すずりんの日記

動物好き&読書好き集まれ~!

小説「マリアの微笑み」⑬終

2005年04月30日 | 小説「マリアの微笑み」
 いつしか牧師が、誓いの言葉を述べ始めた。要するに、本人同士が、この結婚に同意しているかどうかだ。ただ一言、「はい」と言ってしまえばそれで済むのだ。
 私は、ただ、この式が早く終わってくれることだけを願っていた。終わったら、杏子の肩を叩いて、おめでとう、と一言、自分に任された役目はもう用をなさなくなったことを知らせて、さっさと帰ってしまおう、そう思っていたのだ。

「・・・・・・はい。」

彼の声が、教会の中を飛び回った。牧師は、それを聞いて軽くうなずくと、彼女の方に視線を向けて、同じ言葉を繰り返した。 

 彼女は、返事をしなかった。
 
 返事の代わりに、バターン!という音が教会の中に響き渡った。

 床に倒れた彼女の上体を、彼と私は、彼女の肩に腕を回して起こそうとしていた。杏子の、落ち窪んだ目が空を泳ぎ、怯えた唇がわなわなと震えていた。彼女は、私の腕にしがみつこうと、指先を私の方に向けた。指の先まで隠していたドレスの袖が、この時、一気に滑り落ちた。

 それは、杏子の手ではなかった。真っ白で硬い、そう、まるで石膏のような・・・。まさか!その時、
「杏子!」
と叫ぶ彼の声がして、私は視線をそちらに移した。彼は、彼女の足元がびっしょり濡れているのに気づいたのだ。彼はドレスのすそをまくった。
 彼女は早産してしまっていた。くすんだピンク色の膜が、破れずにそのまま産み落とされていたのだ。私はとっさにその膜を破り、中の胎児の姿を手探りで捜した。しかし、そんなものはどこにも無かった。それどころか、ゴツゴツした大小の石の塊のようなものが、次々と出てきた。
 石?石膏の腕?・・・私は、その石の塊を両手につかんだまま、ゆっくりとマリア像の方を見上げた。


 私は、―――私は、一瞬、息を止めた。


 マリアは、胎児の形をした血だらけの肉の塊と、そして、我が子を抱くための両腕を、手に入れていた。私は、この手の中の石が、幼いキリストの残骸であることを知り、改めて、そのおぞましさに身を震わせた。

 後ろの方で、しきりに彼女の名を呼ぶ2人の男の声が聞こえていた。彼は、彼女の名を叫びながら、硬く冷たい手を握り締めていた。


 あぁ、全てが終わってしまった。私は、そう思って呆然と突っ立っていた。

 マリアは、・・・優しかった。微笑んでいた。母親に戻った喜びに、浸りきっていた。
産声を上げない肉の塊を見つめて―――。


(おわり)
                        
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兄からのプレゼント

2005年04月29日 | ちょっとしたこと
あっ、そうそう、兄ちゃんがデジカメをくれました。
先週、ずっと風邪ひいて会社を休んでる間に、私のブログ、全部読んでくれたらしい

それでですかね。
会う約束をした際、デジカメ使うんなら、タダでやるぞ~、って。

良い兄です
(とゴマをすっておくとまたなんかくれるかも

まだ使えてなくて、すいません
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実家へ

2005年04月28日 | ちょっとしたこと
私の親(特に母)は、かなりのボケ(痴呆ではない。たぶん)で、
私は、その母のボケネタを仕入れるために実家に帰る、といっても過言ではありません。

うちの母、その武勇伝(?)は数知れず。
碁盤の目になってる札幌の街で、道に迷ったり、
電話の子機を携帯と勘違いしてて
「今度引っ越すから、これ、誰かにもらってもらおうかしら」と言ったり、
兄が昔、10年くらい実家に帰って来なかった時も、
「死んだら連絡が来るでしょ。」と言い放つ始末。
そんな母の血を受け継ぐ私は、一見、ツッコミですが、時々大ボケをかます、と友人に言われてます。

でも、この偉大な母を、まだ超えることはできません


先週末、友人の結婚式の後、私は実家に帰りました。
札幌へ発つ前に、兄夫婦に翌日会う約束もして、両親に伝えてありました。
「うちの実家で会うと、みぃさん(兄のお嫁さん)が気を遣うから、私が兄さん家に行こうか。」
と言ったのですが、
「大丈夫だよ。」
と兄が言うので、うちの実家に、次の日、私がまた戻る前に来てもらうことになったのです。

で、夜7時、着いた私を見て、母はこう言いました。

母「兄ちゃんたち、これから来るんでしょ?」
私「えっ、来ないよ。」
母「来ないの?なんで?」
私「なんで、って。明日だって言ってあったでしょ。」
母「明日なの?な~んだ。今日来ると思って、寿司とったのに。」
私「私、今日、って言ったっけ。」
母「言ってないけどさ~!今日だと思ったんだもん。明日なら明日って言ってよね。」
私「言ってたっしょ~。」
母「そうだっけ?」
・・・って、なんで逆ギレなの?

