Dream Gate ( 中野 浚次のブログ )   

本日はようこそ開いてくださいました!お芝居のことグルメを語ります!


          

片岡 松之 最後の花道     ー京都・南座の顔見世からー

2008-12-29 | 演劇
          


今年最終の観劇は、京都・南座の「顔見世」夜の部。4本立である。

とりわけ「元禄忠臣蔵 大石最後の一日」がいちばん見応えがあった。
作者の真山青果が、史料『堀内伝右衛門覚書』をもとに書かれた作品であるが、おみの(芝雀)と磯貝十郎左衛門(錦之助)の恋は、作者の創作であって、この恋をめぐる大石内蔵助(吉右衛門)と堀内老人(歌六)の葛藤が鮮やかに描かれており、青果作品の中でも上演回数が多い。「琴の爪」のタイトルで映画化もされた。

大石ら17人の赤穂浪士が預けられたのが細川越中守の屋敷。
今回注目したのが、その細川家の家臣役を演じた片岡松之(松嶋屋)である。
彼は上方歌舞伎塾の第2期卒塾生で今年で8年目。80年生まれの松坂世代。
「対面」の曽我五郎、昨年の「大蔵譚」ではお京の大役をつとめた。
この公演を最後に舞台を去る。

元禄16年2月4日。ついに赤穂浪士全員切腹の沙汰が下る。
この日は、細川家にとっても浪士預かりの最後の大仕事である。些事の粗相とて許されない。
死装束に身を調えた浪士たちの先導役は、細川家の家臣(松之)である。
肩衣の片方をはずし、手燭を持って本舞台から花道への引っ込みとなる。
松之のニンに申し分なく、重責感と緊張の奥行きを表現した。さらに浪士たちへのいたわりの気持ちをにじませた。それが舞台にふくらみをあたえている。
見事な花道の引っ込みであった。

松之君、8年間本当にお疲れさまでした。
そして、感動をありがとう!!


  

◆年末のご挨拶◆
さて今年もあと2日。本年6月に開設しました「Dream Gate(中野浚次のブログ)」ですが、予想以上の訪問者があり大変よろこんでおります。
2009年は益々パワーアップして、「美しさを感じる」ブログをめざして頑張りますので、来年もどうかよろしくお願い致します。

では、みなさんどうぞ佳いお年を!!
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歌舞伎検定合格しました

2008-12-28 | 演劇
     

               




第1回松竹歌舞伎検定(4級)に合格しました。


試験結果は、80点満点のところ、76点でした。
「満点しかいらない!!」と意気込みましたが、4問が不正解でした(涙)。

もっと歌舞伎を勉強します、ハイ。
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江の島のクリスマス

2008-12-23 | 特別バージョン
         

     


  ★序 章★  
       
       夜の星はやがて 聖なる瞬間(とき)を知り
       真白な雪になって落ちる
       君の華奢な肩を 抱きしめたいけれど
       ロマンスが溶けてしまいそうさ
       車のハザードが急かすように
       無口な人を照らしてる

       I'll kiss you in the holy night
       yes, 熱い想い

       このときめきを忘れないで
                   
       I'll kiss you in the holy night
       yes, 愛の力

       この江の島で素敵に・・・

       メリークリスマス

     
       KAT-TUNが歌った『江の島のクリスマス』です。
       赤西仁のソロがしびれます。
       凍るような・・・
       透きとおるような・・・
       精巧なガラス細工のような・・ と言いましょうか・・。

       それに歌詞がとても切なく、心に沁みてきます。
       セピアカラーのクールな光景が泛んできます。
       クリスマスにぴったりのラブソングです。

       クリスマスの江の島はファンタジー。
       鮮やかなイルミネェーションで飾られ、島全体が宝石箱のようだ!
       そして、なぜか人びとを詩人にしてくれます。
       きっと、あなたのハートに・・・

       メリークリスマス・・・・ 





     


★第二章★

デジカメだけを持って、七里ヶ浜のホテルを出たのは昏れどきだった。
江の島の弁天橋を渡り、ヨットハーバーへと向うつもりだが、時間に空きが出来たので、その一本奥まった場所にある『カフェーマル』で少憩することにした。
店内はアンティークな机やイスが竝び、各テーブル上には古びた西歐風の置時計がカチカチと時を刻んでいた。
手作りのケーキとファイヤーキングのカップで供されるコーヒーが驚くほどに美味。

コーヒーを啜りながら、わたしは、ついさっきから窓際の席で、しきりに携帯電話をかけている女性をみかけた。
彼女は何度となく電話をかけるが、相手が電話に出ないらしい。
呼び出し音だけが鳴っている。
彼女は大きく息を吐いてから、ポイと携帯をテーブル上へ投げ出した。
ほんの数分しか経たないのに、また携帯をとって電話をかけはじめた。
やはり相手は出ないようだった。

「二度出ないのは三度かけても同じでしょ!!」
そう言ってやりたかった。
今夜のクリスマスイブに、男とデートの約束でもしているのだろうか・・・。
だとすると、約束の時刻をとおに過ぎているのに男はあらわれそうにない。

