃん‼️」と叫んだ!
そしたら、
支配人室から、
白装束の痩せこけたキツネ顔のジジイが現れて、
「インネンつける者は、コンコン様の呪いを受ける」と言って、
太い数珠を取り出した。
若い女性はイマバヤシに、
「じいちゃんは、コンコン教の宮司様なのよ!!」と凄んだ!
イマバヤシはせせら笑い、
「ナニがコンコン教だよ!金光教って言うんだよ!!馬鹿だな!俺のおばさんが信者なんだよ!!」と食ってかかった!
若い女性は呆れて、
「ナンなのこの人😩❓知性も教養も無い人だわ❗️コンコン教と金光教を同じものだと思ってるんだから」と言った。
ジジイが祈り出したので、
怖くなったイマバヤシは、
そのまま逃げ帰った。
当然、
いつもながらに、
被害届が出され、
ここに初めて、
誰も知らない、
『コンコン教を憂慮する会』が結成された。
尚、
その後、
イマバヤシの元に、
差出人不明の小包が送られた。
中には10本のビデオテープが入っていて、
全部、
若干の濃度の差があるだけの、
ピンク色の画面だけの内容の物やった。