フランスであろうが韓国であろうが、是枝監督が描く家族はいつもと同じ。トゲトゲばかりじゃなくてどこか安心してお休みできるフカフカな場所がある
ソン・ガンホという役者は、そこにいるだけで人間の本来もっている優しさと言うのか、包容力の様なものを醸し出せる能力があると思う。それも優等生的な雰囲気ではなく、どちらかと言えば底辺に近い弱者で小市民的であるから説得力がある。傑作「殺人の追憶」以降ポン・ジュノ監督作品には欠かせない役者だけど、韓国映画の名作には常に登場している感まであるから凄いものだ
タイプは違うけど、是枝監督が贔屓しているリリー・フランキーを上品にした感じかな
彼無しではこの映画は成立しなかった。初っ端から捨て子を誘拐しブローカーである事が分かるけど、所謂人身売買の様な非道さが感じられないことが物語に嫌悪感を持たないまま入っていける要因だ。子を捨てた母親もゆくゆく検挙しようと張り込む女性刑事達まで、遺棄せざるを得なかった子供への未来に踏み込んでいくところは「万引き家族」のネグレクトされていた少女を見ているようだ。その優しさを導き出しているのが、そのままソン・ガンホの持ち味なのだ
アジア人特有の家に縛られている社会形態が根底にあるから、我々日本人にもしっくりくるんだろうと思って観ていた。是枝作品にしては役者の比重が高いとは思うけど、なんで日本映画として作らなかったんだろうか?樹木希林を喪って以降ずっと海外での撮影が続いているのも気掛かりなところ
次は日本の家族を正面から描いて欲しいと思う