S  U  G  A   A  T  E  L  I  E  R  

すがアトリエ : スガショウタロウ + A t e l i e r 生きる空間へ

つなぐ階段へ

2020-01-30 | Ar

幻庵の階段は本当に虚を突かれる思いをした

だいだいこの家の主階は1階部分にあり、2階にはDKと風呂トイレしかない

敷地は林の中の、小川を渡ってアプローチする広大な土地があるので

2階建てという設定自身も特に機能的な意味合いはない

このような形にしたかったということで形はおにぎり型であるが

川合健二邸におおよそは習っている

このコルゲート板による構成は、コルゲートを曲げ加工して作るので

曲率が一定の方が作りやすいのであるが、敢えておにぎり型にしているあたりから

全く独自と言ってよい独創的な操作が入ってきている

主階であるリビング部から見上げる玄関部分はとんでもないことになっている

金網床の太鼓橋が空を切っている

当然裸足ででこの橋を渡るので、足に金網がめり込んで痛い目をする

まあびっくり仰天ではあるが、これがこの空間に入るイニシエーションなのであろう


つなぐ階段へ

2020-01-29 | Ar

大昔の写真がでてきました

これが1998年の訪問時の写真です

クライアントの榎本さんに、

この家の発端ともなったドラム缶の家(川合邸)の河合様もご一緒です

川合健二氏の奥様である

奥様はこの時初めての、幻庵を訪問されて大喜びされていたのを覚えている

実はこの後に、車で北に移動して

長野県の菅平の開拓者の家(設計は石山修二ではあるが)も川合様と一緒に訪問させていただいた

 


