鶴岡法斎のブログ

それでも生きてます

イ・パクサの話

2006-02-26 17:50:38 | 原稿再録
※一昨年(04年)の暮れくらいに書いて年明け(05年)くらいに掲載された、はず。

 韓流だか何だか知らないけれどもここにきてにわかに韓国ブーム。知り合いが韓国に行こうと思ったら航空券が取れないとかで旅行を断念していた。ワールドカップが下地だったのか、それともそんなこともお構いなしでヨン様ひとりの功績によってここまでのブームが起きてしまったのか。もし後者だとしたらあのサッカーは何だったのか、といいたい。ルールはよく知らないスポーツだけど。
 しかし時代とともに価値観は変わっていくというか。大衆はいつも妙ちきりんなものに扇動されてしまうというか。自分がまだ十数年前に韓国に旅行に行ったときなんかは周囲(当時は会社員だった)の同僚は「何で?」って扱いだっのになぁ。乱暴な言い方だけど広告屋とテレビ屋が頑張れば地獄も極楽を見させてしまえるんじゃないか。
 自分にとっては韓国とは幻の名盤解放同盟の名著「ディープコリア」などで描かれているエネルギッシュで猥雑な国、という印象が強い。事実、旅行してもその印象が強かったけど、ここ数年で変わってしまったのかな。
 韓国の音楽なんかは若者向けからそうでないものまで、割と好きで現地にまでは行かないものの東京は新大久保の韓国人相手のお店などで数少ない日本人客として向こうのCDを買いあさったりしていた。
 それが、だ。ここに来てのヨン様ブームで店の中が一変した。あちこちに「冬のソナタ」の関連商品。なんだか知らんが日本人のオバサンがウヨウヨとそこで買い物をしている。独断と偏見だが韓国に対してヨン様がいなかったら興味も持たなくて何かの事件があってその犯人がたまたま韓国人だったら「嫌ねえ、三国人って」と平気で差別発言しそうなオーラが全身から。いや書いているこっちが差別か。妄想で中傷してどうする。
 さて今回紹介するのはそんな午後のワイドショーオーラに包まれてしまった韓国人向けのCDショップで私が不快感を何とか解消しようと手に取ってしまったコレ。
 李博士、である。漢字で書くとわからないかもしれない。発音は「イ・パクサ」だ。思い出した人もいるかな。前述の幻の名盤解放同盟、そして電気グルーヴなどが絶賛し、いまから約十年前(適当)に来日を果たしたポンチャック歌手だ。
 ええと、ポンチャックが何かっていうと向こうのバスとかタクシー運転手が聞く演歌などがメドレーで流れているもの。ずっとリズムが一定なんだよな。安手のキーボードの内蔵マシン使っているから。そういう音楽があるんです。安っぽくてエネルギーがあるから自分は好き。そしてそのなかでもパクサは独自の「ジョワジョワ」「ウルッヒーッ」などの合いの手と奇声が渾然一体となった歌唱で独自の世界を進んでいた。ま、このポンチャックという音楽自体、若者は相手にしていないものだから、こっちでいえば演歌歌手、それも営業メインで健康ランドと盆踊り大会でだけよく見かけるとか、巣鴨のレコード屋のカセットテープ売り上げランキング上位にいるようなもんだと思っていただきたい。そんな存在だったのだが日本ではサブカルとして捉えられて何となく一時的にブーム。カルトであるが話題は沸騰した。そして見えなくなったな、と思ったら今度は韓国の若者達の間で「日本で話題になったカルトミュージシャンがいるらしい」ってことになって凱旋(っても本人はずっと韓国にいるんだけどね)。韓国の電撃ネットワークみたいな存在になっていたのだ、実は。自分もちょっと前に知った。ビックリした。
 そして韓国でリリースされたCDがこの2枚。片方にはボーナストラックとして日本でその一瞬のブーム時に作られたPVも入っているから今回の映像ネタはこれでご勘弁を。しかしPVであるとかジャケを見るたびにどんどんと本人が訳の沸かない方向に進み、かつ調子に乗っているのがわかる。好感持てるなあ。昨年リリースの最新作では無意味にオースティンパワーズのコスプレをしているし。この人って五十路、近いはずなんだけどな。
 そういえば最新作にはパクサのマネージャーのメアドが出でいる。呼べば交通費込みで30万円くらいで来るんじゃないのか?
ヨン様より俺はこっちを支持。当然の如く。

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