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 ~ それでも世界は希望の糸を紡ぐ ~

早川太海、人と自然から様々な教えを頂きながら
つまずきつつ・・迷いつつ・・
作曲の道を歩いております。

白鳥座 X -1

2024-12-01 17:07:11 | 宇宙
本日(令和6年12月1日)から師走。

辰の年も、残すところ1ヶ月となりました。


先月の中頃から、

楠(クスノキ)には漆黒の実が生り始めています。

                 

星々が、白鳥の姿を形作る「白鳥座」。
その白鳥の首の付け根あたりには、
“ HD 226868 ” という青色超巨星があります。
この星は「連星」として知られる星。
連星とは、二つの恒星が、
共通した重心の周りを公転し合う関係にあり、
「ふたご星」とも俗称される天体を指します。

連星であるところの青色超巨星 “ HD 226868 ” には、
当然のことながら相手となる天体が存在します。
只、一般的に観測される連星と違って、
この青色超巨星の連星相手は「見えない」天体、
“ ブラックホール ” であります。

「見えない」天体の存在が、
よく分かったものだなぁ・・・と思いますが、
物理学者・都築卓司先生(1928~2002)は、
その辺りの消息を簡潔明瞭にこう記されています。

『「見えないものがなぜあるのか」ということになるが、
 見える星の動きから、
 当然もう一つの質量があることが力学的に保証される。
 しかも、見える方の星の周囲から、
 塵埃が闇の中に吸い込まれていくのが認められる。
 まさに、天空に存在する鳴門の渦である。』
(引用元:都築卓司「ブラックホール」日本の名随筆、
 No.30 “ 宙 ” / 作品社刊 )

長きに亘り「目に見える」青色超巨星を観測する内に、
その軌道運動に、どうしても説明がつかない動きがあり、
「目に見えない」天体を想定し連星系と仮定すると、
これが見事に説明がつくというわけで、科学技術が進み、
1964年に打ち上げられたロケット観測により、
「目に見えない」天体は存在が証明され、
“ 白鳥座 X-1” と命名され、歳月を経た1990年、
この天体がブラックホールであることが判明したのだそうです。

「見える」ものを観て「見えない」ものを予測し、
「聞こえる」ものを聴いて「聞こえない」ものを推測し、
「手に取れる」ものに触れて「手に取れない」ものを想う。
いま少し踏み込んで申し上げるならば、
「見える」ものが「見えない」ものの存在を立証し、
「聞こえる」ものが「聞こえない」ものの存在を立証し、
「手に取れる」ものが「手に取れない」ものの存在を立証する。

青色超巨星 “ HD 226868 ” と “ 白鳥座 X-1” 。
「見える」天体と「見えない」天体により繰り広げられる、
連星系という天文事象と、その観測に纏わるあれこれは、
大切な何かを物語っているように思えてなりません。


“ Vortex Ⅱ ”

皆様、良き日々でありますように!


               








龍座

2024-02-04 15:33:05 | 宇宙
頭上に広がる大空を「天球」と見立て、
地球から観た太陽が「天球」のどこを通るのか?
その通り道が「黄道(こうどう)」と呼ばれるもの。

本日は、二十四節気の一つ “ 立春 ” 。
天球をグルリと巡る「黄道」を、
15度づつ24分割したのが “ 二十四節気 ” 。
春分点が「黄道」の開始点0度に当たり、
“ 立春 ” は、春分から21番目、
黄道角度315度地点に位置します。

・・・と、こう書いておりますと、
古来「立春・立夏・立秋・立冬」として、
私たちの生活に溶け込んでいるはずの、
いわゆる「四立(しりゅう)」というものも、
地球と太陽との位置関係や地球自転軸の傾き等々、
様々な天文事象や複雑な天文知識を宿していることに、
あらためて気付かされます。

天文つながり?・・・で、
以前に作曲しましたところの “ Beyond the Universe ”


                 

少し速度の落ちたコマが回る時、
コマの回転軸自体がゆっくりと円を描くように、
地球の回転軸もまた円を描くのだそうで、
必然的に、地球の回転軸が指し示す方角もまた、
円環を描くのだとか。

「歳差運動」

と呼ばれるもので、
地球の回転軸(地軸)が辿る円運動は、
およそ2万6千年で一回りするとされます。

御承知置きの通り、
宇宙には「北極星」という天体があるわけではなく、
地軸の北極方向に当たる星を、
便宜上「北極星」と呼んでいるまでのこと。

「歳差運動」により地軸が宇宙に描くところの、
約2万6千年で一周する円環上には、
その時代その時代に「北極星」の役割を担う星、
言わば “ 北極星候補 ” が存在しています。

“ 北極星候補 ” としては、
ケフェウス座のガンマ星、
はくちょう座のデルタ星、
ヘラクレス座のタウ星等々の天体があり、
それらは、
かつて「北極星」の座に位置し、
いつしか「北極星」の座を離れ、
やがて「北極星」の座に還るのだそうです。

現在、私たちが「北極星」と仰いでいるのは、
こぐま座のアルファ星ですが、
今から約1万2千年後の「北極星」は、
琴座のアルファ星 “ ベガ ” とのこと。

遥かな未来、
“ ベガ ” が「北極星」となる頃、
地球は、どのような環境になっていて、
地球上は、どのような状態になっているのでしょうか。

色々な意味で、
平和な星、平和な世の中だといいですね。


“ Stellar Dragon ” ~ 龍座
尻尾から頭部方向に数えて3つめの星、
龍座アルファ星 “ トゥバン ” は、
今から約5千年前の「北極星」と伝わります。

皆様、良き日々でありますように!