一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

海抜0mから登る六甲全山縦走…伝説の単独行者・加藤文太郎の足跡を辿って②

2012年11月07日 | 海抜0mから登る六甲全山縦走・単独行
ここからは「六甲全山縦走」の後半部②になります。
前半部の①をまだお読みでない方は、
コチラ(←クリック)をご覧になってから、お読み下さい。

10:29
「菊水山」山頂を出発。




美しい縦走路を下って行く。


途中、模型のような、箱庭のような住宅地を見つけた。


10:51
天王吊橋を通過。


鍋蓋山にとりつく。
ここもかなりの急坂。


途中、見晴らしの良い場所があり、
振り返ると、先程までいた菊水山が見えた。


急坂から穏やかな道に変わると、


11:24
「鍋蓋山」(486.2m)山頂に到着。
それほど暑くはないが、水をガブガブ飲む。
躰が水分を欲している。


ここから先も美しい縦走路が続く。


11:52
大龍寺に到着。




久しぶりの自販機。
水がなくなりかけていたので、ここで水を補給。


12:11
市が原を通過。
雰囲気の好い素敵な場所だった。


12:13
桜茶屋を通過。


稲妻坂にさしかかる。
ここから摩耶山山頂までは、菊水山手前の急坂に続く第2の難所。
須磨海岸を出発して、すでに8時間が経過している。


この頃から急激に疲れを感じるようになり、登りをキツく感じるようになる。
軽装の地元のハイカーに次々と追い抜かれる。
美しい女性のハイカーにも抜かれ、ガックシ。(笑)


13:10
天狗道に入る。


13:38
山頂直下のコロコロ坂へさしかかる。


13:57
掬星台(690m)に到着。


途中で一緒になった中年男性のハイカーが、
「掬星台が摩耶山の山頂ですよ」
と言っていたので、
山頂を踏んだつもりになっていたら、
地図を確認していたら、別の所に三角点があった。
来た道を少し引き返し、
14:02
「摩耶山」(698.6m)山頂に到着。
距離的には、ここが六甲全山縦走の中間地点だそうだ。
もう10時間近く歩いているのに、ここがまだ半分とは……


掬星台に戻り、展望を楽しむ。
素晴らしい眺め。


掬星台周辺は、紅葉も見頃を迎えていた。


再び歩き始める。


アゴニー坂を下る。


14:30
杣谷峠に出る。


14:42
間違えやすい分岐。ここは右へ。


15:09
三国池分岐に到着。
地図は直進になっているが、
(左下の)新しい道標は、右(車道へ)を指し示している。
よって、右へ進む。


15:22
丁字ヶ辻に到着。
車道の案内ではあるが、「宝塚」の文字があって嬉しくなる。
だが、もう夕刻が迫ってきている。


15:41~15:45
記念碑台に立ち寄る。
「六甲山の開祖」といわれるグルームさんの胸像。


六甲山山頂の標識があったので、パチリ。(だが最高峰ではない)


記念碑台から先へ進んだ地点で、道を間違えた。
〈なんかおかしいな~〉
と思いながらも、地図もGPSも確認せずに、ずんずん進んで行く。
この時点で疲れがピークになっていたのだろう、
精神状態も普通ではなかったような気がする。


オルゴールミュージアムという建物のある場所まできて、
やっと道を間違えたことに気づく。
地図で確認すると、六甲全山縦走路を大幅に外れている。
この時刻、この地点で道を間違えるとは、致命的なミスだ。
〈もうリタイアしようか……〉
〈このまま進めば縦走路に戻れそうなので、このまま進むか……〉
いろいろな考えが浮かんでは消える。
道を間違えた場所まで戻り、正しい縦走路を歩き直すのは、かなりの時間のロスになる。
〈今夜の高速夜行バスに間に合わなくなるかもしれない……〉
精神的にも肉体的にも疲労のピークにあったが、
どこかにまだ正常な判断をする力が残っていたのだろう、
〈やはり戻ろう!〉
と決心する。



