Diamond Onlineのこの記事より
日本では不当な“派遣切り”が増えているというが、非正社員の待遇格差問題は米国でも深刻だ。米国人のパート、臨時雇いなど非正社員は約4000万人で、総労働力の約27%を占める。
待遇格差解消には、なにはさておき正社員と非正社員の協力関係が欠かせない。正社員の多くは、会社が低賃金の非正社員を増やせば、いずれ自分たちのポストが危なくなるとの不安を持っている。したがって、非正社員の待遇改善のために一緒に闘うことは自らの利益にもなると納得すれば、彼らは立ち上がるだろう。・・・
米国の格差がこれだけ悪化した最大の原因は、労働者の権利を守る組合の力が弱くなったことにある。組合組織率は1980年の20%から現在は12.5%にまで下がってしまった。
「非正規社員切りが米国でも加速している。経済合理性の国だけに、その流れは激烈だ。」という文章とともに記事が紹介されているが、この記者は格差問題について何を読んできたのだろうか。非正社員の問題が最も深刻なのは、正社員が法的に保護されている国、つまり日本やフランスであってアメリカではない。だから、経済合理性がこの問題をもたらしているという分析も間違いだし、アメリカの格差の悪化の原因を組合組織率の低下に求めるのも完全な間違いである。
むしろ逆に、アメリカでは正社員の解雇が可能であるために、「正社員の多くは、会社が低賃金の非正社員を増やせば、いずれ自分たちのポストが危なくなるとの不安を持っている。」という状況をもたらし、市場原理は逆に不安定な非正社員が社会的に差別されない状況を作り出している。これは、日本において正社員の雇用が保護されているため、非正社員の調整弁としての雇用が正社員の雇用の安定をもたらすことになるために、労働組合が率先して非正社員の雇用増加に協力してきたのとは対極的だ。
つまり、市場原理は非正規社員の権利や待遇改善に直接間接の恩恵をもたらしているのであって、逆ではない。さらにいうと、最大の問題は権利の格差であり、それがあるために市場が歪み、実際問題としての格差が非常に大きなものとなってしまっている。スウェーデンのように労働者全体を労働組合が保護しようとする方法も、アメリカのように労働組合の影響力が低下する状態も望ましいが、一部の労働者だけが保護される状況は望ましくないことがわかる。
非正規雇用率高いのは日本がダントツでアメリカ以上なことを知らないんでしょうかね、この筆者は。これで金もらって文章書いていると思うと、怒るというよりただただあきれます(笑)