CD4は白血球の種類の1つで、細菌やウイルスを攻撃する命令を出し、免疫全体を調整している。免疫の司令塔とも言われる。正しくはCD4陽性リンパ球と言い、数は多いほど良いとされる(通常700~1500程度)。
HIVは主にこのCD4陽性リンパ球に侵入、内部でウイルスが複製されるとCD4は壊されてしまう。
HIV感染者が無治療でいるとCD4はどんどん壊され、200を切ると、日和見感染症というHIVに特有の症状を引き起こす確率が高まる。
2.HIVウイルス量
血漿1ml中にエイズウイルスがどれだけいるかを表わす。低い方が良い。検査データの誤差が大きく、例えば1万と2万でも誤差範囲のことがあり、2万は「2×104(10の4乗)」と呼び、この「○乗」が増減した場合にウイルス量が増えた、減ったという判断をすることができる。
感染後6ヶ月を過ぎた頃からHIVのウイルス量は大体一定の値を示すようになり、この時点をセットポイントと呼ぶ。セットポイントの時点でのウイルス量が高いほど、病気の進行するスピードも速いといわれる。
このHIVウイルス量を抑えることが最近の抗HIV治療(HAART)の目的。治療中は検出限界以下(50以下)を目指し、これが達成されれば耐性ウイルスの出現を抑え、免疫状態の悪化を防ぐことができると言われている。なお、検出限界以下の場合、データ表には"UD"(undetectable)と記される。
3.GOT(AST)
GPT(ALT)
それぞれ肝臓の細胞に含まれる酵素のこと。ウイルス性肝炎などで肝臓が攻撃され肝細胞が壊されると、これらの酵素も血中に流れてきて検査結果が上がる。つまり、これらの数値が高いほど肝臓が壊されていると言うことで、低く抑えるのが良い(正常値についてはいくつかの意見があるが、それぞれ35以下、30以下くらいが望ましい)。
HIV(エイズウイルス)とHCV(C型肝炎ウイルス)の両方に感染している重複感染者の場合、C型肝炎だけの人よりも肝炎の進行が速く、特にこれらの肝機能を表わす数値に注意が必要。現に、日本感染症学会は2006年1月26日、厚生労働省健康局疾病対策課からの報告の下、ホームページ上でまた,HIVに対する治療方法の進歩に伴い,HIV・HCV重複感染者の死因の約半数が,非AIDS関連死であり,特にその多くをHCVによる肝硬変が占めているとの報告があります.
という情報を示し、早期の肝臓治療の必要性を訴えている。
→(日本感染症学会の該当ページはこちらをクリック)
HIVとC型肝炎の重複感染の場合、GOT(AST)、GPT(ALT)が100を越えている場合、肝臓治療を考慮する必要があると言われている。また、それより低い場合でも治療をしなければいけない場合もある。肝臓に負担をかける抗HIV治療を長く続けていくためにも、HIV感染者は肝臓の治療を最優先で行う必要がある。
さらに、エイズ予防情報ネットホームページ には厚生労働科学研究班(エイズ対策研究事業 主任研究者:小池和彦東京大学医学部教授)が作成した「HIV・HCV重複感染時の診療ガイドライン」がある。詳しくはそちらも参照のこと