Dream Gate ( 中野 浚次のブログ )   

本日はようこそ開いてくださいました!お芝居のことグルメを語ります!


          

新しい歌舞伎座とカツサンドと!

2012-09-20 | おまけ

         

 

新しい歌舞伎座とカツサンド。

妙な取り合わせですが、東銀座の新橋演舞場に日参して、やはり目に止まるのが建設中の新しくなる歌舞伎座。

外観だけでいえば、8割程度できてるように思います。石原東京都知事が銭湯だといった、唐破風をはじめ瓦屋根、欄干などの意匠が顔を覗かせていました。

背後に聳えるビジネスビルの建設はともかく、劇場内部、それに地下のメトロ東銀座駅との連絡通路など、まだまだ大変です。

来春完成というけれど、あのスカイツリーだって予定より6か月以上も遅れましたよね。

本年10月に完成予定の東京駅でも、丸の内側の工事が大幅に遅れているようです。追報;ごめんなさい。東京駅は予定通り10月1日に完成です。


歌舞伎座が建て替え中なので、その間新橋演舞場で歌舞伎公演をしてますが、最近演舞場周辺は様変わりして食べもの屋さんが随分増えました。

そのひとつが大阪・新世界の「グルメ・梵」の銀座店が最近開業しました。

大阪から進出してきたわけです。

この店の売り物は牛ヒレ肉を使ったカツサンド。 画像のカツサンドはお土産用のハーフで1000円です。

卵に加えチーズや香辛料などを混ぜた特製の衣の味もさることながら、手作りの生パン粉使用であっさりした味わいとサクサク感が好評のようです。

店内は7席のカウンターしかありませんが、ランチメニューも日替わりでことに女性客に人気だとか。

それも4、5人いる店員さんは韓流スターなみのイケメン揃い。

新橋演舞場に行かれましたら、いちどお寄りになってください。

 

                                    グリル・梵 

[住]中央区銀座7-14-1
[03-5565-3386
 (営業)11:30~23:00
日曜・祝日
東京メトロ日比谷線「東銀座駅」4番出口より

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種之助の涎くり   秀山祭の「寺子屋」  ― 新橋演舞場・昼の部 ―

2012-09-15 | 歌舞伎


前回の新橋演舞場夜の部に引き続き、今回は昼の部。

義太夫狂言『寺子屋』と黙阿弥の世話物『河内山』の2本立である。幕間40分の休憩が1回ある。

今月から初の試みらしいが(いつもは3本立て)、わたしは今回のような試行に賛成したい。

嬉しいのは『寺子屋』は、いつもなら源蔵戻りからだが、今回は千代(福助)が子の小太郎を入門させる「寺入り」から。

これだと、菅秀才の身替りになる、我が子小太郎との最後の別れ、つまり母の心情がより鮮明になる。

それと、なにより嬉しいのは、涎くり(種之助)の仕どころというか、見せ場が多分にあることだ。

 

 

滞在してるホテルで夕刊をみると、今回の歌舞伎評がちょっぴり載っていた。大半が吉右衛門のせりふ回しの賛辞ばかり。

最後の1行が「種之助の涎れくりがいい」。それだけである。

いま一番注目しているのは、又五郎丈の長男・歌昇(平成元年生まれ)と次男・種之助(平成5年生まれ←画像)のご兄弟である。

兄弟といえば阪神の新井良太新井貴浩選手も三味線の吉田兄弟も好きです。

話が逸れましたが、昨年も同じ新橋演舞場で父又五郎の初役源蔵で『寺子屋』をみている。そのときの涎くりが兄貴の歌昇だった。

著名な演劇評論家が歌昇の涎くりを「あまりにも現在的すぎる」と評した。

異論を唱えるつもりはないが、わたしは今まで誰もやったことのない工夫がいたるところにあり、いい涎くりだったと思う。

この役は幹部の息子がやるのが通常だが、大名題がご馳走役で出ることもある。名前はいわないが、ある襲名公演で涎くりを幹部俳優が付き合った。

段取り芝居だけのつまらない涎くりだった。

さて種之助の涎くりであるが、ベテランの錦吾の三助を相手に回して大奮闘である。嫌味にならず、淡々と演じたところがいい。

オームという件などは、客席からかなりの爆笑があった。ことに戸浪のマネが素人っぽいのがいい。

ただし二つの欠点がある。

一つは暖簾口の引っ込みがよくない。涎くりの役でなく、素になってしまっている。小川暁久になってしまっている。

二つ目は寺子の親たちが迎えに来るところ。涎くりは3番目である。花道でおんぶしてもらうのが逆に祖父の橘三郎をおんぶするのがいつもの決まりだが、ジャンプしないで横を通る始末。所見の日だけならいいのだが・・。

又五郎の玄番はニンだと思う。期待通りのいい玄番だ。

その又五郎曰く
「息子の種之助が涎くりで出させていただいてますが、玄番が涎くりを叩くところは思いきり力をかけますハ、ハ、ハ」。

   左の高頬にひとつのほくろ!!