おまけに、兄たちが来ると思ってたわりには、

母「お父さんとお母さん、先に寿司食べたから、あと、あんた食べなさい。」って。
で、3人前の寿司を出された。

おいしかったよ、すごく。
でも、当然、全部食べ切れなくて、ごちそう様しました。

次の日、
朝ごはん、寿司でした


そして、久々に兄に会い、みぃさんとも初顔会わせ。

みぃさんは、とっても優しそうな人で、ちょっとおっとりしてるかな。
兄ちゃんとケンカしたら、いつでも私のとこに家出しといでね~
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後輩の結婚式

2005年04月27日 | ちょっとしたこと
今回の札幌行きの目的は、友人の結婚式に出ることでした。

その友人は、中学の美術部の後輩。
美術部では、だいたいの人が絵画を選択。
でも私は1人、木彫を選択しました。

当時、親に、渡辺一生という人の木彫の本を買ってもらって、
その作品の美しさに心を奪われ、いくつも作品を作っては、学校祭とかに展示していました。

で、中学を卒業するとき、後輩に1つずつ、
全部作品を記念にもらってもらったことがあるんです。

式で会った彼女に、
「あの木彫りの小物入れ、まだ持ってます。」
と言われ、感激しました。

彼女の相手は、外国の方。
今後は、アメリカで生活する、とのことでした。

がんばってほしいです
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出発の準備

2005年04月26日 | ちょっとしたこと
今まで、やろう、やろうと思ってて、延び延びになっていたもの。

それはタイヤ交換。

みなさんは、タイヤ交換って、自分でしますか?それともスタンドで頼みます?
私は自分でする派です。
私みたいに、住まいが街から離れてると、わざわざ、タイヤをスタンドまで持って行ってタイヤ交換してもらうのってめんどくさいんです。
人に頼むより自分でした方が楽だし、しかもお金もかからない。

で、先週末、札幌に行く前に、タイヤ交換してたんですが、
してる時から、ちょっとした吹雪

ちょっと~
これから札幌だってのに大丈夫?
と思いながら、無事済ませて、出発。

後で両親に聞いたら、その日の朝、札幌はうっすら雪が積もってたらしいです
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小説「マリアの微笑み」⑫

2005年04月25日 | 小説「マリアの微笑み」
 その日私は、午前中に日本を発った。杏子たちは、一足先に着いて、いろいろと打ち合わせをする、とのことだった。
 
 私はその日、教会で、杏子がウェディングドレスを着て彼の隣に立つまで、彼女に会うことができなかった。早く彼女の姿を捜し出して、危険から守ってやらなければ、と思う反面、ひそかに私は、彼女に会うことを恐れていた。・・・いや、もしかしたらこれも、マリアが自分を操っているせいかもしれない。そんなことを思い巡らしながら、私は、教会の重い扉を押した。
 
 中を歩いて行くと、牧師が1人、例のマリア像の前に立っていた。彼は、
「もう用意はできています。これから新郎新婦が入って来ますので、どうぞこちらの席にお座りください。」
と、私を、たくさんの空席の中から1つ、自分に一番近い席に座らせた。私は、硬い長いすに深く腰を下ろして、マリア像を見上げた。マリアは、決してお世辞にも優しいとは言えない微笑を浮かべていた。微笑というよりは、含み笑いと言った方が近いだろうか。・・・この女は、杏子に対して何を仕掛ける気なのだろうと、私は、思った。
 
 背後から扉が開く重苦しい音がして、私はとっさに振り向いた。そこには、純白のウェディングドレスを着た杏子が、彼の腕に手を回して立っていた。何段にもなったマントのような薄い生地がヒダを寄せて、彼女のお腹の膨らみを隠すようにしていた。彼の腕に巻かれている彼女の手も、細い足首も、その、ドレスの生地にすっぽりと隠されていた。
 
