もぐ菜のみっしり茶匣(はこ)院

ようこそ腐女子の匣喫茶へ お好みのモノをどうぞ、召し上がれ。 日々を書き連ね、妄想をこよなく愛でます

オリジナル 霧島と夏貴の出会いの物語 おまけ☆中編

2010-12-21 00:12:01 | 腐女子の御伴
         *ご注意*



本編のsummer Roseを読んでくださった方向けです。




         おまけ☆中編





秋も深まり街路樹(がいろじゅ)は葉を、鮮(あざ)やかに紅(あか)や黄金(こがね)に色に染め上げる。



金曜日の午後の事。

母親と姉の夏美は近所のマーケットへ買い物へ出掛けて居るので、夏貴は一人で留守番をして居る。

夏貴が母親と姉の夏美と買い物に出掛けない理由はある。その秘密は母親と姉を気にせずに霧島と遊べるからで母親は買い物からそう早くは帰宅しない。母親が帰るルートには夏美の幼稚園の園児の母親が、居て帰る途中に必ず立ち話をして帰るの遅くなる。

夏貴は買い物に出掛ける母親と姉の夏美を見送った。




「あきひこさん。」

夏貴はそう言うと出掛ける部屋着から着替えてよそ行きの洋服に着替えて来た。白のブラウスの上に毛糸(けいと)のさくらんぼの飾りが胸元に付いた赤色のカーディガンを着てその下は姉の夏美のお下がりのジーンズ。

夏貴が出掛ける仕度をした姿を見てどこかへ出掛ける気であるのを霧島は察(さっ)した。

「どこへ出掛けましょうか??」

霧島は夏貴に尋ねた。

「うん、いっこくどうさんのところへいくよ。」

「一刻堂(いっこくどう)の所ですね。」

霧島はそう言うと一刻堂(いっこくどう)に電話をした。電話は繋がり霧島は夏貴の来訪(らいほう)の件を伝えると来る様にとの返事だった。

夏貴と霧島は出掛けて行く。霧島は夏貴を抱きかかえて姿を消した。

一刻堂(いっこくどう)が住んで居ると言う屋敷(やしき)に一瞬の内に着いた。かなりの急な坂の上にあるらしく遠くに小さく街並(まちな)みが下に見え廻りは鬱蒼(うっそう)と秋だっと言うのに深く青い森林(しんりん)が生(お)い茂(しげ)っていた。

夏貴は屋敷(やしき)の門を見る。昔ながらの和屋敷(わやしき)で時代劇で見る様なお代官が住んでる古い建物と。

門にはインターフォンもない。霧島が門に近づくと音もなくぶ厚い門が開いた。

門から歩くとかなり玄関まで距離があり日本庭園が広がり大きな池もある。白の玉砂利(たまじゃり)が敷(しき)き詰められ霧島は夏貴を抱きかかえ玉砂利(たまじゃり)を歩くが音もさせずに歩く。

霧島が玄関前に着くと紺色(こんいろ)の着物を着た一見(いっけん)は人間の男性には見えるが人ではなく一刻堂(いっこくどう)の術(じゅつ)で人の姿になった式神(しきがみ)だった。

「いらしゃいませ。主(あるじ)がお待ちしております。どうぞ、こちらへ。」

そう言い夏貴と霧島は夏貴を降ろし案内され靴を脱ぎ二人は座敷(ざしき)へ上がった。

広い廊下を歩く一番奥の座敷(ざしき)へ案内されると、襖(ふすま)を開ける前に式神(しきがみ)が声をかけた。

「御主人様、お客様がお見えになられました。」

そう言うと式神(しきがみ)は夏貴と霧島に深々とお辞儀(じぎ)をし襖(ふすま)を開けた。

部屋は和室で障子(しょうじ)が開けられており外の日本庭園(ていえん)見える。床の間には何か古い掛け軸(じく)が飾られており天井からギシギシと音がする。

一刻堂(いっこくどう)は天井(てんじょう)を見上げ一声を言う。

「客が驚く静かにいたせ。」

夏貴は天井(てんじょう)を見上げた。

「だれかいるの??」

「家鳴(やな)りと言う手の平に乗る小さな鬼で、音をさせて家を小さく揺らすだけで実害はない。」

そう言うと天井(てんじょう)はぴったりと鳴り止んだ。一刻堂(いっこくどう)は正面に立って居る夏貴と霧島に声をかけた。

「久しぶりだ、夏貴殿。その座布団(ざぶとん)に座りなさい。」

「はい。」

夏貴は返事をし座布団(ざぶとん)は二つ並べられているが霧島がまず座ると夏貴は霧島の膝の上に座った。

夏貴と霧島を案内した式神(しきがみ)がお盆(ぼん)に来客用の湯呑(ゆの)み茶碗と皿にようかんをのせて来て大きく立派な座卓(ざたく)に、湯呑(ゆの)み茶碗と皿に盛られたようかんを一人づつおき来たのと同じく音もなく消える様に去って行く。

「どうぞ、召し上がれ。」

「ありがとう。あのね、これね、わたしとなつみおねえちゃんがつくったくっきー。」

夏貴は持って居たマーケットのビニール袋から透明のビニール小袋に入れられたクッキーを出した。

「ほぉ、焼き菓子か頂(いただ)こう。」

一刻堂(いっこくどう)はそう言い、手を出し星の形をしたクッキーを一枚摘み食べた………

一刻堂(いっこくどう)の眉間(みけん)に眉(まゆ)が寄る。クッキーを食べ終えて緑茶を飲み干し一息ついた。

「塩味がほど良い。この僕でも、初めてのご相伴(しょうばん)だ。」

「うん、それはね。なつみおねえちゃんがさとうとしおまちがえたの。おいしいでしょ??」

夏貴は満足げにそう言いながら美味しいそうに言い丸い形をしたクッキーを食べて、ハートの形をしたクッキーを摘み振り返り自分を膝に乗せて後ろに居る霧島に言う。

「あきひこさん、あ~んして。」

霧島は口を開けると夏貴はクッキーを霧島に食べさせた。

「美味しいですね。」

ニコニコと霧島が幸せそうに言うので一刻堂(いっこくどう)は今後のこの二人が不安になった。





おまけ☆後編

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。