哲学者か道化師 -A philosopher / A clown-

映画、小説、芸術、その他いろいろ

今週のアニメ一言(?)コメンツ

2006-05-20 | アニメ
『ひぐらしの鳴く頃に』
 おもしろいのではあるが、そろそろ萌えキャラが突発的に凶キャラに変貌するというパターンには飽きてきた。果たして、あんな謎だらけの状況にいかなるミステリー的解決を行うか、ということが気になって仕方ない。だが、あまりにも状況が謎過ぎて、まったく推理ができない(泣)。ミステリーの楽しさというのは、ミスリーディングも含めて推理の楽しさにあるのだが、その回路の働きようがないわけだ。これで完璧な解決起こしたら、まさに『神』なのだが、そこまで期待していいものやら…。

『ARIA The NATURAL』
 今回のシリーズは、猫が影の主役っぽい。前のシリーズに比べ、怪しい雰囲気を漂わせた回が多いが、今回はその中でも際立った回だった。しかし今のところ、微妙、としか判断できない。『ARIA』の良さは、そのほんわかした雰囲気だと思っているが、そことの関係が見出せないのだ。果たして、ほんわかの中に回収できないものとして怪しさを提示するのか、それとも怪しさをほんわかの中に引き込んでしまうのか。今後の展開によって、評価の変わりそうな回。

『Fate/stay night』
 お気に入りキャラのキャスターが死んでしまい、これで筆者の好きな『Fate』キャラ、ライダーどキャスターは双方成仏に。ただ、ライダー実は生きていそうな気もしているのだけれど。桜も救出され、最終決戦時に、実は生きていたライダーとともに桜参戦→原作では達成し得なかった、『Fate/ataraxia』につながるグランドフィナーレ(聖杯で全員黄泉がえりとか)。やはり、原作をなぞるよりも、何か新しいものを作ってほしい。

『スクール・ランブル二学期』
 主役は姐さん! 清水香里のドスの効いた演技が冴える。まあ、この姐さんの立ち位置は、陰謀をめぐらし裏から話を支えている、作中『絶対者』の位置にある。よくあるパターンといえなくもない。というか、あまり書くことがない。

『涼宮ハルヒの憂鬱』
 キョンのツッコミがさえていて、そこそこ笑える回だった。だが、おもしろくもないハルヒ由来のとんでも現象とか、キョンの長門に対する青臭い感想とか、勢いがそがれる。とんでもとか、電波とか、非日常系とか呼ばれるこのシリーズだが、実はものすごい凡庸なテーマでやっているだけ、ということを、もっとみんな指摘してもいいと思うんだが、逆にそんなことは当たり前すぎて言う気にもならないのか。私的な感想でしかないけど、『ハルヒ』(特に原作版)はあまり認めたくない。なんでかって、全然オリジナリティがないからなのである(もっともライトノベルのオリジナリティなど追求していったら、どこにもないわけであるが)。

『エアギア』
 都市の背景が丁寧で美しい。都市とか空間などは、この作品の隠れた主人公ではないだろうか。エアトレックの爽快感は、都市の重たさや閉鎖感への苛立ちの裏返しとも取れる。都市という垂直に伸びた空間がなければ、エアトレックで走る空間自体が存在しないわけだし。今回は、まあ終盤へ向けての中継ぎといった印象。原作のマンガは大暮維人氏の画力で書かれるアクションが一つの魅力だが、残念ながらアニメはアクションが全然生きていない。そうなれば、もうグダグダになってしまうが…。果たして、小中千昭脚本は、それを乗り切れるのか。

『BLACK LAGOON』
 あれだけ銃をぶっぱなしても、すっきりしない話もあるのだなあと。最後にダッチがレヴィに「お前は、なにをしてもすっきりしない」とか言うが、印象深いセリフだった。この話は全体的に皮肉が効いていて、どんな理念よりもお金が強いという(一応の)テーマが示されている。金は現実的である。だが、金だけ集めても仕方ない、というのもまた確かである。はたして、レヴィはこのシリーズの最後に、どこにたどり着くのだろう?ロックに説教されておわりという気もしないではないが。

『.hack//Roots』
 なかなか動かなかった物語が、ようやく動き出したという印象の回。でもいまいち面白みがない。ウイルスコアや矢じり状のマーク、オーバンなどなど謎は示されているけど、それがどう絡み合うのかというヒントが出されないと、単にもったいつけれいるような印象が無きにしも非ず。それに物語の謎を際立たせるには、一見反対に見えるがもっと人間関係のドラマを描かねばならない。やはり、イマイチ感が抜けない…。

『機神咆哮デモンベイン』
 新番組。今回は、キャラクターやロボット、設定などの顔見せ程度。第一話を見る限りクオリティは高く、原作の評判は良く、脚本は黒田洋介なので、おもしろくないわけがない。今期はロボットアニメが少ないので、そういう意味でも期待。しかし、もともとエロゲーという、言ってみれば反社会的なジャンルが原作のアニメ(『Fate』『ダ・カーポ』など)があたり前になってきたが、こうみるとエロゲーというのも、別にそれほど特殊なジャンルでもなかったのかなあ、と考えたりする。もともと同人サークルや小さな会社のゲームがヒットして、それがアニメを作ってDVDを売る会社(ジェネオンとかのことだが、なんと呼べばいいのだろう?)に吸い取られるようにしてアニメ化されて販売されているのだが、これって言ってみれば子供的なもの(楽しみ)が大人的なもの(資本)に利用されている、と言えないこともない。確かに、おもしろいゲームがアニメ化されるのはファンにとって喜ばしいものだが、本当に素直に喜んでいいかというと、ちょっと迷うところもある。ただ、体よく金を払わせて踊らされているというだけなのかもしれない。サブカルチャーは、元来資本に回収されないからその位置価を発揮するのだが、現在では、積極的に資本に回収されることで、その位置価を維持している。それはもう作品でもなんでもなくて、端的な「商品」なのではないかと。とはいえ、もちろんその「商品」の中で頑張って「作品」を作っている人たちは当然いるわけで、事態は複雑である。とりあえず筆者としては、「商品」と「作品」の間の緊張を保つために、かつてなら「芸術至上主義」とでも呼ばれたかもしれない、論理を片隅に置くこと。そのためには、ダメなものはダメ(地雷は地雷?)と批判していくことが必要なのではないかと思う。まあ、そんなこと多かれ少なかれみんなやってることだし、肩ひじ張って主張することでは全然ないのであるが。

『ザ・サード 蒼い瞳の少女』
 今まで見ていなかったシリーズを『デモンベイン』のついでに観てみた。ちなみに『デモンベイン』と『ザ・サード』はWOWOWのノンスクランブル放送なので、BSが観られるひとなら誰でも観ることができる。クオリティも高く、普通に良くできたアニメ。原作を(もう四年も前だが)読んでいたことがあるので、原作の微妙にセンティメンタルな雰囲気や登場人物の心理をうまく再現していることがわかる。とは言え、もともとアクションが重要な作品。アクションがなかった今回だけでは、評価を決めかねてしまう。来週は、ブルーブレイカーとの対決があるのでとりあえず期待。ただし、ブルーブレイカーは、原作のロボットなイメージからパワードスーツっぽいイメージに変わったので、原作イメージのブルーブレイカーがけっこう好きだった筆者としては、ちょっと残念な感も。

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