オリンピックの夏だからか、どの作品もスタートが早くて、もうすでに3話目を観せてくれたドラマもある中
やっぱり大本命は生方美久脚本だろう
毎年夏ドラマに傑作は無いと思っていたが、この暑い夏はちょっと違うかもしれない
「海のはじまり」
丁寧に丁寧に、染み渡るような余韻をもって喪失感が優しく心を震わせる
生方美久の脚本はセリフやナレーションなんかで誤魔化さない本物のドラマを観せてくれる
前作がいささか主張が過ぎてしつこい後味だけが残る失敗作だったし、なんと言ってもあの月9枠。大昔は傑作を多数生み出していたフジテレビの看板枠だったのに、今や駄作を観るならこの枠で決まりみたいな酷さが続いているので嫌な想像しか湧かない
1話から3話まで二回観直して、これはひょっとして「silent 」を超えるような傑作になるのではないかという予感がする。生方美久の前職が助産師だったことを考えると上辺だけの感動ありがとう物語になろう筈もなく、重いかもしれないけどチープな感想で除外するのは余りにも短絡的だろう(まあ、その程度の人はこのドラマを観なくて良いし、ピントのずれた感想述べられても作品が穢れるだけなので早々に離脱して欲しい)
目黒蓮のために書き下ろされたとしか思えないナイーブな佇まい。天衣無縫のようで深い洞察を感じさせる古川琴音の瞳。抑えた演技が孤独感を際立たせてくれる有村架純を観れたのは有難い。わかっていたけど、大竹しのぶの凄さに打ちのめされる、あの目線呑み込む言葉尻の哀愁。そして、泉谷星奈ちゃんの健気さ
もしかしたらとんでもない名作ドラマにわたくし達はめぐり逢うのかもしれない
「マウンテンドクター」
初回で脱落しようかと思ったけど、2話目に持ち直したかも
大森南朋や檀れいに変な演技させているのは狙いなんだろうか?
岡崎紗絵に僅かな期待をしながらもう少し様子見してみる
「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」
NHKらしい攻めのドラマ。こういう作品をサラッと作ってしまうから受信料払っちゃうんだよなぁ
今年になって急に、私が発見しました的に紹介される河合優実が主人公。地上波より先にBSか何かで放送されたみたいで、その時は彼女がブレイクする前だったから特に目立った評判は聞いていない
大方、大衆が目を向ける頃になって過去の作品も見直され、こうして地上波に登場できたのだからありがたいことには変わらない。映画「愛なのに」を観たあとの感想に河合優実の名前を覚えておこうと書き記したのは2年半前だったか、あの頃の女子高生となんら変わりはしないけどこんなにも期待される女優になろうとは思いもしなかった
ドラマは題名通り、思いっきり家族を描いている
父親は既に亡くなり(そんなんだったら死んでしまえ。と捨て台詞を吐いたあと実際死んでしまったというエピソード付き)弟はダウン症を抱えている。家計を担っていた母親が病に倒れ下半身不随で車椅子生活を余儀なくされ、派手好きで多少アウトローな祖母との4人生活が始まる
最近社会問題になっているヤングケアラーの厳しさを描くのかと思えばそんな事はなく、慎ましいが決して悲観的な向き方ではない乾いたポジティブさがある。学校の友達(マルチってあだ名の由来も面白い)との絡みも風変わりな味で楽しみだ
「新宿野戦病院」
クドカンの悪いことが集まっちゃったかな
一人一人の登場人物は魅力的で面白いのに、集団劇になると煩いだけで胃もたれしてしまう
歌舞伎町にある怪しげな病院を舞台に、米軍医上がりの女医が命を助けるためだけに奮闘するお話だけでも充分面白いのだけど、クドカンは過剰に詰め込み過ぎて崩壊させてしまっている。最近の快進撃で誰も彼の間違いを指摘できないのか
「降り積もれ孤独な死よ」
これまた視聴する動機はあいみょんの楽曲が使われるからだけで、ドラマそのものの興味はほとんどない
いまどき陳腐な警察組織を見せられてもなあ。あんな学芸会みたいな刑事ごっこはウンザリだ
リアルにするのか思い切り端折るのかセンスだな
「光る君へ」
停滞気味
ここを乗り切るのは少々厳しいかも。選挙やオリンピックで中断せざるを得ないNHKのジレンマもある
早いとこ内裏で才覚を披露して、政争に絡むようになれば面白くなろうに
「虎に翼」
こちらも停滞気味
裁判官として一人前になるために新潟へ赴任するけど、親子の絆なのか仕事のスキルアップなのかがぼやけているので退屈に感じてしまう。やっぱり早いとこ家裁に戻り、軋轢と闘いながら奮闘してほしい
それにしても、岡田将生との絡みはどうなるのだろう。なんか不思議なキャラ設定で掴めない