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木の家 2

2015-12-02 | 木家

引き続いて木の家について説明します

                                      写真はCEDER HOUSE 杉の木の家

前回も書きましたが、日本の伝統家屋は自然の癖もあったりする木をうまく使ってきました

一方癖といった個体差がないことを求めると、工場で徹底的に加工した材、すなわち集成材とか積層材になると思います

また人工乾燥させた無垢材も、精度のよい木材となりますが、接着剤はない代わりに、

熱で強制的に水分を取り出しているので、繊維質の劣化の懸念があります

特に日本材は水分がもともと多いので、やっかいです

ということで、日本で合理的に無垢の木の家を作ることからいうと、

極端な精度安定性を求めずに、木の癖を吸収しながら作る形が理想と考えます

環境的にもそれが叶っています

話は飛びますが、高湿度の日本においては、湿気が木の大敵です

構造材は、現しにしてこそ、湿気が入り込まず、長期メンテができることになります

それをペンキを塗ったりせずに、木肌として生かすのも日本建築の伝統です

耐震性を求める現代の建築では、

いわゆる縦横の木組架構に、耐力壁を加えることで、耐震性を高めています

日本の伝統建築構造には、

縦横線だけで作る世界観みたいなものがあり、美学でもあったのだと思いますが、

筋かいといった斜材を生かしてこなかったことが、欠点としてありました

日本の大工はトラス構造を知らなかったという話しもありますが、私はそうは思いません

縦横材をホゾを利かして、貫通させながら組み立てて、

横応力に対しては、

「重い屋根の下で複雑な架構全体が、多数の部材が震えながら耐えしのぐ」ようなことだったのだと思います

五重塔のみが、(いろいろな説がありあますが)制震的で、それなりのモデルで実証もなされているようですが、

その他の社寺仏閣のような建物でも、一定の耐震性があったからこそ、今まで生き残れてきたわけです

 

このように平屋等の建築でも、エネルギーを逃がすよう制震的に作られてきたのだと思います

ただ実際の効果からいえば、小規模な物や、安普請なものは、耐震性がほとんどなかったことは事実だと思います

その程度なら、筋かいという斜材を少し入れていた方が耐震性があったと思います

話を戻しますが、現在は耐震壁というものを建物の要所に入れます

それは筋交いという手法よりも、半間以上の壁部を合板で貼固めることが普通となっています

構造的にはこれが合理的なのです

ただこの方法は構造の柱梁が隠蔽されて、湿気が入ったとしても中が容易に確認できません

そういうことから日本ではやはり、

構造架構はせめて片面でも、現しにしておくのが作法だと考えています

しかし構造を現しするのには、それ以上に理由があるというのが、私の考えです

日本建築では特にそうだと思いますが、

人が空間を見るときに、構造があればそれを追って、空間に構成をみてしまいます

組積造であれば、レンガの積み上がりを上方に追いかけることになります

地面から、屋根のてっぺんまでがどう支えられているか、見ることで安心感につながっていると思います

よく「大黒柱が家の中心にあって」みたいな話がありますが、

しっかりとしたものが屋根を支えているのを見ると安定感や安心感をかもしだします

もちろん構造が端から端まで見えることは少ないですし、普通の人が構造の詳細を理解しいるわけではないですが、

安定感があるものかどうかぐらいは、子供の積木を見ても、容易に感じるものでしょう

構造的なもの見えなくても、安心感のある作り感はだせるかどうかわかりませんが、

建物に必須のもの、そこにあるものを生かして、最小限の追加と操作で作るのが良い建築です

家は構造も含めて素直に考えて、シンプルかつそれでいて最上の空間を作ることを目指したいものです 


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