去る12月16日は、ベートーヴェン(1770~1827)の誕生日でした。
生涯の大部分を難聴と消化器疾患に苦しめられつつも、
数多くの名曲を生み、その死後200年に亘って聴き継がれ、
これからも人々の心に明かりを灯し続ける大師匠でありますが、
その病因については諸説あり、難聴や消化器疾患の症状が、
何に由来するのかは未だ特定されていません。
“ BRAIN and NERVE ” Vol.73 No.12(2021年12月号)では、
「芸術家と神経学」という特集が組まれています。
特集の中に掲載された、
東京大学大学院・総合文化研究科教授:酒井邦嘉先生による、
「ベートーヴェンの病跡と芸術」
を読ませていただき、
ベートーヴェンの病因として有力なものの一つが、
「鉛中毒」であることを知りました。
『しかし、近年の議論で興味深いのは、
「鉛中毒(鉛毒, lead intoxication)」の可能性である。
ベートーヴェンの遺髪と頭蓋骨頭頂部の両方から、
通常の40倍を超える高濃度の鉛が検出されたからである。
鉛の長期摂取による慢性症状には、
肝毒性や胃腸疾患(激しい腹痛に下痢や嘔吐)に加え、
稀に中枢神経系の損傷や感覚障害(視覚障害や進行性聴力損失)
などが含まれる。当時の安物のワインには、
苦み消しのため鉛を添加することが違法に行われており、
ベートーヴェンがそうした低品質のワインを長期にわたり
常飲することで、大量の鉛を摂取してしまった可能性がある。』
(引用元:酒井邦嘉「ベートーヴェンの病跡と芸術」/
BRAIN and NERVE Vol.73 No.12 / 医学書院)
『難聴と消化器疾患の両方を説明できる病因として、
鉛中毒が最も有力である。』(引用元:同上)



『当時の安物のワインには、
苦み消しのため鉛を添加することが違法に行われており、
ベートーヴェンがそうした低品質のワインを長期にわたり
常飲することで、大量の鉛を摂取してしまった可能性がある。』
大師匠ほどの方であれば、
「安物のワイン」を飲まずとも高価なワインが飲めたはず・・・、
と思うのは浅薄に過ぎるというもの。
確かに晩年にかけては高額な作曲収入もあったようですが、
遺品の中には、食料品店Aのチラシ、食料品店Bのチラシがあり、
どちらが安く買えるのかを検討していた?とも伝わります。
いつの時代も、音楽だけで食べてゆくには、
経済的な不安定が付き纏うということであり、
早川は身につまされるのでありますが、それはそれとして、
知らぬ間に「鉛中毒」とは恐ろしい話。
現代では、食品衛生法を始めとする様々な管理によって、
「食の安全」は保たれているものと信じたいのですが、時折、
「この食品は、なぜこれほど安価に市場提供できるのか?」
と疑問を感じる場合があります。
流通ノウハウや企業努力によるものなのかも知れませんが、
原材料の生産量と製品の生産量との間に、
明らかな乖離があるケースも散見されます。
例えば蜂蜜。
養蜂場での生産量に比して、
市場に出回る製品としての蜂蜜量が多過ぎるのだとか。
そうであるのならば、店頭に並ぶ、ほとんど全ての蜂蜜には、
「純粋蜂蜜」
と銘打たれていますが、果たして本当に「純粋」なのかどうか?
気になるところであります。また先日の報道によりますと、
食料品ではありませんが、「100%カシミヤ!」を謳い文句に、
安価なマフラーを販売した業者3社に行政勧告が下されたとのこと。
「100%カシミヤ!」どころか、
ほとんどカシミヤは使われていなかったそうです。
良心的な業者も多い反面、いつの時代も、
悪徳商法・不当表示・詐欺・抜け道・カラクリ・謀り事・・・、
総じて悪意に基づく商行為が絶えることはありません。
話が随分と逸れてしまいましたが、
かのベートーヴェン大師匠が苦しんだ難聴と消化器疾患、
その病因が、違法な混ぜ物による安価なワインの長期摂取による、
「鉛中毒」とする説には、なるほど・・・という納得感と共に、
どこか切なさを覚えるものであります。






