映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

波紋は広がったのか

2023-05-29 09:51:00 | 新作映画

久し振りに映画の連チャン
20分の間隔で2時間の映画を観るのも結構疲れる
2本目は波紋

荻上直子監督は傑作「かもめ食堂」のみでしか評価していないが、あの独特な間合いは他の作家には真似できない個性だと思っていた。今作品もてっきりあの弛緩したゆるさが映画全体を覆うのかと思っていたら、なんだか普通のリズムにしか感じられなくてちょっぴり肩透かし

遠雷の音がするある日の夕方、庭の花に水やりをしていた夫が蒸発する。一人息子は遠く離れた地で就学就職をして、郊外の立派な家の居間には新興宗教に捧ぐ祭壇と自分を浄化させてくれるという水のボトルが並ぶ。発端が東日本震災である必要性はコロナ禍を経験した今となってはやや陳腐かもしれない

新興宗教の集会で踊る奇天烈な動きが荻上作品らしいと言えるか
更年期障害に苦しむ主人公のもとに蒸発していた夫が帰ってくる。癌を患っているから保険適応外の薬代をせがまれ、一滴ずつ落ちる点滴に合わせ金額を呟くのも面白い演出だった

夫が凝っていた色取り取りのガーデニングは単色の枯山水になっていて、水がないのに波紋が描かれている
ご近所の猫もパート先のクレーマーも心に小さな波紋を作る。夫は安寧な生活を乱し、在ろう事か突然帰省した息子は6歳年上の難聴女性と結婚すると言う

夫が死んで、また一人になった彼女の心に何が去来するのか
わたくしには分からない
半径の狭い映画がダメなわけではなくて、それを普遍的に描けないと一部の人にしか刺さらない作品になってしまうという事だ。そこがかもめ食堂との決定的な違い

筒井真理子、光石研、磯村勇斗 みんな上手い
木野花の充実ぶりも何かの賞で喧伝されると良いな



最早ホラー顔の二人 最後まで行く

2023-05-28 16:43:00 | 新作映画
韓国映画をリメイクしたと聞いていたので全く観るつもりは無かったんだけど、かなり評判も良いし信用できる方のブログ記事も観るべき映画だと書かれていたので今年藤井監督作品2本目です

原作映画観てないからなんとも言えませんが、何しろお話が良くできているんですよ
こんなに面白いお話ならリメイクしたくなっちゃいますね。大昔、黒澤のチャンバラ映画を観て欧米人がこぞってリメイクしたのと同じですね

前知識付けないで観るべきだと思うので物語は語りませんが、そんなにも奥があったんかい!?
と、唸る筈です。今度機会があれば原作を観てみたいと思います(プライムビデオでやってませんでしょうか?)

藤井監督の職人技がうまく発揮できた成功例ですね
前作の感想にも書きました通り、職人監督で終わって欲しくはありませんけれど、薄っぺらい政治の闇とかを匂わせない方がすっきりしてエンタメ作品としての純度が上がります

岡田准一と綾野剛の対決はもうホラーですよ
顔怖いから

可笑しみのある超アクションムービーとしてわたくしもおススメしたい一作です
ただし、題名はあれで良いんでしょうか?わたくしには意味がわかりませんでした









リニアが跨ぐ川

2023-05-21 15:25:00 | 釣り

五月も中旬過ぎると魚も散ってくるので釣りが楽しくなる

田原滝上流の蒼龍峡に入渓しようと朝イチで駐車場に到着したけど、水量が多くて今回は見合わせた
こんな時は東桂の滑床上流が面白いかなと車を走らせる

放流物の山女魚がいくつか釣れるけど、大型や美形には出会えない
取水堤から上流は虹鱒ばかりになり境橋まで到着

小さな駐車スペースには四台もの車がひしめいている
とっとと場所を譲り、次の入渓地点である鹿留合流から釣り上がる




川幅が狭く両面護岸されているので竿は6・1mの短いものを使う
15cmに満たない虹鱒の幼魚がうるさく餌を追う

それでも大場所には尺を超えた美しい虹鱒が跳ねる









この後あきらかに50cmオーバーのモンスターや瀬を急スピードで遡るパワー魚が掛かるけど、ゼロ調子の短竿に04の糸では太刀打ちできず
カウント400まで頑張ったのに、ことごとく糸を飛ばされ玉網にはおさめられなかった
それでも楽しかったから満足。固い竿太い糸なら漁れるだろうけど、一本竿の楽しみはこの刹那なのだ
ルアーやフライでは味わえない歓び




東桂の取水堤から吐き出される水飛沫
時たま濁りが入り、田植えが始まったことを知らせてくれる




夜、天気が不安なので車中泊

翌朝、落合の周辺でお茶を濁す
放流虹鱒が弱いアタリで釣れるけど、相変わらず渓相の割には魚影が少ない

頭上にはリニア新幹線
謎の静岡県知事が反対しているから、いつになったら完成するんだろう?
完成しても、長らく実験線として場所を提供していた都留市には何のメリットも無い
今は世界で唯一リニア新幹線に搭乗できる窓口なのに、名古屋に行くにせよ東京へ出かけるとしても、何倍もの労力と時間とお金を使って甲府に出るか橋本まで行く必要がある。なんだかなぁ。結局、大都会に住んでる人の利便性に良いように使われているだけだ






100mしか離れていない小さな鉄橋上を超ローカルな富士急がトボトボ走って行くのも
なんだかあわれ











推しのいる生活が生きるための原動力

2023-05-15 18:36:00 | 新作映画

推しの対象って別にアイドルじゃなくとも良くて、身近で言えば家族とか恋人とかが一番の推しだよね
好きな奥さんのためや子供のために毎日這い蹲って仕事するのも立派な推し活だもの

応援したくなる気持ちって尊いなぁ。そんな風に最近とみに思う
人生2/3を過ごしてきたから、これからは自分のことより頑張っている誰かを応援したいと思うようになってきた



この映画は深夜ドラマで観ていたドルヲタに会いたくて、結構楽しみにしていた
映画的な良し悪しなんていう価値じゃなくて、地下アイドルを目一杯応援するその熱量を感じたかったんだ

ドラマでは地下アイドルを応援するえりぴよやクマサに焦点が絞られていたのに、映画版はアイドルの比重が多い
まあアイドルあってのヲタなんだけど、観たかったのは熱狂的なヲタクの生態だから少し残念

続編やるならまた深夜ドラマで、ヲタの活動をじっくり観せて欲しいな

乃木坂46でトップアイドルだった松村沙友理が地下アイドルの推しをやるのって皮肉だけれど、
そうやって新陳代謝されていくのがアイドルの宿命なんだと逆説的に語られているようで面白い







MERが横浜にやってきた

2023-05-09 19:33:00 | 新作映画
テレビドラマが面白かったので映画化された作品も観たいと思ってました

想像通りの作りでしたが、年に1〜2本映画館で映画鑑賞する人には充分楽しかったと思います

鈴木亮平や賀来賢人は結構この役を楽しんでやってますよね

石田ゆり子の都知事が一番楽しそうかもしれませんが


何だかこれからもシリーズ化しそうな塩梅です。作るならある程度金かけた映画版がいいと思います


それにしても自分の住んでる街にあるビルが炎上するのはスリリングですね

撮影してたなら見たかったなぁ。エキストラで参加しても良かったなんて思いました