五行目の先に

日々の生活の余白に書きとめておきたいこと。

カフェ・ラントマン

2011-11-29 21:08:54 | 

 久しぶりの帰京である。楽しみのひとつはもちろん食事であるのだが、せっかくの東京だ。そして今もなお、ウィーン熱ないしオーストリア熱は下がってはいない。ここはやはりオーストリア料理を求めることになる。

 予め目星をつけていたのは2箇所だったが、今回は表参道のAoのなかにある、「カフェ・ラントマン」に行くことにした。

 でもその前にちょっと恵比寿に寄り道をする。まだ11月だというのに、東京はすっかりクリスマス気分である。もっと節電しているのかと思っていたが、案外元に戻っているような気がする。







 ただし電車の車内はまだ暗いようだ。奥羽線の701系電車なども、今でも室内灯が半分に減らされたままで、薄暗いままだ。夜の車内では本を読みにくくなった。

 いつの間にか恵比寿ガーデンシネマは閉館していて、韓流スターの劇場になっていた。帰京の間隔が空くようになってからというもの、すっかり東京の変転についていけなくなっている。

 カフェ・ラントマンへ。運よくただちに席に着くことができた。表のテラス席もいいかと思ったが、室内の調度の雰囲気に惹かれて屋内を選ぶ。



 僕にしてはいささかのぜいたくをして、コース料理を注文する。スープとメイン料理、デザートとドリンクはメニューのなかから自分でチョイスする。

 ハプスブルク家を思わせるような装飾があるわけではないが、壁面の木目や座席のモケットの色合いといったものがいかにもウィーンのカフェなのである。本家ラントマンには行くことはできなかったのだけれど、ああこんな感じ、というのはわかるのだ。

 まずは前菜から。この辺にはオーストリアっぽさが出ているのかどうかは判然としない。ただしチーズの風味に、朝から思う存分美味なチーズを食べまくった記憶が蘇る。



 スープはフリターテンズッペを選ぶ。クレープの細切りが入ったコンソメスープ。体が温まる。ウィーンで飲んだものと変わらない味わいだ。そして量もたっぷりで、これだけで結構お腹が膨れる。



 メイン料理はリンドグーラッシュを選んだ。ヴィーナーシュニッツェルはおすそ分けに与ることにして、もうひとつのウィーンを代表する肉料理をいただく。見た目はこってり感があるが、食べてみるとそうでもない。実にうまい。ただスープと一緒にパンを食べてしまったことを後悔する。この料理はさぞかしパンと合ったであろう。おかわりをすればいいだけの話しだが、ここでパンをもうひとつ食べてしまうと、デザートが入りそうにない。



 ヴィーナーシュニッツエルもまた、そのサクサク感が、旅の記憶を呼び起こすものであった。

 デザートはラントマントルテを選んだ。ザッハートルテにも心引かれるものがあったのだが、店名を冠したケーキに敬意を表したのである。見た目の鮮やかさもさることながら、何層にも重ねられた生地の味わいが実に深い(奥に写っているのはモーツァルトトルテ)。



 コーヒーは、ヴィーナーコーヒーのなかから、と思っていたのだが、ケーキの甘さを考慮して、フェアレンゲルター(アメリカンコーヒー)にした。このコーヒーもまたおいしい。コーヒーの味がわかるわけではないのだけれど、オーストリアで飲んだコーヒーはおいしかった。酸味が少なく、まろやかな味わいが僕には合うようだ。ザルツブルクやウィーンのホテルの朝食に出てきたものは、格別高級な豆を使っているわけではなさそうだが、何杯でもいける味だった。こちらのコーヒーも、そうしたものであった。

 青森には、誇るべきカフェ、「シュトラウス」があるが、こちらはお菓子と飲みものだけである。料理まで楽しむとなると、やはり東京まで出てこなくてはならない。束の間の至福のひとときを過ごすことができた。

 食事を終えて、原宿駅まで歩く。もう22時を過ぎているが、まだまだ人通りは多い。ここのところ、生活がすっかり朝型になっていて、普段なら23時には就寝している。そんなものだから、こうして街を歩いていると、時間感覚が麻痺しそうになる。

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