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2.10 溶けるクギ

2012年02月15日 | 日記
2月10日(金)

 鉄や鉄の化合物はまわりのどこにでもあります。地球の質量の5.8パーセントは鉄です。人類は、自分たちを脅かす野生動物から身を守るためにいろんな道具を作ってきました。身近な木や石から作ったり、鉄でいろんな道具を作ったりしました。また、鉄で道具ができてからは、人は「どうしたら鉄はさびないのだろうか」という命題に挑戦し続けてきました。
 広い意味で「さびる=腐食」ということは、水分、二酸化炭素、酸素が関与する化学反応です。
 今回の実験は、鉄をさびないようにするのではなく、腐食させて鉄が溶ける原理に触れてみたいと思い、実験を行うことになりました。

【準備】

 鉄釘18本、250ミリリットルビーカー4個、0.1mol/L 塩酸400ミリリットル、塩化ナトリウム17.4g、0.1mol/L水酸化ナトリウム少量、3%過酸化水素水(オキシドール)少量、0.2mol/Lチオシアン酸カリウム少量、鉄比色標準サンプル、試験管4本、試験管立て、ピペット6本

【方法】

1 250ミリリットルビーカーに0.1mol/L塩酸400ミリリットルの入ったビーカーから100ミリリットルを測り取り、入れる。
  このビーカーに「対照標準」とラベルをつけ、釘を6本入れて、15分間反応させる。

2 塩化ナトリウムを約17g測り取り、これを1で残った0.1mol/L塩酸300ミリリットルの中に入れる。

3 2の溶液(塩化ナトリウム-塩酸水溶液)を3つのビーカーに分け、釘を入れる。
  ビーカー1には2本、ビーカー2には4本、ビーカー3には6本入れる。

4 3のビーカー3つを15分間放置し、反応させる。

5 15分経ったら、それぞれのビーカーから溶液を約3ミリリットル小さな試験管に入れる。

6 それぞれの試験管に0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を10滴加える。これは、部分的に酸を中和するためである。

7 それぞれの試験管に過酸化水素水を3滴加えて、鉄を酸化する。

8 それぞれの試験管に0.2mol/Lチオシアン酸カリウムを10滴加える。

9 比色標準サンプルとそれぞれの試験管の色を比較する。

【反応について考える】

 鉄の腐食(溶解)は表面積を大きくしたり、溶液中の塩の濃度を増加させると化学変化も速くなる。
 溶液中の塩は、酸化還元反応で生じる電荷を運ぶのを助ける。
 今回の実験では、塩化ナトリウムが含まれていて、釘が6本入っている試験管が一番鉄は溶けていると予想できる。
 鉄は溶けて赤色の錯イオンが生成する。
 溶液に溶けた鉄イオンの量は、この錯イオンの赤色の濃さでおおよそ判定できる。

【基本的な科学的知識】

1 釘が塩酸中で反応しているとき、釘の表面に泡(気体)が発生する。これは、酸の中に含まれる水素イオンが還元されて水素になって出てきているからである。

2 試験管に過酸化水素を加えると、試験管の溶液が黄緑色になる。この色は、塩酸中の塩化物イオンと反応して溶け出した鉄のために色が変化したものである。実験では、ごく薄い溶液を使っているため、よほどしっかりと観察していないと見落とす場合が多い。

3 釘の数が増えると、液体と釘(鉄)が反応する表面積が大きくなるため、当然溶け出す鉄イオンの量も大きくなる。
  また、塩化ナトリウムは、鉄の腐食の速さを速くする性質を持っている。
  そのために、塩化ナトリウムを入れた方が、より鉄イオンは多く含まれるはずである。

以上の知識を学習した上で実験を行うこととした。
中学生には、多少難しいかもしれないが、一緒に行うこととした。

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