先日(10月2日)、千葉市民会館・大ホールにおいて、
ザ・ミューズ ウィンド オーケストラ(以下、TMWO)による、
第9回定期演奏会が開催されました。
毎回、オープニング・プログラムとして、
拙曲 “ フレデリック・ファンファーレ ” を演奏して下さっています。
TMWOの皆様には、心より感謝を申し上げます。
今回は、TMWOメンバー・じゅんトラさんのYouTubeチャンネルで、
その演奏風景が視聴できるとの連絡を頂戴致しましたので、
TMWOの創立メンバー・笠川由之氏を通して了承を得た上で、
ここにシェアさせて頂きます。
指揮:須藤信也 / 演奏:ザ・ミューズ ウィンド オーケストラ
シェア元の “ じゅんトラさんのYouTubeチャンネル ” には、
吹奏楽が一層楽しくなる動画がたくさん上げられています。
是非ご覧ください。



トロンボーン奏者の笠川由之さんについては、
当ブログにて何度か触れさせて頂いておりますが、
早川が千葉県市川市在住時には大変お世話になりました。
その円満な人柄、卓越した演奏技術、企画を実らせる行動力等々、
正に「心・技・体」の揃った演奏家であります。
コロナ禍という、非常時における演奏会の開催は、
そもそも開催できるのか?という不安に付きまとわれ、
いざ開催するにしても、非接触の工夫、密を避ける工夫、
ソーシャルディスタンスを保つ工夫、換気の工夫等々、
平常時では考えなくて良いことに神経を擦り減らされます。
笠川さんを始め、TMWOメンバーの方々は、
様々な御苦労の上で演奏会を開催されたことと思います。
コロナ禍が収束し、TMWOの方々と多くの聴衆の方々とが、
何の不安もなく音楽を通して結ばれる日が来ることを、
切に願うものであります。



さて御承知置きの通り、オーケストレーションには、
シンフォニー・オーケストラを対象とした管弦楽法と、
ウィンド・オーケストラを対象とした吹奏楽法とがあります。
管弦楽法を得意とする人が、吹奏楽法に長じているか?と言えば、
これがそういうわけでもなく、
吹奏楽法に腕を揮う人が、管弦楽法にも長けているか?と言えば、
これがまた中々そうはいきません。
同じ “ 麺料理 ” とは言え〈ラーメン〉と〈日本そば〉とでは、
麺粉・製麺工程から出汁取り等の調理方法までが全て異なり、
同じ “ カレー ” とは言え〈インドカレー〉と〈日本カレー〉では、
香辛料を始めとして、レシピには大きな違いがあります。
事程左様に、同じ “ オーケストレーション ” とは言っても、
管弦楽法と吹奏楽法とは、似て非なるもの。
冒頭にシェアさせて頂きました楽曲の原曲は、
オーケストラ・アンサンブル金沢による演奏を想定して作曲し、
管弦楽法を用いてスコア(総譜)を書きました。
その後、金沢市内の中高ブラスバンド部の演奏を想定した、
吹奏楽化の依頼を頂戴し、スコアを書かせて頂いたのですが、
これが大変に苦心致しました。
そもそも吹奏楽器は呼吸を源としているため、音符を紡ぐに当たり、
息継ぎを念頭に置かなければならないこと。
吹奏楽で用いられる木管楽器・金管楽器の多くが、
B♭調・E♭調・F調・A調等々の移調楽器である為、C調楽器に比べて、
転調の度に生じる臨時記号の増減が混乱しがちで注意が必要なこと。
何よりも、
クラリネットパートの声部分け、ユーフォニウムの効果的な用い方、
サキソフォンパートの扱い、唯一の弦楽器であるコントラバスを、
安易にチューバとユニゾンで重ねてよいものかどうか?等々、
いささかなりとも培ってきた管弦楽法の技術・考え方が通用せず、
つくづく管弦楽法と吹奏楽法とは別物・・・の感を深くしました。



管弦楽法にせよ、吹奏楽法にせよ、
オーケストレーションの技法というものは、
作曲技法の中でも醍醐味中の醍醐味と言えるもの。
ベートーヴェン、ブラームス、チャイコフスキー、
レスピーギ、ラベル、ドビュッシー、マーラー、バルトーク、
ストラビンスキー、ホルスト、コルンゴルト、武満徹等々、
そのオーケストレーションの技法は、
旋律を紡ぐ技法や響きを創る技法といったものと同様に、
作曲家の内的世界を強く表出しているものでもあります。
スコアには、大師匠の方々が編み出した、
オーケストレーションの秘密が明らかにされています。
オーケストレーションに限らず、スコアというものは、
作曲家の音楽世界が視覚化されたものであり、
その作曲家の内界で、その時、何が起きていたのか?
その謎を知るのに最も重要な “ 地図 ” でもあります。
こちらはオットリーノ・レスピーギ(1879〜1936)作曲、
「教会のステンドグラス」のスコアでありますが、

楽曲を通して聴かれるのは〈グレゴリオ聖歌〉。
レスピーギ先生は、奥様がグレゴリオ聖歌の研究家だったことから、
グレゴリオ聖歌に傾倒し、この名曲が生まれました。
つまり、この楽曲が醸している崇高な響きの中には、
レスピーギ先生の、奥様への愛をも聴くことが出来ると言えます。
スコアという、
宝の在りかと謎を解く鍵が示された “ 地図 ” を読むことは、
その音楽を聴くことと共に、至福の音楽体験と申せましょう。





