少し前のダイヤモンドオンラインの記事だ。ドイツ最大の労働組合の、ドイツ労働総同盟の法務担当幹部のインタビューだ。
ドイツでも派遣社員は雇用の調整弁として使われているので、契約途中で解雇されることはある。でも、派遣社員のほとんどは失業保険や健康保険に加入しているので、路上に放り出されるようなことはない。つまり、彼らは賃金や雇用保障の面では差別されているが、社会保障の面では差別されないということだ。・・・
正規・非正規を問わず、労働者の社会保障には健康保険、雇用保険、年金の他、障害保険や介護保険などが含まれる。失業手当の給付期間は1年以上働いた人は6ヵ月、2年以上は12ヵ月、2年半以上は15ヵ月、3年以上働いた人は18ヵ月となっている。
また、失業手当が切れても再就職できなかった人や、最初から失業手当を受け取れない人たちなどを対象に“失業給付2”という制度が設けられている。これは食費や家賃など最低生活を維持するための扶助で、仕事が見つかるまでほぼ無期限に支給される。給付額は単身者で毎月約350ユーロ(2009年2月現在)となっている。
さらに政府や労働組合などが共同運営している職業訓練センターが全国各地にあり、失業者や転職希望者はいつでも必要な訓練を受けることができる。訓練内容はコンピュータ、経理、外国語などいろいろあるが、求職者はスタッフと相談しながら、必要な訓練を受ける。その間に失業手当が切れても“失業給付2”があるので、彼らは安心して訓練や就職活動に専念できる。
記事の内容から分かるように、失業した場合には失業保険などの社会保障によって失業者を保護することが行われている。これは、日本以外の先進国では当たり前で市場は自由競争にして解雇規制を緩め、失業した人は社会保障によって救済する。ドイツの場合は、まだ解雇規制の緩和は遅れているが社会保障の方は充実している。それは、それが社会民主主義の基本政策だからである。
だから、失業保険などの社会保障の充実が左派政党の無気力によって置き去りにされている日本の状況は世界的に見て異常な状況であるといえる。全国民を、特に弱者を保護するような政策を無視してひたすら特権階級を保護することを目指し続ける左翼という差別主義者達が日本の格差拡大の主犯であることがここからも明らかである。特権階級の保護によってしか、影響力を維持できない左翼は必要ないだろう。
日本に失業給付パート2を導入するとすれば、やはり同じように5万円くらいを支給し、住居については斡旋するくらいじゃないと難しいかもしれませんね。