哲学者か道化師 -A philosopher / A clown-

映画、小説、芸術、その他いろいろ

『アビス』

2008-11-02 | 映画
アビス 完全版 (ベストヒット・セレクション)

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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「片道切符だということは分かっていた。だが、やらねばならなかった」

 『アビス』という海洋SFアドベンチャー映画を観た。まあ、ジャンルからわかるとおり、『スフィア』と似た感じの映画ではあるが、尺が三時間もあるせいか、凡作だった『スフィア』よりも満足感は高い。それに液体呼吸や海溝など、海洋アドベンチャーとしてのアイディアにも富んでいる。しかし、海洋アドベンチャーなのに、モチーフが外宇宙からの存在であり(なんで、素直に地球の海の先住民にしないのか)、ものすごく説教くさい映画であるところなんかはやはり似ている。しかし、この映画で最も印象的なのは、アメリカで一番強いのは「おっさん」ということである。主人公が『アルマゲドン』と同じく石油採掘のおっさんで、軍人相手に格闘したり、潜水艇でチェイスをかましたり、妻に人工呼吸したり、そのあとほとんど間を置かずうん千メートルのダイブに挑むなど、鉄人そのままの活躍を見せる。

 アメリカの原子力潜水艦が謎の存在との接触により沈没する。これをロシアの潜水艦の仕業と見たアメリカ政府は抗議、第二のキューバ危機と言われる事件が起こる。そんな中、キューバ付近の海域で、沈没した潜水艦から生存する乗組員を助ける計画が持ち上がる。しかし、その海域にはタイフーンが近付いており、軍の救助隊では間に合わず、近くの海域で石油を採掘していた民間スタッフが計画のために徴用される。しかし、潜水艦の乗組員はすでに全員死亡しており、民間スタッフを指揮する軍人は潜水艦に搭載されていた核爆弾を回収する。秘密裏に回収された核爆弾に激怒し、軍人たちとの間に軋轢を深めていくスタッフたちであったが、彼らは同時に潜水艦と接触した謎の存在を目撃するのだった。

 感想は、すでに書いたとおり。ただ、海洋ロマン度は高い一方で、軍人がやけに無能だったり、離婚しかけだった夫と妻のラブロマンス(?)が終盤を引っ張る構成で、うっとうしいと感じる向きも無きにしもあらず。海洋アドベンチャーというくくりの中ではよく出来た映画だとは思うが、別にこのジャンルに思い入れのない人には勧めるポイントを探すのは難しいかもしれない。ロマン度やSF度は高いんだけどなあ。

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