Garbage Script on Goo BLOG

某SIerの"元"研究者 兼 情報Security技術者"F.Koryu"の日常の雑記置き場

で、ここまでの雑感>ACCS事件

2005-03-25 20:00:03 | セキュリティ(旧エントリー分)
で、何でこのACCS事件を追っかけていた(って程追っかけてはいませんが……正確に言うと気にしていた)のかと言うと、実は自分、この事件の発端となったイベント(A.D.200x)にいたからなんですね。そう、事件の現場を生(リアルタイム)で見ていた者の1人だった訳です。

この手のイベントは初めてだったので、かなり真剣にメモを取りつつ聞いていた訳ですが、この時は周囲は爆笑していたものの、内心は「あー、まずいなぁ……」と思っていましたね。少なくとも自分の周囲だけでも、セキュリティ技術者でないと思わしき人が何人かいましたから(少なくとも出版(記者?)関係に、警察(私服警官?)関係もいたかな?)、これがイベントのトラブルだけで済まないだろうなぁ……と、何となくですが不安を感じていました(が、結局的中しちゃった訳ですが)。

まぁ、そんな訳で、このような事件の場に居合わせた者の義務(って程のモノではありませんが)という訳ではありませんが、最後まで見届けるべきなのかなぁ……と思いつつトレースしていた訳です。

と、暴露話はここまでにして、本題の雑感。
判決に関しては「まぁ、技術者でない法律家がこの事件を論じるなら、こうなるだろうなぁ……」という予測通りに落ち着いた訳ですが、正直言うと不安を抱かずにはいられないですね。
これまで分かっている情報から判断するに、全くのノーガード戦法はNGですが、ある程度ヘタレな防御でも、それをちょっとでも超えようならお縄になる、という事で、脆弱性を指摘する人は格段に減る(法的リスクが大きすぎるから)でしょう。
セキュリティホールってのは、自分で見つけるより、他人に見つけられる事の方が多いのですが、事日本に限定すると、例え善意であろうとNGとなる可能性が高い状況にある訳ですから、なら好き好んで報告するヤツは間違いなく減るでしょう。
が、ネットは別に日本だけが繋がっている訳ではありません。どこから仕掛けられる攻撃に対処しない(出来るだけのスキルを持たない)システム管理者が増えたら……、正直言ってゾッとします。

とは言え、これを書いている時点ではまだ判決が確定した訳ではないので、もう少しだけ様子見する事になりそうですね。

第1ラウンド しゅ~りょ~……なのか?

2005-03-25 19:21:20 | セキュリティ(旧エントリー分)
ACCSの個人情報漏洩事件で、元京大研究員に有罪判決~東京地裁 - INTERNET Watch
結論から言えば、良くも悪くも予測していた通りの展開と言うか……。
詳しい事は、判決文全部読まないと論じる事はできない(つーか、各マスコミ発表、何か煮え切らない表現が多いからなぁ……)んですが、基本的に裁判ってのは「起きた事実」に対してのみ行う(※1)のであって、これから起こる事、まだ起きていないけれど多分起きるだろうってな事に対しては、基本的に考慮対象外にするものですから。そう言うと、Office氏側の戦略は不利だったという訳ですな。

とは言え、一技術者としては「うーん、今後が怖いな」と思う判決だったりする訳で……(※2)。

何はともあれ、第1ラウンドは終了。法律論議まで持ち込みたい場合は控訴・上告なんでしょうが、裁判費用(弁護士料もね)ってバカになりませんからねぇ……、さてどうなる事やら。


(※1)例外は「法律そのものに対する判断の場合」。所謂「違憲である/でない」のケース……つまり最高裁まで持ち込む場合になります。今回の弁護側の戦略は最高裁ならアリなんですが、地裁・高裁の場合は、これで勝つのは難しいかな?、ってのが個人的な雑感。
(※2)この辺は園田先生のBlog(極楽せきゅあ日記)の記事や、高木先生のBlog(高木浩光@自宅の日記)の記事を読んで頂ければ分かると思いますが、かなり「てきとー」なアクセス制限をかけて「防御しているんだから不正アクセスだ」とも言われかねない、という事も考えられる訳です。技術者としては、そういう事がまかりとおるとしたら……ガクブル状態にでもなりかねん……と。