 顔を白いベールに包み、彼女は、ゆっくりと近づいて来た。彼女はうつむいたまま牧師の前で立ち止まり、ゆっくりと顔を上げた。まるで、何かに対して覚悟を決めたような顔だった。生か死か・・・、私は、そう感じた。それほどの覚悟だったのだ。彼女がマリアに打ち勝って、彼女と彼女の子は、初めてその生を受けられるのだ。ということは、負ければ即ち「死」、・・・そう、それのどちらかしか無いのだ。私は、今さらながらに、自分の考えが大げさであってくれるように、と祈った。


(つづく)
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新冠町の壁画

2005年04月24日 | ちょっとしたこと
短い滞在でしたが、実家でゆっくりしました。

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札幌へ

2005年04月23日 | ちょっとしたこと
お土産を買って、札幌へ向かってます。
ほんとは、景色でも撮ろうと思ったんですが、あいにくの雨。
しかも小雪まじり。

まだまだ春は遠いなぁ。

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小説「マリアの微笑み」⑪

2005年04月23日 | 小説「マリアの微笑み」
 その後、式当日までの半年間、私は一度も杏子に会うことは無かった。会う気が無かったのでも、彼女の話をバカにしていたのでもなかった。・・・時間が無かったのだ。しかし私は、数回にわたってかけた電話に依って、彼女の様子だけは知ることができた。
 
 電話には、毎回、男の人が出た。杏子の婚約者だった。独り暮らしの彼女の部屋で、同棲しているらしかった。その数回の電話の中で、彼は、興奮気味にこう言うのだった。

「階段から落ちたり、車に轢かれそうになったり、危険なことばかり起きました。でも、その度に赤ちゃんは無事だったんです。神の御加護だ、って、彼女もそう言ってました。それなのに、彼女、最近、お酒を飲み始めたんです。そればかりじゃあ無い。いらいらする、と言っては喫煙し、眠れない、と言っては薬を飲む。まるで、お腹の子が、憎いみたいに・・・。でもね、お腹の子は、そんなこと、知りもしないでスクスクと大きくなってる。・・・今は、子供より、彼女の体の方が心配ですよ。」
 
 彼は、興奮していた。・・・しかし、それだけだった。
 
 赤ちゃんが、自分の子が、産まれるということしか見ていなかった。まるで、あらゆることから子供を守る何かの力が、彼の意識の中にも働いているようだった。何かの力、そう、それは、あの聖母マリアの怨念と言ってもよかった。「赤ちゃんはスクスクと大きくなっている。」彼はそう言っていたが、そうではない。きっと、毒素を除く全ての栄養を、(与えられているというよりは)母体から吸い取っているのだ。
母体が、栄養をきちんと取っているかどうか、それは、お腹の子にも、そしてマリアにも、関係は無かった。彼らには、吸い取れるだけの栄養を、母体が体内に保存していればそれでよかったのだ。それによって、赤ちゃんは、徐々に成長していき、母体には、毒素だけが蓄積されていく―――。
 
 私は、その後も、杏子に会うことは無かった。会う気が無かったのでも、彼女の話をバカにしていたのでもなかった。時間が無かったのだ。―――いや、それよりも恐かったのだ。彼女の、その“栄養を吸い取られた”姿を見るのが、恐かったのだ。そして私は、式当日に起こるであろう出来事に、ただならぬ不安と責任を感じていた。


(つづく)
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小説「マリアの微笑み」⑩

2005年04月22日 | 小説「マリアの微笑み」
 彼女は、子供が欲しい。・・・なぜか。それは、「我が子、キリストを失ってしまった」からだ。でも、どんなにマリアが子供を欲しがったって、それに、どんなに杏子が元気な子供を産める体であったって、その2つを結びつけるものなど、あるわけが無い。人間の精子と石膏の像の卵子が1つになって分裂するなんて、真面目に考える気も失せてくる。

 まるで、笑い話だ。
 
 ここまで段階を経て、考えを巡らせて、結局、有り得そうなことは1つとして無い。一番確率として高いのは、「杏子の思い過ごし」ということだ。でももし、残りの2つの仮定―――お腹の子が、杏子と他の男との子であるということと、お腹の子が、彼氏と他の女との子であるということ、もしくは、お腹の子が、彼氏とマリアの子であるということ―――のいずれかを、事実として認めるとしても、一体、結婚式当日に何が起こるというのだろう。何が起こるのを予感して、杏子はあんなに怯えるのか。そして私は、杏子を何から守り、どう対処すれば良いのか。
 
