Dream Gate ( 中野 浚次のブログ )   

本日はようこそ開いてくださいました!お芝居のことグルメを語ります!


          

今、失いかけている東京下町の香り -「町の音」 「釣堀にて」-

2009-03-30 | 演劇
                 
                  


     東京・品川にある六行会ホールという小さな劇場で、久保田万太郎
     の「町の音」「釣堀にて」のみつわ会公演を見てきました。

     みつわ会は、新劇、新派の俳優が集まって、久保田万太郎の戯曲を
     上演する会らしく、今年で12回目。私が同会の公演を観るのは、はじ
     めてなら、会場の六行会ホールもはじめてでした。

     品川で京浜急行に乗り換えて新馬場駅で下車する。新馬場駅の北口
     を出れば六行会ホールはすぐだと教えてもらったが、けっこう歩く破目
     になった。後日調べてみると、なんでも新馬場駅は、北馬場駅と南馬場
     駅のふたつが統合してつくられた駅で、だから端から端まで長いらしい。

     もともと久保田万太郎の芝居は、どちらかといえば台詞劇。つまりは
     会話の妙、心の襞に主眼がおかれた戯曲なんです。ましてや役者が
     ヘタだと間がもちません。致命症です。
     
     久保田万太郎は「日本のチエホフ」だといわれたことがあります。
     私はそうは思いません。
     日本独特の「間」の芸術を創りだした作家だと思うんです。

     久保田万太郎の舞台は、きまって東京の下町、それも浅草周辺が描かれ
     ています。
     浮き雲のような影を落とした市井の人々のすがたを、澄んだ眼差しでみ
     つめたのが、今回上演の「町の音」「釣堀にて」です。

     納戸からつづら(←箱形に編まれたカゴに和紙を張った通気性に優れた
     収納ボックス。江戸家具の一種。)を取り出し、昔の恋人からの大切な
     手紙を読む心持で、私はこの2作品を観ました。
     
     さて「釣堀にて」は、老人(梅野泰靖)と少年(宇宙)が釣りをしている。
     青年は老人に気を許し、母親とひと悶着あって家を出たことなどを語る。
     二場では、この青年の母親(前田真理衣)が彼を連れ戻すべく、友だちで
     同業の芸妓(片岡静香)とともに、息子を実父と対面させようとするが失敗する
     という場である。
     これによって釣堀の老人と青年こそがその親子だと察するが、ふたりはお互いに
     それと知らぬままに釣りを続ける・・・・・。

     感心したのは、万太郎戯曲の生命線である、間のとりかたのうまいこと、台詞
     の明晰さ、充実した舞台でした。

     上出来だったのが、芸妓春次の片岡静香。下町の粋筋のシャキシャキ台詞を緩急自在。
     ショールの扱い方など新派の役者さん顔負けである。
     それでいて江戸前の芸妓をきっちり見せている。初演は杉村春子が同役で演じたそうです。
     この場だけの幇間の江幡高志。ことさら台詞はないが、いい味をだした。
     釣堀の小をんなは中村繭古。どうしても新派の当り狂言『鶴八鶴次郎』大詰の居酒屋での
     小をんなを連想してしまう。
     
     私は釣りはしません。ですから釣堀など行ったこともありません。
     昭和初期の東京下町には、熱燗付のそばだの天どんを、小をんなが運んで来るような
     釣堀があったんですね。
     
     のんびりした、よき時代だったんだ・・・つくづくそう思います。
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歌舞伎座裏の小さな喫茶店     -Ken’s珈琲店ー

2009-03-26 | グルメ
     

     歌舞伎座でお芝居を観た帰りは、歌舞伎座裏の里垣ビルに
     寄ってみる。そこにひと休みしたいコーヒー店がある。

     ネルドリップのKen’s珈琲店です。

     昭和通りを京橋方向へ。歌舞伎座の楽屋口を過ぎて最初の信号、
     「銀座三丁目」の交差点を右折。一つ目の角の「ラーメンやまちゃん」
     を左折しますと、左手にコ ロッケパンが有名な「チョウシ屋」さんが
     見えてきます。そのもう少し先、右手にある里垣ビルの二階です。
     
     店内はクラシックな調度。ステンドグラスの淡い光が、ゆったりした
     気分にさせてくれます。低く流れるジャズも耳障りではない。
     「Ken‘s」は、小津安二郎の映画に出てきてもおかしくない喫茶店
     です。
     以前は、先代の勘三郎さんご贔屓の歌舞伎座近くの「ルブラン」に
     よく行ってましたが、西銀座に移転してしまいました。

     「Ken‘s」はもちろんコーヒーが売物ですが、注文すればマスター
     が自家製のパスタもつくってくれます。それにマスター自らが厳選
     されたワインも何本かあります。        

     この日は「ミニトマトと生ハムの冷製パスタ(画像/下)」を注文。
                
               