携帯電話という便利なおもちゃを手にすると、知らぬ間に時間をつぶせるものである。
彼女はそのおもちゃを弄ぶように、また電話をする。こんどはどうやら行きつけの美容院らしい。
「この間かけたデジタルパーマがうまくかかっていないので、もう一度かけ直してほしい」
ずいぶんと高飛車な物言いである。
約束の時刻に来ない男への苛立ちと、怒りをふくんだ声であった。
ついては自分は忙しいので、来週の××日しか空いていないから、その日に予約を入れて欲しいと主張していた。
棘のある口調だった。

決局、わたしと携帯を離さない女性だけが店に残った。

わたしが店を出るまで相手の男はついに姿を見せなかった・・・・。


       


  ★終 章★

          島の上ばかりが江の島の魅力ではない
          時にはヨットハーバーまで足を延ばすのもいいだろう
          
          湘南港のイルミネーションは ひと味異なる
          霧が靄って 紗をかけた舞台はエトランゼ
          ヨット60艇ほどあろうか  無数の光の帆が澯き
          海面(みなも)に映して 光の乱舞がはじまる
          海上自衛隊の掃海艇『のどじま』(画像・中央)も
          みなとを一人占めするかのように
          暗澹と横たわっていた

          少し風が出たのだろうか・・・
          夜目にも處々白い波頭だった
          ひゅーと夜風が 面を打ってきた

          もう二度とこの江の島を訪ねることもなかろうかと
          ふりかえれば
          波の音が背に迫っていた




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リメイクされた『華々しき一族』

2008-12-10 | 演劇
           

          


森本薫の『華々しき一族』を観てきました。
若尾文子が主演しているせいか、観客の8割がオバサマなんです(←若尾さんいつまでも綺麗!!の連呼)。

『華々しき一族』が発表されたのは昭和12年。
会話のウイット、テンポの良さ、いままで日本ではあまり馴染みがなかっただけに、「日本サロン劇の傑作」と賞賛を浴びた。いわゆるこの「風俗喜劇」が大いにもてはやされたのです。

しかも、主人公の「諏訪」を演じた杉村春子がこの芝居の当り役となり、のちに、杉村主演で繰り返し上演され、文学座の財産演目にもなった。

今回は「諏訪」役には、若尾文子である。
初演からすでに半世紀をこえて、時代は大きく変わって二十一世紀にはいった。
このたびの上演では、原作のプロットだけをかりて、新装版の『華々しき一族』を創りあげた。

そもそも、大まかに分けて、"動"と“静”の芝居がある。とすれば、このお芝居は後者である。
家族構成が少し複雑ではあるが、裕福で、穏やかな家族のなかに、須貝(松村雄基)という下宿人、つまりは他人が同居しているがゆえに”さざ波”が立つ程度であろうか。

ストーリーよりも、人間心理の機敏を、機知とユーモアに溢れる軽妙な会話が、本作品の身上なのだが、さすが脚本の大藪郁子さんは、現代には不向きな古風さを感じさせることなく、しかも、それぞれの役者の個性をうまく生かして書き上げた。
見事にリメイクされた『華々しき一族』であった。

若尾文子は、おめず臆せず自分なりの、新しい「諏訪」像をつくりあげた。須貝役の松村雄基は、手馴れた役作り。前回は『大川わたり』で新三郎という”色悪”を好演したが、今回は仕事ひと筋の青年役。来年は名古屋の御園座で、坂本龍馬に挑むらしい。
昌充役の徳重聰は、舞台初出演ながら若さと熱情をぶっつけて力演。
ほかに、藤谷美紀、吉野紗香、西郷輝彦らが共演。




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一杯の紅茶から・・・

2008-12-05 | 本日の○○
                        
                         


同じ茶葉なのに、どうしてこうも美味しいの?・・・と思う紅茶に出会うことが、みなさんもありませんか?
味と香りをあますところなく引き出すゴールデン・ルールでもあるのでしょうか?

私は、随分前から、朝食には、マリアージュ フレールというお店の品番606のグラン ポワ シェリの紅茶(画像)を愛用しています。ミルクとの相性がとてもよく、バニラの香りがする朝向きの紅茶です。
神戸三宮のトアーロードにある神戸店で、秤売りを買います。
お店の名前からもわかりますが、フランス流紅茶というか、世界32ヶ国、450種類から厳選された茶葉をブレンドした紅茶なんです。お店に入ると、中国でよく見かける茶館のように、無数の茶筒が壁いっぱいの大棚に並べられています。

一杯の紅茶ほど、やさしい刺激と優雅な香りに満ちたものはないでしょう・・・。
ストレス過剰の現代生活のなかで、紅茶は心とからだの疲労をいやしてくれます。
それに低カロリー飲料だし、子供から大人までグ~!ですね(笑)。

わたしの一日は、グラン ポワ シェリの一杯の紅茶からはじまります。

さて、朝のミュ-ジックは何にしましょうか?
ミリー・ヴァーノンの「スプリング・イズ・ヒア」がいちばん合いそうな気がします。
彼女の冷たいような甘いような、けだるいような、なまぬるいような歌は、紅茶を飲むときにはピッタリです。

 【歌舞伎検定の解答】
 正解は(1)平 敦盛 です。


 
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