あの3月11日にあまり聞きすぎたので少し拒否反応してたかもしれない。朗読教室のテキストでみすゞさんの詩を読み、関連本を読んで足跡をたどりたまたま彼女に光をあてた矢崎節夫さんの講演をきき、気持ちが一変する。講演レポートを書いて残そうと思った。
講演 矢崎節夫さん(童謡詩人・金子みすゞ記念館館長)
2023-3-25 13時から西田美術館にて 若井直美
『こだまでしょうか、いいえ、だれでも。』なんだか最後の一行がよくわからなかった人いませんか。矢崎さんによれば「遊ぼう」っていうと「遊ぼう」って返事したのは山彦こだまではなくて遊んでいた相手です。「ごめんね」って言うと「ごめんね」と返事したのも相手。たとえば「おはよう」というと「おはよう」と返ってきますよね。うれしさはこだまします。良い言葉を何度もくりかえしてください。 矢崎さんのお話は、わかりやすく優しくあたたかく、金子みすゞさんの魂の伝道師というにふさわしい語りでしたので雰囲気をそのままに口語文を綴ってみました。
「優しい」という字は、憂いの横に人がいます。辛いことはなかなか人に語れない。だからそばにそっとより添う。辛いことにその人が答えを出すまで そばで話をきいている。 こどもがころんで「痛いよ~」と泣いたら、大人は「痛くないよ、泣いちゃだめ」と言ったりします。でも「痛いね~痛いよね~」と言って、時には「痛いの飛んでけー」とより添えば痛くないですよね(^^♪ Understandという言葉があります。理解するというのは「そばに立つこと」上からではなくて、わかるところまで同じ目線におりていく、ということなんですね。
<わかる> と <かわる> 何かが本当にわかると人は変わります。ある時急に、何かがふっとわかる時があります。そんなことを何度も経験していつのまにか人は「自分らしく」なるのかもしれません。 わかった時、人は変わります。
〇みすゞさんの詩に「ぬかるみ」がありました。
このうらまちのぬかるみに 青いお空がありました。
とおく、とおく、うつくしく、すんだお空がありました。
このうらまちのぬかるみは 深いお空でありました。
〇私は若かりし時、子供が好きではなかったのです。長女はフランスで生まれました。帰国しても子育てが辛いときがありました。そんな時、幼い娘は土の地面の水たまりを見て「おかあさん、こんなところにお空があるよ」と言いました。 外国は石畳なので彼女は土の道のぬかるみを知らなかったのです。まわりと違う子育てでも楽しい!と思えるようになり、そのころから古里富山の見方が変わったのかもしれません。
<みすゞさんと祈り>
みすゞさんのまなざしはどこを見ているのでしょう。 「すずと、小鳥と、それからわたし、みんなちがって、みんないい。」みすゞさんの詩はいつも「あなた」が先で、「わたし」があとです。いつも一緒にただそこに居てくれる。
見えないものも、見えるものも、生も、死も、壮大な宇宙さえも詩われているけれど、決して神や仏や宗教にとどまっていません。みすゞさんのまなざしは、小さいもの、力の弱いもの、名も無きもの…地球という星にあるすべてのものへそそがれています。 さいごにたくさんの言葉を紡いで私たちは生きています。言葉には色があります。濁った色より澄んだきれいな色がいいですね。私はなるべく汚い言葉は使いません。
ウクライナに必勝しゃもじを持って行くのは優しさではありません。「みんなちがってみんないい」私は本当のいい人になりたいです。 (30分の予定が1時間に延長となりました。人柄があふれた講演でした。)
関連本の多さに驚きます。なかでも心に残った関連本3冊。
詩人 矢崎さん 2冊目の詩集