生涯の大部分を難聴と消化器疾患に苦しめられつつも、
数多くの名曲を生み、その死後200年に亘って聴き継がれ、
これからも人々の心に明かりを灯し続ける大師匠でありますが、
その病因については諸説あり、難聴や消化器疾患の症状が、
何に由来するのかは未だ特定されていません。
“ BRAIN and NERVE ” Vol.73 No.12(2021年12月号)では、
「芸術家と神経学」という特集が組まれています。
特集の中に掲載された、
東京大学大学院・総合文化研究科教授:酒井邦嘉先生による、
「ベートーヴェンの病跡と芸術」
を読ませていただき、
ベートーヴェンの病因として有力なものの一つが、
「鉛中毒」であることを知りました。
『しかし、近年の議論で興味深いのは、
「鉛中毒(鉛毒, lead intoxication)」の可能性である。
ベートーヴェンの遺髪と頭蓋骨頭頂部の両方から、
通常の40倍を超える高濃度の鉛が検出されたからである。
鉛の長期摂取による慢性症状には、
肝毒性や胃腸疾患(激しい腹痛に下痢や嘔吐)に加え、
稀に中枢神経系の損傷や感覚障害(視覚障害や進行性聴力損失)
などが含まれる。当時の安物のワインには、
苦み消しのため鉛を添加することが違法に行われており、
ベートーヴェンがそうした低品質のワインを長期にわたり
常飲することで、大量の鉛を摂取してしまった可能性がある。』
(引用元:酒井邦嘉「ベートーヴェンの病跡と芸術」/
BRAIN and NERVE Vol.73 No.12 / 医学書院)
『難聴と消化器疾患の両方を説明できる病因として、
鉛中毒が最も有力である。』(引用元:同上)



『当時の安物のワインには、
苦み消しのため鉛を添加することが違法に行われており、
ベートーヴェンがそうした低品質のワインを長期にわたり
常飲することで、大量の鉛を摂取してしまった可能性がある。』
大師匠ほどの方であれば、
「安物のワイン」を飲まずとも高価なワインが飲めたはず・・・、
と思うのは浅薄に過ぎるというもの。
確かに晩年にかけては高額な作曲収入もあったようですが、
遺品の中には、食料品店Aのチラシ、食料品店Bのチラシがあり、
どちらが安く買えるのかを検討していた?とも伝わります。
いつの時代も、音楽だけで食べてゆくには、
経済的な不安定が付き纏うということであり、
早川は身につまされるのでありますが、それはそれとして、
知らぬ間に「鉛中毒」とは恐ろしい話。
現代では、食品衛生法を始めとする様々な管理によって、
「食の安全」は保たれているものと信じたいのですが、時折、
「この食品は、なぜこれほど安価に市場提供できるのか?」
と疑問を感じる場合があります。
流通ノウハウや企業努力によるものなのかも知れませんが、
原材料の生産量と製品の生産量との間に、
明らかな乖離があるケースも散見されます。
例えば蜂蜜。
養蜂場での生産量に比して、
市場に出回る製品としての蜂蜜量が多過ぎるのだとか。
そうであるのならば、店頭に並ぶ、ほとんど全ての蜂蜜には、
「純粋蜂蜜」
と銘打たれていますが、果たして本当に「純粋」なのかどうか?
気になるところであります。また先日の報道によりますと、
食料品ではありませんが、「100%カシミヤ!」を謳い文句に、
安価なマフラーを販売した業者3社に行政勧告が下されたとのこと。
「100%カシミヤ!」どころか、
ほとんどカシミヤは使われていなかったそうです。
良心的な業者も多い反面、いつの時代も、
悪徳商法・不当表示・詐欺・抜け道・カラクリ・謀り事・・・、
総じて悪意に基づく商行為が絶えることはありません。
話が随分と逸れてしまいましたが、
かのベートーヴェン大師匠が苦しんだ難聴と消化器疾患、
その病因が、違法な混ぜ物による安価なワインの長期摂取による、
「鉛中毒」とする説には、なるほど・・・という納得感と共に、
どこか切なさを覚えるものであります。





