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迦南俳句を読む18 横井迦南句集より

2017-05-29 17:41:30 | 横井迦南

写生自在16  朝鮮時代2

 

仲秋や市人の肩の冠影   迦 南

杖つきて扇かざして冠翁    〃

冠置く酒幕の窓や春の山    〃

 上記三句「冠」がキーワードです。李氏朝鮮時代に材を取った韓流テ

ビドラマが盛んに放映されていますが、そこに出て来る男優たちの

被っている帽子が「冠」のようです。位階によって形や飾り物が違うよう

ですが、詳しいことは分かりません。わたしの印象では鍔が広く透けて

いて屋内でも被っているようです。

 一句目、植民地時代の朝鮮でこれを被っていのは朝鮮人だろうと

思われますが、仲秋の強い日差しの中で「冠」の影が肩に落ちていると

いうのです。市人とあるので市中を歩いている朝鮮人の男となります

が、男たちは皆申し合わせたように肩に「冠」の影を落としている、それ

が注意を惹くというのです。内地では見られぬ光景だけに興趣を覚え

たのでしょうね。

 二句目、5・7・7と字余りになっていますが、接続詞の「て」がよくはた

らいて軽快です。座五は「カンムリオキナ」と読みたいですね。白い顎

髭なども想像されて朝鮮老人が活写されています。

 三句目、現在も酒幕というような形式のお店があるのかしりません

が、これは宿泊もできる大衆食堂らしいです。そこの窓に「冠」が置か

れてその先に春の山が見えるというのです。静物化した「冠」と明るい

春山の対比です。前二句は人物が詠まれ、三句目は朝鮮の春が詠ま

れています。いずれも佳品です。

 

 


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