ご存知『河内山』。

やはり吉之助の持役の北村大膳がうまい。

それと米吉の浪路がこの芝居にうまくおさまった。7月の松竹座より格段の進歩である。

人気狂言がふたつ。夜の部よりも盛況だった。 

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本日の中トロ漬 け丼

2012-09-12 | 本日の○○

 

夏バテのこの時期、なにか簡単につくれて,シャッキとしたものはないかと、いつも夕食のメニューに悩む日々。

デパ地下で国内産の中トロをゲット。ひさしぶりに漬け丼を作ることにしました。

まぐろの漬け丼といえば、まぐろの赤身か、キハダマグロをつかうのが普通ですが・・・。

中トロをフンパツしてつくっちゃいました。

要するにポイントは、まぐろの旨味を引き出す「煮切り醤油」を丁寧に作って、きゅっと締めた冷たい切り身が信条の丼。

人肌の酢飯とまぐろとがマッチすろかがこの料理のポイントだと思います。

そこで煮切り醤油の私流レシピをご紹介します。

濃口醤油 45cc 味醂 22cc 酒 22cc  練りワサビ  適宜です。

※ 小鍋で味醂と酒を沸騰させてアルコールを飛ばしたら醤油を加えて、再沸騰したら直ぐに火を止めて冷ます。

※わさびを溶かし、バットに移し、鮪の切り身を並べて両面にタレが回るようにラップで落し蓋をし、冷蔵庫で一時間ほど浸け込みます。

               (づけ丼にしっかり味が入っていますので、シャリ酢は普通の酢飯よりも少なめにします)

     Y君へ
       このたびはマヨネーズを使わないお料理です!!  お試しあれ!

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驚くべく実悪の凄さ  『馬盥』の吉右衛門  ―新橋演舞場・夜の部―

2012-09-09 | 歌舞伎

 
「馬盥」とは、馬に水をのませる桶である。
春永(←織田信長)が光秀(←明智光秀)に、馬盥で酒をのませるところがあるので、俗にこの芝居を『馬盥』という。
春永の光秀に対する態度はサディストめいているが、それだけに後の光秀の謀叛が引立つのである。

どんな世界でも、どこの会社にも、天性気の合わない人間同士はいるものだ。
この芝居の春永と光秀もそうであった。
春永は光秀をいじめぬく。それをジッと耐えている光秀。
ひと口でいえば、そんなお芝居である。

光秀には、当たり役にしている吉右衛門。春永には染五郎の代役で歌六
光秀が愛宕山で二人の上使を斬って刀をぐっと見る凄味。圧巻である。
さすがに大歌舞伎をみた迫力である。

本能寺での幕切れ、花道七三で「魚の水を失い、鳥がねぐらを焼かれし如く」のせりふ回しのうまさは抜群。
それに『馬盥』といえば「この切髪は越路にて」の名セリフをたっぷり聞かせて堪能させてくれる。
吉右衛門という役者のスケールの大きさが演舞場という劇場(こや)の寸法にぴたりと収まった感がしてならない。

対する春永の歌六も染五郎の代役といえども、その力強さ、その明晰さ、堂々とした大きさは立派に本役である。
立派さは買うものの、もう少し男の色気がほしい。小姓に森蘭丸(←歌昇)、森力丸(←種之助)という前髪の美少年の色子がいるではないか。
完璧な出来も味がないというか面白くないものである。

世の中に明智光秀を嫌う人は数多い。
あの山本周五郎もそのひとりだった。生涯に一度も「明智光秀」だけは書かなかった。
鶴屋南北はこの『馬盥』で信長光秀確執の稗史を歌舞伎に書いた。

わたしは先に”気の合わぬ奴”が世の中にいるものだといった。もっとも性格の違い、考え方の違いもあるだろう。
春永と光秀はおそらく後者だと思う。
つまり春永にとっては、天下は自分個人のもの、光秀は万人のものだと思っている。
とすれば、この芝居は現在にも通じる古典劇にもなりうるのではないだろうか。

 

         


魁春(画像/右)の皐月は、座頭吉右衛門を向うにまわして力演である。
ことにあまり動きのない場面の出場ではあるが、スキを見せない時代物らしい生彩があって存在感が十分。
「貞女とも褒められる行いがかえって夫の難儀を招く、その無念さを出したい!!」とは魁春さんの弁。

芝雀(画像/左)の桔梗は持ち役。この人の芸域の広さに驚く。女形さんのほとんどいない播磨屋さんでは、貴重な欠かせない存在でもある。
「世の中で一番好きな人は?」の質問に、「うちの女房です!!」と即答してくれました。

 

 

 

切りが七世芝翫さんを偲んで『娘道成寺』。
思えば昨年の9月。同じこの新橋演舞場で淀君を演じたのが芝翫さん最後の舞台となった。
今回は長男の福助が白拍子花子である。道行はカットして、押戻がつく。

「恋の手習い・・・」の手踊りで使った手ぬぐい(←画像)を観客に投げるのが慣例なんです。
12人も出ている「聞いたか坊主(所化)」たちも袖から手ぬぐいを出して観客になげてくれる。
甲子園球場でヒーロー選手がサインボウルを観客に投げるのと同じ光景である。

その所化のなかに知った役者さんが出ていて、しかも前から5列目の私の席めがけて2本も投げてくれた。もちろん2本とも命中した。
ところが私の後席のおばちゃんが「わたしに1本戴けません?」とのお声が。失礼な!!

こういう交歓が歌舞伎の本質なのである。

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