 いろいろな問題が頭に浮かんでくるが、事の重大さを予想できないうちは、下手に答えを出すべきではない。私は、止まることを知らない自分の想像力に、そう歯止めを効かせて、マンションのエレベーターに乗った。


(つづく)
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セーフティ首輪

2005年04月21日 | 
すずです。
どこかで引っ掛けたのか、首輪を失くしてきました。

「セーフティ首輪」といって、
木の枝とかに引っ掛けても、強く引っ張ると、バックルが外れる、というもので、
首が絞まったりしないんです。

良かったね。
でももう失くすなよ~。
                                        
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小説「マリアの微笑み」⑨

2005年04月20日 | 小説「マリアの微笑み」
 ―――「金縛り」なんていうのは、珍しいものじゃあない。私はまだ遭ったことは無いが、私の周りにいる親しい連中は、(杏子も含めて)「金縛り」どころか、霊体験なんて日常茶飯事、という人ばかりだ。私の友人の体験からみれば、杏子が言っていた体験なんて、ほとんど子供騙しに近かった。杏子だって、その程度のことはわかっているはずなのに、なぜわざわざ私に告白したのか。
 
 それはきっと、今まであったことは子供騙しでも、これから起こること次第では子供騙しでは済まなくなるということだろう。・・・とすれば、杏子が言っていた、あの「マリア様」の目的は何だろう。一体、何をしたくてあの2人の前に現れたのか。あの話だと、マリアは、2人に子供を授けると言ったということだったが・・・。その予言通りに身籠った杏子。しかも彼女は前から子供を欲しがっていた。普通ならここで、めでたしめでたし、杏子たちは、マリアに感謝してもしきれないはずなのに・・・。
 
 彼女は、お腹の子は自分と彼の子ではないと言っていた。ということは、彼女と他の男との子か?・・・いや、まさか。それなら、今日うちに来て、わざわざ霊体験など語らずに、その男と別れる別れないの問答になっただろう。はっきりと言わずとも、彼女のことだから、話の端々に、その男の影がちらついてくるはずだ。行きずりの関係とか強姦ということならなおさらだろう。とにかくそんなことは、その子供が、「杏子の彼と他の女との子」であるということよりも有り得ないことだ。他の女と彼との関係でできた子供を、杏子のお腹で育てるなんて、代理出産でも、子宮を貸してくれる女の人の了解なしでなされることなんか無い。
 
 子供が欲しい、それも、産婦人科や生活面の領域では何の障害も無い杏子が、子宮を借りる方はもちろん、貸す方にだって、最適であるはずがないじゃないか。
 

 ―――いや、ちょっと待てよ。1人いるぞ。・・・代理出産の、それも、子宮を借りる方に最適な女が。


(つづく)
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簡単そうで、難しい。

2005年04月19日 | ちょっとしたこと
先日、さん(HPを見て知ってるだけの知り合い)のHPを見ていたら、
さん(ちょっとした知り合いの親友)の名前が出ていた。

・・・実名で。
しかも、会社名も。

ちょっとびっくりして、そのあと、かなり心配になった。
そのさんのHPは、けっこう他の人のHPでも紹介されてたりして、
回覧数がけっこう多い。

で、さんは、最近会社を転職したばかり。
万が一、前の会社の人たちが見ても、べつにまずくはないだろうけど、
もし、見たよ、とかって言われたら、ちょっとびっくりするだろうなぁ、と思った。

しかも、つい最近、個人のHPやブログに会社のことを載せて首になったとか、載せた記事が元で、他の掲示板で(やな感じの)話題になったとかっていうニュースを耳にしたばかり。

やっぱり、一応本人に、載ってるよ、と知らせた方がいいよなぁ。後は、それを不愉快に感じて、載せた人に抗議するか、別に問題ないよ、と捉えるかは本人次第だし。
そう思って、私のちょっとした知り合いで、さんの親友であるさんにメールした。

さん、さんに連絡を取ってくれたらしい。

以外にも、私からのメールを見て、さんのHPをチェックしたさんの方がびっくりしてて、さんは落ち着いて、「知ってるよ」と言ってた、とのこと。

なぜかというと、私よりも先に、直接さんに「名前出てるよ」と連絡をくれた人たちが何人かいて、中には、(たぶん知り合いじゃあないと思うけど)長文の手紙を書いてきた人もいたらしい。

本人が、いい、っていうんだからいいけど、
先日ある友人と、
「匿名っていう楽しさもある反面、怖さもある。だからこそ、礼儀と、相手との距離感に何倍も気を使って接しないと。」と話してて、私自身、気を引き締めた。