つなぐ階段へ

2020-01-28 | Ar

石山修二設計の幻庵という住宅というか別宅がある

クランアントがご存命中に2度ほど訪問させていただき、宿泊もさせていただいただけに

幻庵は、時に幻のようにふーと記憶の中から鮮明にその体験をありありと思い出させてくれる

今も写真のようなまがまがしい形態の中に秘められたマシーンのようでありながらも

肉体のようにも肉感的にも迫る内部が鮮明に思い出される

朱塗りの鉄骨階段を上って入るのだが、左手の手すりは右側から空を回って上から吊られている

この家は、コルゲートという鉄製波板が構造であり、屋根、床、外壁をおにぎりのような形でくるんでいる

その底の部分が床であり、そこにつく小窓が、下記写真の下側に見える4個の丸窓となっている

建物上部からのハイサイドライトから光が差すと同時に、緑の木々が垣間見える

その底のような底だまり空間が、下の写真と太鼓橋を渡って、階段を使って降り立つ

この太鼓橋がを渡る際に、すべてが見渡せるようになっている

クライアントにお会いした時、この家を将来は、このまま森の中で朽ちていくのを見届けたい

とか、逆に海底に沈めて、この家の中を魚が泳いでいるのをみたいとも言っておられた

なんとも不思議な方ではあったが、この家を心底から愛しておられた

またこの家は、その愛に値するような結晶のような空間を持ち得ていた

月日はたったが、ご冥福を祈りたい


つなぐ階段

2020-01-23 | Ar

ゴダールの映画に 軽蔑 という名の映画がある

原作がイタリアのノーベル文学賞作家のモラヴィアの 軽蔑 と小説で

ゴダールはその撮影地に前々回に名を挙げたマラパルテ邸を使っている

ナポリ島に存在する マラパルテ邸の建築家は、一応リベラとなっている場合が多いが

実際的には、この家の設計を依頼したマラパルテこそが設計したという方が当たっているという

マラパルテは、小説家でありジャーナリストであり、数奇な人生を歩んだ文化人であった

カプリ島というナポリから少し離れた小島であるにもかかわらず、

ローマの文化人や政治家らをここに呼んだりしていたという

西側にイタリア半島、南に地中海の大海原を挟んでシシリー島が望む断崖のような場所をそのまま生かした

建築は普通の意味というより、半ばランドアートのような相貌を持っている

中は簡素ながらんどうのような空間があるのみであるにも関わらず

太く額ぶちの与えられた窓と屋根のような覆いがかぶさった暖炉だけが象徴的に扱われている

通常の建築的なしつらいを施すリベラの建築との関連よりも

ファシストから始まって、反ファシスト、親米、共産へと大きく振幅のあったとはいえ

どこかまっすぐなマラパルテの人となりを表しているようにも感じる

下記はゴダールの軽蔑の映画の写真である

主演女優はブリジッドバルドー


つなぐ階段

2020-01-22 | Ar

東孝光の塔の家は、階段の家である

極小の敷地という条件下ではあるが、

これほど上下をつなぐ階段が空間に親しく組み込まれた家は今後もないと思われる

1966年竣工

建築面積‎: ‎11.8 m²

延床面積‎: ‎65 m²

敷地面積‎: ‎20.5 m²
 
凄いとしか言いようがないレベルの家であるが
 
家自身が、都市に住むという宣言とも読み取れる
 
時代を先んじる精神そのものに強靭さを感じる

つなぐ階段

2020-01-20 | Ar

新しい形式性

コルビジェが 家の中にスロープを取り込んだ提案をしている

かなり大型の家ではあるが、サヴォア邸ではほぼ中心に設けている

階段も一部に併用しているが、スロープで上下移動する家としている

階段ではなく、スロープを選んだ理由は、彼の立体的空間利用の姿勢にあると考えている

しかし彼の唱える近代建築の五原則からは、スロープは導き出せないように思う

  1. ピロティ (les pilotis)
  2. 屋上庭園 (le toit-terrasse)
  3. 自由な平面 (le plan libre)
  4. 水平連続窓 (la fenêtre en bandeau)
  5. 自由なファサード (la façade libre)

スロープを使う理由は、複数階のそれぞれの空間を強くつなげることが最大の理由だと思う

自由に平面を作りながら、上下階をも強くつなぎ立体的な自在感を得るために、

扱いずらく大きく面積をとるスロープを敢えて挿入していると考える

その成果だと思うが、自由な平面というより、

屋上テラスまで含めての自在な全体空間というイメージが生まれていると感じる

後のクルチェット邸やレイモンドに真似られたエラズリス邸等でも

スロープが中心的に採用されていたと思うが、空間の連続化での意味は小さくなっている

脱線ではあるが、忘れられない階段の家として

ナポリ島のマラパル邸があるが、この家では屋根テラスに登る大階段が家の形を決めている

スロープの魅力は代えがたいものがあるが、いかんせん小さな建築では採用できない

建物の外側を外巻のように、階段等で包む形式は多少はあるが

吹抜けとその中の美しい階段のような形で、

空間の連続化を図っている場合がほとんどを占めている

階段自身が空間化されて全体を作っているような形式は、そんなにない利用されていないと思う

 

 

 

 


つなぐ階段

2020-01-20 | Ar

外装工事が進む現場写真

向こうに見えるのは上町台地上の市大病院等のビルで、いわゆる天王寺駅付近です

天王寺駅付近は海抜約16m、山王のこの辺りは西成区では高めで約3mなので、

13mほどの高低差があり、それでビルがとても近くにあるように見えています

下の写真は山王より少し南の位置にはなりますが

上町台地の高低差は坂というより、崖に近い状態も多かったののだと思います

少し南側ですが、こんな間知石の擁壁が残っている所があります

2階建の家の屋根を優に超えています

こうした段差があったおかげで、

四天王寺は西方浄土の西が遠望ができる場所となっていると言えます

昔の大阪では、通天閣がとても高かったように言われたりしますが

上町台地からは、低地からそびえ立つ格好の目標物に見えたのだと思います

 

 


つなぐ階段へ

2020-01-18 | Ar

山王の風呂屋の煙突

考えてみれば、煙突というのも町にあっては全く異質なもので、

塔のように周りを圧する存在で、

私自身はあまり違和感ががないのは、たぶん幼少期に風呂屋によく行っていた世代で

見慣れているからだと思う

現在の感覚からすると、町に工場があるような感じで

シュールなものにも見えるのではないだろうか

そうした存在がかってはどこの町にもあったということも

たぶん多くの町では、今は昭和の時代の写真をみて初めてきずくのではないだろうか

 

 


つなぐ階段

2020-01-11 | Ar

山王第2公園の入り口付近の写真です

山王には、よく横を通るのだが、秘密の公園とでも呼びたい公園がある

なぜならこの公園は、球技用でもないのに約6mの高いフェンスがめぐらされており

夜間等は立入禁止で、大きな扉が閉じられるしまうのです

このような高いフェンスがなぜに必要であったかは判りませんが

何が秘密かというと、下記の写真です

公園中央から見られる、この風景が素晴らしいからです

前景の芝を取り囲む緑、そして中景に結構モダンな中層建築群、背景にガラス張り高層建築等が

それぞれ個性をむき出しに、立体的に向かってくる姿が美しいのです

その風景を惜しむあまりに、フェンスで守っているかのように思えるのです

子供らの姿を見ることはほぼなく、たまに数人の大人を見かけるばかりです

禁断の公園です


つなぐ階段

2020-01-11 | Ar

中央吹抜けの階段見下ろし写真です

手すりも付き、階段外側の壁手すりの下地も付きました

渦巻き(アルキメデス螺旋)を等角度分割していますので

下から上に登るにつれて、実質勾配が緩くなっていきます

階段という物は、勾配を変えないが基本ですが

下から上への登る身体運動につれて、青空の見れるテラスに向けて

上に登るので、ある意味緊張感も増していくことになるとは思いますが

体はゆったり、リラックスしていくような階段というのもあるのではないかと

考えました

 


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