本日(令和6年12月1日)から師走。

辰の年も、残すところ1ヶ月となりました。
先月の中頃から、

楠(クスノキ)には漆黒の実が生り始めています。



星々が、白鳥の姿を形作る「白鳥座」。
その白鳥の首の付け根あたりには、
“ HD 226868 ” という青色超巨星があります。
この星は「連星」として知られる星。
連星とは、二つの恒星が、
共通した重心の周りを公転し合う関係にあり、
「ふたご星」とも俗称される天体を指します。
連星であるところの青色超巨星 “ HD 226868 ” には、
当然のことながら相手となる天体が存在します。
只、一般的に観測される連星と違って、
この青色超巨星の連星相手は「見えない」天体、
“ ブラックホール ” であります。
「見えない」天体の存在が、
よく分かったものだなぁ・・・と思いますが、
物理学者・都築卓司先生(1928~2002)は、
その辺りの消息を簡潔明瞭にこう記されています。
『「見えないものがなぜあるのか」ということになるが、
見える星の動きから、
当然もう一つの質量があることが力学的に保証される。
しかも、見える方の星の周囲から、
塵埃が闇の中に吸い込まれていくのが認められる。
まさに、天空に存在する鳴門の渦である。』
(引用元:都築卓司「ブラックホール」日本の名随筆、
No.30 “ 宙 ” / 作品社刊 )
長きに亘り「目に見える」青色超巨星を観測する内に、
その軌道運動に、どうしても説明がつかない動きがあり、
「目に見えない」天体を想定し連星系と仮定すると、
これが見事に説明がつくというわけで、科学技術が進み、
1964年に打ち上げられたロケット観測により、
「目に見えない」天体は存在が証明され、
“ 白鳥座 X-1” と命名され、歳月を経た1990年、
この天体がブラックホールであることが判明したのだそうです。
「見える」ものを観て「見えない」ものを予測し、
「聞こえる」ものを聴いて「聞こえない」ものを推測し、
「手に取れる」ものに触れて「手に取れない」ものを想う。
いま少し踏み込んで申し上げるならば、
「見える」ものが「見えない」ものの存在を立証し、
「聞こえる」ものが「聞こえない」ものの存在を立証し、
「手に取れる」ものが「手に取れない」ものの存在を立証する。
青色超巨星 “ HD 226868 ” と “ 白鳥座 X-1” 。
「見える」天体と「見えない」天体により繰り広げられる、
連星系という天文事象と、その観測に纏わるあれこれは、
大切な何かを物語っているように思えてなりません。
“ Vortex Ⅱ ”

皆様、良き日々でありますように!







辰の年も、残すところ1ヶ月となりました。
先月の中頃から、

楠(クスノキ)には漆黒の実が生り始めています。



星々が、白鳥の姿を形作る「白鳥座」。
その白鳥の首の付け根あたりには、
“ HD 226868 ” という青色超巨星があります。
この星は「連星」として知られる星。
連星とは、二つの恒星が、
共通した重心の周りを公転し合う関係にあり、
「ふたご星」とも俗称される天体を指します。
連星であるところの青色超巨星 “ HD 226868 ” には、
当然のことながら相手となる天体が存在します。
只、一般的に観測される連星と違って、
この青色超巨星の連星相手は「見えない」天体、
“ ブラックホール ” であります。
「見えない」天体の存在が、
よく分かったものだなぁ・・・と思いますが、
物理学者・都築卓司先生(1928~2002)は、
その辺りの消息を簡潔明瞭にこう記されています。
『「見えないものがなぜあるのか」ということになるが、
見える星の動きから、
当然もう一つの質量があることが力学的に保証される。
しかも、見える方の星の周囲から、
塵埃が闇の中に吸い込まれていくのが認められる。
まさに、天空に存在する鳴門の渦である。』
(引用元:都築卓司「ブラックホール」日本の名随筆、
No.30 “ 宙 ” / 作品社刊 )
長きに亘り「目に見える」青色超巨星を観測する内に、
その軌道運動に、どうしても説明がつかない動きがあり、
「目に見えない」天体を想定し連星系と仮定すると、
これが見事に説明がつくというわけで、科学技術が進み、
1964年に打ち上げられたロケット観測により、
「目に見えない」天体は存在が証明され、
“ 白鳥座 X-1” と命名され、歳月を経た1990年、
この天体がブラックホールであることが判明したのだそうです。
「見える」ものを観て「見えない」ものを予測し、
「聞こえる」ものを聴いて「聞こえない」ものを推測し、
「手に取れる」ものに触れて「手に取れない」ものを想う。
いま少し踏み込んで申し上げるならば、
「見える」ものが「見えない」ものの存在を立証し、
「聞こえる」ものが「聞こえない」ものの存在を立証し、
「手に取れる」ものが「手に取れない」ものの存在を立証する。
青色超巨星 “ HD 226868 ” と “ 白鳥座 X-1” 。
「見える」天体と「見えない」天体により繰り広げられる、
連星系という天文事象と、その観測に纏わるあれこれは、
大切な何かを物語っているように思えてなりません。
“ Vortex Ⅱ ”

皆様、良き日々でありますように!





