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スウェーデンとアメリカの共通点

2009年02月19日 | 経済学

池田信夫blogで北欧モデルについて記事が出ていた。

北欧の労働生産性が高いのは、解雇自由で労働移動がすみやかなことが原因といわれているが、このモデルに普遍性があるかどうかはわからない。北欧諸国は人口数百万人で、労働人口が均質で教育程度が高い。北欧の労働者保護のインフラになっているのは、組織率80~90%の産業別労組であり、他の国がまねるのはむずかしい。同じように税率の高い欧州全体をみると、1人あたりGDPはアメリカの75%以下であり、福祉国家の経済効率は一般にはよくない。

アングロサクソン型モデルと北欧モデルでは、福祉政策等違いが多く、自由競争と平等主義という風に対立的なものとし捉えられるかも知れないが、共通点もある。それは、労働組合による差別的な労働者の保護が弱いという点だ。アメリカにおいては市場競争や組織率の低下により労働組合の力が弱まり続けている。その結果、解雇が容易になり生産性を高めると同時に、失業を低い水準に抑えている。一方、スウェーデンにおいては労働組合がほぼ労働者全体をカバーする形で組織されているため、一部の労働者を保護することなく労働者全体の利益を代表できるような仕組みが成立している。その結果、上の記事にあるように解雇自由で労働移動が可能となっている。

逆に、労働組合が一部の労働をの特権を守る存在として存在し、強い力を握っている日本や大陸ヨーロッパにおいては、労働市場が硬直化している。労働組合によって保護される労働者であるかどうかが賃金や社会保障に大きな影響を与えるため労働者が二極分化すると同時に、賃金の高い保護されている労働に人材が群がるため労働資源の分配が極めて歪んだものとなっている。

つまり、福祉政策という意味においては北欧モデルとアングロサクソンモデルは大きく違うようにも思えるのだが、労働市場の柔軟性と、その結果の資源の分配の効率という面においては共通点を持っている。だから、後で累進課税や福祉政策で所得をどう再分配するかはさて置き、その前の資源の効率的な分配の段階での過剰な保護や差別、障壁をなくしていく必要があるのではないだろうか。そして、このような政策は平等性をも向上させるだろう。

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