車輪を再発見する人のブログ

反左翼系リベラルのブログ

生産性論争

2008年11月29日 | 経済学
最初の記事がこれというのも何なんですが説明しときたいので。

池田氏山形氏との生産性に関する論争ですが、池田氏は賃金は労働の限界生産性によって決まると主張し、山形氏は絶対的な生産性ではなく平均的な生産性が賃金水準を決めるとしている。この議論に分裂氏workhorse氏小飼氏等が参加してきていますが、説明のピントが少しずれているのでわからない人も多いと思う。

結論から言うと山形ブログの「経済学者3人にきいてみました。」が一番簡潔な説明なのだが、これでは理解できない人もいると思うので説明しよう。

ポイント1 生産性

山形氏の平均生産性と池田氏の限界生産性で対立しているわけだが、細かいことを言えば限界生産性と生産性の違いなど色々あるのだが、ここで一番重要なのは山形氏の平均生産性・絶対生産性は生産量なのに対して、池田氏の限界生産性は生産される量ではなく価値を表しているということだ。

限界生産性の価値というのは、生産しているものの価格に限界生産量を書けたものである。つまり、限界生産量(これは絶対的な生産性に大きく影響を受ける)だけでなく、何を生産しているかにも大きく影響されるし、生産しているものの価格の変化にも影響を受けるんだ。表現を変えれば、生産しているものの交換価値が重要なんだ。

ポイント2 生産物の価格

生産性が上昇すると、実はそれによって価格も影響を受けるんだ。生産性があがれば、低コストで生産できるようになるから利潤が増える。そうしたら、利潤を求めて新規参入や増産が起こるだろう。結果として価格が低下する。当然、限界生産性も低下する。だから、絶対的な生産性があがったとしても、必ずしも限界生産性が急上昇する訳ではないんだ。

これに、労働の需給も絡んでくる。当然、賃金の高い産業に移動が起こる。だから、社会全体の賃金は労働の移動に伴って平準化することになる。そして、人手が減った産業の製品は供給不足になり値上がりする。こうやって、生産物の価格と賃金が変化することによって市場はある産業における生産性の上昇に対処するんだ。

結論

個々の賃金は限界生産性の価値によって決まるが、限界生産性の価値自体が生産物の価格の影響を受けるため、生産物の価格が限界生産性の価値を国内で一定化する方向で、動くためにその国の賃金水準は平均的な生産性の影響を強く受ける。決して、絶対的な生産性自体によって賃金が決まるのではない。

3人の経済学者が相対価格とか言ってるのは生産される財の価格が変化するってことなのね。

だから結論としては、生産性が高いから賃金が高いって訳ではないんだ。生産性も要因の一つかもしれないがそれ以外の要素もあるわけだ。逆に言うと、そこが大きな問題なんだ。

小飼氏は消費性って言葉でそれを表現しようとしてるけど、賃金が高いのは生産性が高いんじゃなくて作ってる財の価格が高いだけってことがあるんだ。テレビ局の社員ならどんなくだらない番組を作ってても、作ってる財の価格が高いから賃金が高くなるんだ。

これは、日本の製造業の賃金が他の産業より低いってことにも関係してくることだ。財の価格が限界生産性に影響するために生産性が高くても、競争が激しく価格が下がり続けるから賃金が相対的に低いんだ。逆に、生産性の低い保護されている産業が高賃金になっているんだ。

だから、日本が抱えている一番の問題は池田氏はノンワーキングリッチという言葉で表現しているけど、生産性の低い人たちが保護されて高賃金であることなんだ。そして、生産性が低くても生産性の財の価格が高くありすれば高賃金になるために努力が間違った方向に向けられていることなんだ。そして守られている者とそれ以外との格差が拡がっていることなんだ。

だから、逆に今の日本の問題は格差が存在するために経済が停滞しているともいえるんだ。本来なら、生産性の低い・高賃金の産業には次々と新規参入が起こって賃金が低下すると同時に生産性が上がらないといけないんだ。でも、強いものは保護されているために競争が起こらないんだ。結果として、強い格差が発生すると同時に生産性が停滞している。

今日はこの辺で。


1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (toorisugari)
2008-12-02 14:35:52
oyo
返信する