2000/08/24
そんなにすぐクタばるようなオヤシじゃない。
葬式の準備をするくらいなら、奇跡を起こす。
首根っこをひっつかんで現世に留めようオヤジ。
ド田舎の風習がもたらす目の回るような忙しさ。
疲労困憊だが、できることはすべてやった。
あとは、しばし眠りたい。
2000/08/27
K大学病院とN病院の連携はスムーズで、医師間で最善の
方法を検討してもらっている。K診療所に通院しながら血圧の
治療を受けていた母も、皆様のお陰でN病院に転院できた。
長年にわたり母の主治医だったK診療所の先生から暖かい
お言葉を戴き、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
K大学病院への優先入院に便宜を計ってくれた友人たち、
みんな、みんなの「おかげさま」。
母の一生懸命を見てると力が湧いてくる、
頑固で天然で妥協を知らない母は一途な人。
姉妹や義兄弟のいうことは何ひとつ聞こうとしない。
私たち家族の言うことなど馬耳東風、
それでも結果的に母の望む通りにことは動く。
父は重度安定。
輸血の影響らしく、歯茎から出血し、赤いオシッコが出る。
便にも血が混じり、両腕の皮膚はますます黒くなった。
だが、回りが驚くほど意識がはっきりしている。
うわ言みたいに意味不明だった言葉が明瞭になってきた。
仙人髭を看護婦さんに剃ってもらい、白髪頭の赤ちゃんは
3日前とは別人のようになった。
2000/09/02
病室に入るなり、父は両手を合わせて
私たちを拝むような仕草をした。
何やってんだよと陽気に言おうとして、
オヤジの顔を見た。
両の頬をなみだが幾すじも伝っていた。
堪えきれずに屋上まで駆け上がった。
今までのことが甦った。
私が中学2年のときだった。
ある日突然知らないおじさんが家にやってきた。
母は「おまえの父親になる人だから...」語尾をにごして
何かを言ったが、最初のその言葉だけで十分だった。
口紅をさす母の姿に薄々感づいていた。
その日から母と二人で支えあう母子家庭が一変した。
紆余曲折しながら月日は流れた。
オヤジの右腕にある深い古傷は私がつけた。
痩せ細った二の腕に刺さる点滴針のすぐ横にある。
オヤジ、
感謝の気持ちなんていらないよ。
母のために生きれくれ。
2000/09/04
ドアを開けたら秋の風
猛暑が連れてきた秋の足音
トンボが群れをなして飛んでいた
本当に秋が来た、ほろほろ。
2000/09/05
穴あきの、
そそげどそそげど流れゆく
流れ、流れて、ゆくさきは
馬がゆあみの黄泉の国
2000/09/06
異国の戦地に思うは望郷、
屍を枕に死線をさまよった。
狭くても、固い布団でも、
わが家はわが家・・・帰りたい。
その願いをきっと叶えてあげる
約束だ。
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