Dream Gate ( 中野 浚次のブログ )   

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早春の香り   東京・向島 長命寺の桜もち

2011-02-21 | グルメ




東京の暁雨は早々に上がり、ホテルからみえる高層ビルの林間に日差しがのぞく。
上々のお天気になりそうだ。
かねてから計画していた通り、「押上」で東京スカイツリーを見たあと、桜にはまだ早いが、向島まで足を延ばそう。
向島には長命寺の「桜もち」がある。
この時季、長命寺の「山本や」さんの「桜もち」がむしょうにたべたくなる。

長命寺の「桜もち」についてはすでに拙著『すわやま余情』(暮しの手帖社)に書いたから、詳しくはそれを見ていただきたい。

薄皮に、こだわりが・・・・
ひところに比べると、桜もちの味もかなり甘さを抑えたものになってきた、と書いたが、今回何年ぶりに「山本や」さんの「桜もち」をいただいて感じたことがある。
それは白玉粉でつくられた皮が、おどろくほど薄くなっていることだ。

餅は小麦粉を水で溶いたものを薄く延ばしてあるのだが、そこに、こだわりがあるようだ。
熟練の職人さんが一枚一枚手焼きである。
それでいて、もちもちした堪らない食感は、むかしとちっとも変らない。
一個に桜葉を三枚も使って、江戸以来の香りをいまも護りつづけている。
器械の手を借りることなく、すべてが手作りなのだ。


赤毛氈の床几でたべる桜もち
向島「山本や」さんのお店でも「桜もち」がいただける。煎茶付で1個250円。
赤い毛氈が敷かれた床几でいただく「桜もち」は格段に美味しい。
柾目の杉板でつくられた桝に入っており、三枚の桜葉で抱くようにつつまれて、その香りが、ほんわかと立ちのぼってくるようでした。








「桜葉も一緒に食べるのが 江戸っ子だい!!」
ところで、桜もちを包んである葉、あれはとるんですか? 食べるんですか?

問い合わせで一番多いのがこの質問だそうです。

葉をとって食べる方もいれば、「葉も一緒に食べるのが江戸っ子だい!!」という方もいる。
なかには3枚のうち1枚だけをつけて食べるという中間派も。
正解はありません。
もともと食べ物はやはりそれぞれの方の好みというもの。
ならば葉ははずして、お餅にうつった桜葉の香りと餡の風味を楽しめばよい。

桜葉は、お餅の香りつけと、乾燥を防ぐためのものだから。


窓の向こうは隅田川
「山本や」さんの店内で川を向いて座れば、大川のゆったりした流れとまだ蕾はかたいが桜並木がある。
春の日永をそこでのんびり過ごす。
きっとそれが、桜もちの一番おいしい食べ方かもしれません。
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