馬鹿バスケ

Brooklyn Comets(ABA)でのアシスタントコーチを終えて、今はNYでスタッツいじり。

"Pressure Points" - Sports Illustratedより

2009年03月22日 | 日々是バスケ
NCAAトーナメントが始まった。我らがPurdueは無事1回戦を突破して、今日Washington大学との対戦。

Sports Illustratedに、非常に興味深い記事が載っていたのでご紹介。内容としては、NCAAトーナメントにおけるフリースローの重要さについて。昨年のNCAAファイナルで、John Calipari率いるMemphis大学が最後の1分15秒間に5本中4本のフリースローを落とし、カンザスに追いつかれ、延長戦で敗れたのは記憶に新しい。記事の中で気になったところを以下ピックアップしてみた。

・1985年以来、チームのフリースロー率が66%を下回るチームがNCAAトーナメントで優勝したのはわずか2回だけ。62%を下回るチームは優勝していない。(ちなみに昨年のMemphisのチームフリースロー率は61.4%)

・調査によれば、フリースローの得点は試合の合計得点の約4分の1しか占めないものの、勝つチームの最後の1分間の得点のなんと約3分の2はフリースローが占める。

・フリースローの確率はクラッチタイムに上がっている。平均のフリースロー率は68%に対して、最後の1分間のフリースロー率は72%。しかしこれは、チームがクラッチタイムにしっかり決めた結果というよりは、最後の1分間にフリースローを打つのは、シュートが得意なガードが多いから、と考えられる。

・昨年のNCAAファイナルでは、MemphisのDerrick RoseとChris Douglas-Robertsがともにレギュラーシーズンでは7割以上の成功率を誇りながら、まるでお互いのミスが伝染するかのように、競ってシュートを落としていた。こういった「伝染」を防ぐには、スポーツ心理学によれば、フリースローを打った後にチームメイトの手をタッチするような「儀式」を行うことが有効だそうだ。

・Syracuseの今期のフリースロー率は64.2%(3月12日時点)と出場校の中ではかなり低い方。しかしSyracuseの2-3ゾーンは、ディフェンス面でファウルを減らし、相手にフリースローをあまり与えない(1試合平均17本)ことに役立っている。

・フリースローに関わるいくつかの戦術について、統計的な証明が提示されていてこれもまた面白かった。
①ファウルゲームでは、場慣れしていないFreshman(大学1年生)にファウルすることが多い。事実、平均はそれぞれFreshman(65.6%)、Sophomore(68.4%)、Junior(69.9%)、Senior(70.8%)と、年次を追うごとに確率は上がっている。
②接線の終盤、相手のフリースローシューターの気を散らすために、ツーショットの間にタイムアウトを取ることがある。レギュレーションもしくは延長戦での最後の1分間のフリースロー率が72.2%に対して、タイムアウト直後のフリースロー率は71.0%。つまり100回タイムアウトを取っても違いは1本だけ。貴重なタイムアウトは他の機会に使ったほうがよいみたい。

・シューティングコーチのEd Palubinskasは、かつてLSUで4年間のフリースロー成功率87.5%を誇るシューターだったが、コーチ時代に利き腕を含めた右半身に大怪我を負う。リハビリの過程で、現役時代のフリースロー率に戻したいという強迫観念にとらわれ、練習を重ねる中で、フリースローの極意を極め、その後レイカーズでアシスタントコーチとしてシャックのフリースロー修正に取り組んだそう。彼曰く、フリースローを外す理由はメンタルではなく、あくまでメカニズム。特に元凶と思われるのは、「ゴールへの直線的な動きを妨げる、関節もしくは筋肉の横の動き」だそう。こちらで彼のフリースローが見られるが、実際のところ直線的で横にぶれることが無い。

・他にもいろいろなフリースロー率向上策が紹介されていて面白かった。
①Washington大学では練習の最後にツーショットとOne&Oneを交互に行い、全体でツーショットは26回中20回、One&Oneは26回中19回決められなければ、最初から行う。当初45分かかっていたのが今では10分程度で終わるそう。
②Calipariが昨年導入していたのがVisualization、つまり寝る前にベッドでシュートの成功をイメージ。打つ前の「儀式」→「スウィッシュ(リングに当たらずにゴールの真ん中を射抜く様)」→フォロースルーまでを、10本連続で。
③そんなCalipariもVisualizationをあきらめ、今年は"Volume Shooting"に変更。練習では毎回100本のフリースローを義務付け、成功数を記録。結果、今年のチーム成功率は69.3%(+7.9%)まで上昇。
④Louisville大学では、練習の最後にフリースローを連続12本(センター陣は6本連続)決めないと、帰れないルールになっている。
⑤Calipariが公に"We'll make'em when it counts"と発言したことも、スポーツ心理学者によれば選手への信頼感を示す意味で効果がある、とか。


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2 コメント

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こんにちは (HOOP)
2009-03-23 16:14:38
NCAAトーナメント、プレイオフといよいよ佳境に入ってきましたね。
今回のフリースローの話は非常に興味深いです。MMFのフリースロー成功率は、なんと50%ちょっとです。さすがに上のレベル戦いになると接戦が増えるので、なんとかこれを打開したいと考えていたところなので、参考になります。特に伝染を防ぐ話とメカニズムの対極は面白いですね。うちのチームでも練習から取り入れてみます。ところで、うちのPFがB▲M●のバスケ部に助っ人で顔だしているので、そこからの情報ですが、○上君が復帰したらしいね。まだまだ現役でがんばっているようですね。たいしたもんだ。
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Re (t123da)
2009-03-24 10:25:42
ども。○上がまだバスケやってるとは。。。俺も少し運動しないと。。。いろいろ書きましたが、Calipariみたいに量打つ、ってのはやはり一番効果があるのかな、って気がしますね。クラブチームみたいな環境では難しいかもしれませんが。ではまた。
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