ザ・ミューズ ウィンド オーケストラ(以下、TMWO)による、
第9回定期演奏会が開催されました。
毎回、オープニング・プログラムとして、
拙曲 “ フレデリック・ファンファーレ ” を演奏して下さっています。
TMWOの皆様には、心より感謝を申し上げます。
今回は、TMWOメンバー・じゅんトラさんのYouTubeチャンネルで、
その演奏風景が視聴できるとの連絡を頂戴致しましたので、
TMWOの創立メンバー・笠川由之氏を通して了承を得た上で、
ここにシェアさせて頂きます。
指揮:須藤信也 / 演奏:ザ・ミューズ ウィンド オーケストラ
シェア元の “ じゅんトラさんのYouTubeチャンネル ” には、
吹奏楽が一層楽しくなる動画がたくさん上げられています。
是非ご覧ください。



トロンボーン奏者の笠川由之さんについては、
当ブログにて何度か触れさせて頂いておりますが、
早川が千葉県市川市在住時には大変お世話になりました。
その円満な人柄、卓越した演奏技術、企画を実らせる行動力等々、
正に「心・技・体」の揃った演奏家であります。
コロナ禍という、非常時における演奏会の開催は、
そもそも開催できるのか?という不安に付きまとわれ、
いざ開催するにしても、非接触の工夫、密を避ける工夫、
ソーシャルディスタンスを保つ工夫、換気の工夫等々、
平常時では考えなくて良いことに神経を擦り減らされます。
笠川さんを始め、TMWOメンバーの方々は、
様々な御苦労の上で演奏会を開催されたことと思います。
コロナ禍が収束し、TMWOの方々と多くの聴衆の方々とが、
何の不安もなく音楽を通して結ばれる日が来ることを、
切に願うものであります。



さて御承知置きの通り、オーケストレーションには、
シンフォニー・オーケストラを対象とした管弦楽法と、
ウィンド・オーケストラを対象とした吹奏楽法とがあります。
管弦楽法を得意とする人が、吹奏楽法に長じているか?と言えば、
これがそういうわけでもなく、
吹奏楽法に腕を揮う人が、管弦楽法にも長けているか?と言えば、
これがまた中々そうはいきません。
同じ “ 麺料理 ” とは言え〈ラーメン〉と〈日本そば〉とでは、
麺粉・製麺工程から出汁取り等の調理方法までが全て異なり、
同じ “ カレー ” とは言え〈インドカレー〉と〈日本カレー〉では、
香辛料を始めとして、レシピには大きな違いがあります。
事程左様に、同じ “ オーケストレーション ” とは言っても、
管弦楽法と吹奏楽法とは、似て非なるもの。
冒頭にシェアさせて頂きました楽曲の原曲は、
オーケストラ・アンサンブル金沢による演奏を想定して作曲し、
管弦楽法を用いてスコア(総譜)を書きました。
その後、金沢市内の中高ブラスバンド部の演奏を想定した、
吹奏楽化の依頼を頂戴し、スコアを書かせて頂いたのですが、
これが大変に苦心致しました。
そもそも吹奏楽器は呼吸を源としているため、音符を紡ぐに当たり、
息継ぎを念頭に置かなければならないこと。
吹奏楽で用いられる木管楽器・金管楽器の多くが、
B♭調・E♭調・F調・A調等々の移調楽器である為、C調楽器に比べて、
転調の度に生じる臨時記号の増減が混乱しがちで注意が必要なこと。
何よりも、
クラリネットパートの声部分け、ユーフォニウムの効果的な用い方、
サキソフォンパートの扱い、唯一の弦楽器であるコントラバスを、
安易にチューバとユニゾンで重ねてよいものかどうか?等々、
いささかなりとも培ってきた管弦楽法の技術・考え方が通用せず、
つくづく管弦楽法と吹奏楽法とは別物・・・の感を深くしました。



管弦楽法にせよ、吹奏楽法にせよ、
オーケストレーションの技法というものは、
作曲技法の中でも醍醐味中の醍醐味と言えるもの。
ベートーヴェン、ブラームス、チャイコフスキー、
レスピーギ、ラベル、ドビュッシー、マーラー、バルトーク、
ストラビンスキー、ホルスト、コルンゴルト、武満徹等々、
そのオーケストレーションの技法は、
旋律を紡ぐ技法や響きを創る技法といったものと同様に、
作曲家の内的世界を強く表出しているものでもあります。
スコアには、大師匠の方々が編み出した、
オーケストレーションの秘密が明らかにされています。
オーケストレーションに限らず、スコアというものは、
作曲家の音楽世界が視覚化されたものであり、
その作曲家の内界で、その時、何が起きていたのか?
その謎を知るのに最も重要な “ 地図 ” でもあります。
こちらはオットリーノ・レスピーギ(1879〜1936)作曲、
「教会のステンドグラス」のスコアでありますが、

楽曲を通して聴かれるのは〈グレゴリオ聖歌〉。
レスピーギ先生は、奥様がグレゴリオ聖歌の研究家だったことから、
グレゴリオ聖歌に傾倒し、この名曲が生まれました。
つまり、この楽曲が醸している崇高な響きの中には、
レスピーギ先生の、奥様への愛をも聴くことが出来ると言えます。
スコアという、
宝の在りかと謎を解く鍵が示された “ 地図 ” を読むことは、
その音楽を聴くことと共に、至福の音楽体験と申せましょう。




