浜松町界隈 －後編－

シーバンスでの激戦を終え、芝浦一丁目交差点にでると
レトロな雰囲気の建物が見えてくる。
この建物は、1921年(大正10年)建築の旧木村屋。
キムタク主演ドラマ「ラブ・ジェネレーション」のロケ地となり、
ファンの間では一躍有名になった場所だ。

外壁がその頃と比べると改修されているが、意匠部分はしっかりと
残されている。建物へのこだわりが感じられた。


旧木村屋脇の路地に入るとさらに古風な和風建築が見える。
1936年（昭和11年）に芝浦花柳界の見番として建てられた
「協働会館」である。近代木造建築の技術と意匠を巧みに
折り合わせ贅を尽くしたとされる、近代和風の建築物で、
目黒雅叙園でも活躍した棟梁・酒井久五郎の作だという。



LOGGYは、90年代に何度か訪れており、フィルム写真で
外観を撮影している。室内も関係者のご好意で見学させてもらったが、
写真撮影は許可されなかったので、記憶の範囲で回想してみる。
玄関の唐破風をくぐると一階はタイル敷きの玄関ホール。
芸妓の取次ぎや清算を行う事務所になっていて長いカウンターがあった。
その左には擬宝珠のついた階段があり、2階は舞台が付いた百畳の大広間と
楽屋があった。
屋根がトラス構造になっており、柱が1本もないのが特徴である。
LOGGYが行った時にはこの大広間は寄席に使われていた。


写真を見て頂くと、現在は駐車場となっている一帯も
花柳関係の木造建築が軒を並べていて、壮観な眺めの一画だった。

残念ながら現在は老朽化のため閉鎖され、
ネットがかけられてしまったが、港区の有形文化財に指定され、
修復準備中だそうで、ほっとひと安心。


かつての花街の面影を残す新名所として復活に期待したい。