馬鹿バスケ

Brooklyn Comets(ABA)でのアシスタントコーチを終えて、今はNYでスタッツいじり。

Game-Ending Strategy

2007年01月16日 | バスケについて考える
試合残り時間僅か、3点差で勝っている状況。点差を守りきって勝つにはどういった戦術がベストなのか?

ESPN等スポーツ番組でよく議論されている選択肢としては、①3ポイントシュートを打たせない事を念頭にディフェンスする、もしくは②ファウルをして相手にフリースローを打たせる、の二つ。①の普通にディフェンスする場合、相手に3ポイントさえ決めさせなければ勝てるのだが、例えばKobe Bryantのように高い運動能力と高い打点を持つ選手には、相当タイトに守ったとしても上からシュートを決められてしまう恐れがある。そこで②のようにシュートに行く前に先にファウルをしてしまえば、相手の得点を最大でも2点に抑え、リードを守って勝つことがことができる(こちらのファウルがリミットに達していることが前提)。ただ、敢えて相手に得点機会を与えることに心理的に抵抗があることは否めず、また最悪の場合、相手にリバウンドを取られてオフェンスリバウンドを押し込まれた場合には同点になってしまう。

先日TVでNBAの中継を見ていたら、まさにその状況だった。アナウンサーが解説のJohn Barryに尋ねると。。。
「以前Rocketsでプレイしていた時に、ヘッドコーチのJeff Van Gundyはこういった。相手が3点差を追いつくのに、3ポイントだったら決めるだけでいい。しかしファウルされた場合は、①まずFT1本目を決める、②FT2本目を外す、③そのリバウンドを取る、④更にシュートを決める、とこれら4つのことが全てがうまくいかないと同点にできない。だからファウルを選択する。」
さすがVan Gundy、ごもっともです。

アメリカには、これをなんとDecision Tree Analysisを使って定量的に分析した学者がいる。Dennis H. AnnisというNaval Postgraduate Schoolの教授が計算した結果、普通にディフェンスする場合の勝率が87%であるのに対して、ファウルをする場合は96%と出た。ちなみにこの教授は、「普通に守っても87%の確率で勝てるんだから、どっちの戦術を使おうかなんて、そもそも羨ましくなるような悩みだ」と付け加えている。

もちろんこういった定量分析は、計算の為に状況をかなり単純化していて、あらゆる状況においてファウルをすることが最適解にはならない。例えば残り時間、フリースローを誰に打たせるか、どこまで確実にディフェンスリバウンドを確保できるのか、といった要素によってはファウル戦術の結果は大きく変わってくるだろう。しかしこういった分析は一つの判断材料にはなると思う。


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2 コメント

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Unknown (r-0505)
2007-01-16 06:54:51
おはようございます。といってもそちらはどうなるのですかね。(笑)

また今回の記事も興味深く読ませていただきました。

ミニバスレベルの感想ですいません。ミニバスでは30秒ルールはありますが、8秒ルールはもちろん、バックパスルールもありません。

このような場合は、ドリブルの一番上手な子にボールを持たせコートいっぱいを使って逃げ回っているうちにゲーム終了、というようなこともあるようです。(笑)


いつかもコメントさせていただきましたが、そこで問題になるのが、コートの広さの違いです。これが、子供にとってはかなりの影響があるようです。

それから、ミニバスケも創設されたころに比べ、ミニバスのレベル進歩は相当なものだと思いますが、この辺のルール改正は進んでいません。

少なくとも24秒、8秒ルールに変更された時点では、ミニバスもせめて、バックパスルールぐらいは導入を考えるべきだと思うのですが、いまだそのへんのところが、検討され始めた形跡はありません。


それでは また
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Re; (t123da)
2007-01-16 12:42:27
スペーシングやゲームフローの感覚は早いうちに身につけて欲しいと思います。ただミニバスでは楽しくプレイするうちに基礎技術を身につけることがおそらく最大の目的で、あまり選手を縛ったり楽しみを奪ってしまうような細かいルールは導入しにくいのかもしれませんね。
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