人間関係をつくるきっかけは作りやすくなったけど、
人間関係自体が、「親しき仲にも礼儀あり」という言葉が要らなくなるほどに軽くなったり、薄くなったりしたわけじゃあない。

と、私は思います
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小説「マリアの微笑み」⑧

2005年04月18日 | 小説「マリアの微笑み」
 「それで?」
と、私は一言、興奮気味の杏子を冷たく突き放した。私には、そんな怪奇現象の1つが、どうしてそこまで杏子を怯えさせるのかが、わからなかったからだ。
「今ね、妊娠3ヶ月なの。」
ということは、ちょうどそのハワイ旅行が事の起こり、ってわけか。
「でも、このお腹の子は、私の子じゃないわ。・・・私と彼の子じゃないの。」
「あなたたち、旅行中、何もしてないの?」
と、私は彼女に聞いた。
「いいえ。・・・寝たわ。」
それじゃあ、何を根拠に・・・。私はそう思った。
「でもね、わかるのよ、私には。・・・この子は、私と彼の子じゃないわ!」
 
 私は、子供をあやすように話題をそらした。
「・・・で、式は、いつなの?」
私は、杏子が、今日はそれを知らせるためにここに来たことを思い出したのだ。
「6月12日よ。」
彼女は答えた。
「ふ~ん、ジューン・ブライドか。でも、お腹、大丈夫なの?6月っていうと、9ヶ月よ。」
それでも、私は、冷静さを装っていた。
「私も、もう少し早くか、逆に、出産後の方が良いのよ。でも、彼がどうしても、って言うから・・・。」
「それで、場所は?」
「それが、・・・あの、例の教会なのよ。それも、彼が、ぜひに、って。あの、・・・それでね、お願いがあるのよ。・・・私ね、怖いのよ。あのマリア様が。・・・彼がね、自分にはもう両親がいないし、特別に、親代わりっていう人もいないから、どうせなら、どうせなら、誰も呼ばずに、あの時のように2人っきりで挙式しよう、って言い出したの。その時、私、びっくりして、とっさに、1人だけなら呼んでも良いでしょう?って言ってしまったの。あなたは私の唯1人の親友だし、彼のことだって、一番に報告した人だから、って。・・・ねぇ、お願い。私を守ってほしいのよ!」
 
 彼がいるじゃないの、・・・と、彼女に冷たく当たる前に、守るか守らないかは別として、私には2人の結婚式への出席を断る理由が見つからない、ということを思い出した。
「わかった。でもね、“守ってほしい”なんて言われても、何が起こるって言うの?何かが実際に起こるかどうかさえわからないじゃあないの。そうやって決め付けて、自分を振り回してるだけよ。そういうの、マタニティ・ブルーって言うんでしょ?もっとね、強くならなきゃダメよ!」
「じゃあ・・・。」
「ちょっと待ってよ。何かが起こるかどうか、っていうのと、私があなたたちの結婚式に出席するかどうかは別問題でしょ?ただでさえ危なっかしくて見てられないのに、結婚式なんて大事な時に私が見放すわけないでしょ!もちろん、出席するわよ!」

・・・また、安請け合いしてしまったかな、なんて思いながら、私は、もう外が暗くなってしまったのを理由に、彼女を駅まで送って行った。


(つづく)
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今度は道内

2005年04月17日 | ちょっとしたこと
って言っても、旅行じゃないんです。

中学の部活で一緒だった後輩の結婚式に出て、
たまたま実家の近くに行くので、実家にも寄ってこようかと。

何年ぶりかな、実家。
もう3~4年親の顔見てないかも。

こんなこと言うと
「親と仲悪いの?」
ってよく聞かれるんですが、
そんなことないんですよ。

私の兄は、過去、10年くらい、親兄弟に会わずにいたし(今は結婚して落ち着いてます)、
私は私で、兄のお嫁さんにまだ会ったことないし。
こんなペースなんです。

「信頼関係ができてる」とか
「血縁関係の意識が薄いんじゃない?」とか
いいのか悪いのかわからないことをよく言われますが、
親がいつまでも元気でいてくれる、って甘えがあるんでしょうか。

みなさんはどうですか?
距離とかにもよりますけど、どのくらいの頻度で親に会ったり、連絡取ったりしますか?

あ、私はちなみに、会いに行けないから、その分電話してる、とかってこともありません
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