     ミニトマトは丁寧に湯削きされており、フレッシュな甘さでした。
     生ハムは、塩加減といい、肉厚加減も良好。
     そしてクレタ島のオリーブオイルとバジルソースをよく混ぜて、から
     めながら頂きました。
     ワインは白の「サイクルズ・グラディーエーター」。締めのコーヒーは
     Ken’sの特製ブレンド。

     時の移り変わりの中で
     昭和の懐かしさと
     人のぬくもりを
     垣間見かけたような喫茶店でした。
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フルーティなシャンパニュー     丸の内の「IL GHIOTTONE]

2009-03-23 | グルメ
                        


     京都にある予約の取れないイタリアンが東京・丸の内に進出。

     TOKIA(東京ビル)の1階。シンプルな間口で、ガラス扉の上には
     白いひさしと店名を示す小さな文字。
     そして、料理もコストパフォ-マンスに優れ、東京の素材、京都の
     素材を見事に融合させたイタリアンのお店です。

     今回のお目当てはシャンパニュー。
     実は、アネモネの花がトレードマークの「ペリエポック」(画像)
     で有名なぺリジュエ社のキャンペーン中で、アネモネの花が咲く春
     から初夏にかけてグラスでもいただけるという朗報。
                   
                                  
     
     その日頂いたのは、「グランプリュット」(画像/上)。
     素直で飲みやすい味わいと、青りんごや白桃を思わせる香り。
     それと、豊かなアロマで、ゆるゆるっとリラックスタイム~

     ペリエポックフェアは5月31日迄。みなさんもお時間があれば
     是非行ってみてください。
     ただ、1か月ほど前からの予約が必要です!!
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サロンド・クローバーのロイヤルミルクティー ー伊勢丹新宿店ー

2009-03-22 | 本日の○○
                



            


     伊勢丹新宿店へ買い物に出かけたときには必ず寄るサテンがあります。
     紅茶がとても美味しい「サロンド・クローバー」というカフエ。
     メンズ館3Fにある”プラザ”のすぐ前です。

     この店のロイヤルミルクティー(画像)がメチャ美味しいです。
     それに、タバコが喫える貴賓室のごときソファー席が店の奥に設けられ
     ています。

     この日は都内で22℃もあり(←それでも室内暖房がしてありました。
     馬鹿じゃなかろうか!!)5月中頃の暖かさ。・・・なので、アイスを注文
     しました(画像)。

     すごくアッサムらしいコクがあって、味にはパンチがあり、ほのかな
     甘みもあります。

     ミルクティー向きの茶葉ってあるんですよ。
     CTC(←潰す 細かく砕く 丸める)とよばれる茶葉のことです。
     細かくすることで、紅茶が抽出しやすくなり、味が濃くなってコク
     がでるので、ミルクティーに最適な茶葉になります。

     もう1つ。
     ミルクティーは牛乳によってキマる!! これホントなんです。
     ミルクティーに最適なのは低温殺菌のミルクだそうです。
     低温殺菌を使うと、なめらかなでマイルドなミルクティーが出来上がり
     ます。
     低温殺菌のミルクは、普通のミルクより価格が1,5倍ぐらいして、
     賞味期限が短いのが特徴です。
     ですからスーパーでは、低温殺菌牛乳はあまり見かけません。採算の合わない
     商品だからです(笑)。

     クローバーのロイヤルミルクティーの茶葉はアッサムの上級品。
     業務用の低温殺菌の牛乳を使っています。

     紅茶とミルクのバランスがよいから、美味しいロイヤルミルクティー
     が生まれるのだと思います。

     
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これを食べずして「いよかん」食べたと言うな!! いよかん『弥生紅』

2009-03-10 | 本日の○○

「えっ!?この時期 に”いよかん”なの?」
通常いよかんが出荷されるのは1月から2月にかけてですよね。
ところが、いよかん『弥生紅』はじっくりと樹で熟成させて春を待ちます。
時間をかけて熟成させることで、甘さが増し、美味しさが頂点に達するのです。
早すぎても『弥生紅』とは呼べません。
弥生3月限定で、本物の美味しさだけを味わって欲しいという、
いよかん農家の味への頑固なこだわりがあるわけなんです。




『弥生紅』の名前にふさわしく、紅の珠は美しいです。
「色よし、味よし、香りよし」と三拍子が揃っています。
熟成されているだけに、口に広がるさわやかな甘さと香り・・・。
どちらかというと柑橘類は好きでないワタクシ(←人が食べているのを見ただけで唾液が出ちゃうんです)。
でも『弥生紅』だけは結構イケます。

いよかん100g中にビタミンCが35㎎ほど含まれているそうです。
皮も重宝です。
食べた後は、布袋(←常宿のホテルでクスねてきたもの)に皮だけを詰め込んで、お風呂で使っています。
・・・心やすらぐ芳香浴が楽しめます(笑)。

ホンモノのいよかんは、やっぱり『弥生紅』でしょう。
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