16:20
道を間違えた地点まで戻ってくる。
右の緑色の道へ右折しなければならないのに、直進してしまったのだ。


ゴルフ場のフェンスネットをくぐって進む。


16:38
みよし観音を通過。


16:44
六甲ガーデンテラスに到着。


日が沈み、次第に暗くなってくる。


16:58
極楽茶屋跡を通過。

17時を過ぎると急速に暗くなった。
ヘッドランプを点灯して歩く。

17:42
「六甲山最高峰」(931.3m)に到着。
暗闇の中で撮影。
リタイアをするには、ここが最終判断場所だが、
前へ進むことをあらためて決意する。


17:52
鉢巻山トンネルを通過。


17:55
石宝殿を通過。


18:00
縦走路分岐点にさしかかる。
ここより左へ。
ここへ入り込むと、エスケープルートはないし、
最後まで突き進むしかない。




宝塚まで12km。
真っ暗闇の中を、急ぎ足で3時間ほどの歩行となる。


時折、フラッシュで写真を撮るが、何にも見えず。(笑)


道標があるとホッとする。


とにかく道を間違えないように慎重に進む。


なんだか同じ所をグルグル回っているような錯覚に陥る。


道標に励まされる。


19:04
林道に出る。


林道からやや外れた場所に、大平山の山頂がある。
19:08
「大平山」(681m)山頂に到着。




19:17
再び山道(縦走路)へ。


暗闇の中、何度も写真を撮るが、どれも同じような感じ。(笑)


車道へ出るが、


横切るだけで、再び山道へ。


〈塩尾寺はまだか!〉
と思いながら、ひたすら歩を進める。


犬の遠吠えが聞こえてきた。
塩尾寺で飼っている犬だろうか?


20:15
塩尾寺に到着。
ホッとする。
ここからは車道歩き。


宝塚の街の灯が見えてきて、
嬉しくなり写真を撮っていたら、


背後からラジオの音が聞こえてきたので、振り向くと、
ヘッドランプを装着した人が下ってきた。
話しかけると、その方も縦走路を下ってきたとのこと。
20:25
K・A氏に出会う。

訊くと、何度も六甲全山縦走されている方で、
六甲全山縦走大会にもすでに4回出場されていて、
今年で5回目だそうだ。
今日は、練習と下見を兼ねて、六甲全山縦走路の半分を歩いてきたとのこと。
一緒に宝塚駅に向かいながら、
全縦(六甲全山縦走の略)のことをいろいろお訊きする。
六甲全山縦走大会は人気があり、
応募が殺到して、最近ではなかなか参加するのが難しくなっているが、
必ず参加できる裏技(笑)なども教えて頂いた。
〈来年は応募してみようかな~〉
とふと思った。
私のことも訊かれたので、
九州から来たことを告げると、大変驚かれていた。
「九州からやってきて、初めての六甲全山縦走を、単独で、一日でやってしまったんだから、大したものですよ」
そう仰って頂いて、なんだか嬉しかった。


20:48
宝塚駅に到着。


須磨海岸から歩いた分や、
道を間違えて余計に歩いた分も入れて、
約17時間で到着。(笑)


ちょっと時間がかかり過ぎたけど、
17時間かけて六甲山系を存分に楽しませてもらったと思えば、
なんと贅沢なことよ……と思う。




三宮へ戻る電車の中で、
今日一日のことを反芻してみる。
歩いているときは、
〈もう二度と来ないぞ〉
と思っていたが、(笑)
歩き終わった今は、
〈また歩いてみたい〉
と思っている自分がいた。
不思議な感覚だった。
歩いている途中、K・A氏はもちろんのこと、多くの人々との出会いがあった。
励まして頂き、元気をもらった。
六甲山系を歩いているあの素敵な人たちに、もう一度会いたいと思った。


伝説の単独行者・加藤文太郎が歩き、
今は、関西をはじめ、全国の登山者・ハイカーに愛されている六甲全山縦走路。
〈本当に歩いて良かった〉


高速夜行バスにも間に合い、
翌朝、無事、佐賀に帰ることができた。
ちょっと無謀な極私的弾丸ツアーだったけれど、
存分に楽しめた2日間だった。
……すべてに感謝!

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