ぼちぼち スウェーデン

スウェーデンで見たこと、聞いたこと、考えたことを、同時代に生きるみなさまとシェアーを!

赤緑連合が連立一時休止を声明

2010-11-02 | メディア情報

民社党、環境党、左翼党からなる赤緑連合は、10月26日、3党一体での共闘体制を一時休止すると発表した。

ただし、3党共同での発言や行動を休止するだけで、必要に応じ、共同作戦をはることは続けるという。

 

選挙が終わって一月余たったいま、党内やメディア間で3党共闘の是非が議論されているが、中でも2年前に共闘を決定した時から無理があったという声が大きい。 
 
2008年の秋、社民党はまず環境党との連立を決定した。どうも党首モーナ・サリーン(Mona Sahlin)はじめ首脳部は、党内の調整を十分に行わず、2党連立をメディアに流したらしい。
発表されると同時に党内部と労働組織から
異議申し立てが起こり、わずか2,3日後、左翼党も 仲間にいれることで事態を収拾した。

社民党の組織は大きく、右から左まで多種多様の流派がある。労働組合系は環境党を保守だと見なし信用していないし、右派は「共産党=アカ」を毛嫌いしている。しかし当時は、社民はじめ環境と左翼党は、保守連合に対抗するのは連合しかないと判断したようだ。

社民党の今後


もともと、かなり性格を異にする環境党と左翼党という二つの党と手を組むことにより、多くの支持票を
失ったと分析する社民党内の声は大きく、党上層部の指導力が疑問視されている。また、党の内外でイデオロギーの不在が言われだしてからも久しい。

党首サリーンの権威も、今回の連立作戦失敗でゆらいでいる。しかし、現時点では、彼女に代わる人材はいないが、2年後に予定されている臨時総会にはどうなるかは今のところ見通しが立たない。

最近、党の若手層が、首脳部の入れかえを声高に言いだしているのが目立っている。今日(11月2日)のテレビ(Rapport 1941)で、青年部の代表が臨時総会を予定より早く来年に繰り上げ、党首脳問題を取り上げたいと発言した。この調子ではサリーンの党首としても余命はあまり長くないようだ。

社民党は今回、100年来の最低の選挙を行い、支持率は選挙後も降下している。反対に、政敵である穏健党は上昇気味だ。戦後、長期間にわたる政権党であったが、2006年以来2期続けて敗北し、社民はいま抜本的な党内改革・路線の再検討を迫られている。思い切ったトップ陣交代は社民が返り咲くひとつの道なのかもしれない。このようにいまの社民党は深刻な内部問題をかかえている。

 

環境党のお家事情

1981年に結党、1988年に5.5%の得票率で、初めて国会に代表を送ってから順次発展を遂げ、今回は7.3%の得票率を得て、社民党、穏健党に次いで第3党となった。さらなる勢力拡大をはかるため、次回の選挙までそれに主力を注ぐと宣言している。

それと環境党は、男女が一名ずつからなる複数代表制をとっており、代表の任期は最長3期までと規定されている。来年度は新しく人選が行われ、代表交代をスムーズに行うという大切な時期となる。

 

左翼党はどうか

メディア情報によれば、左翼党だけが3党連立に満足し、これからも共闘を続ける意志が固いと報道されてきた。しかし、11月2日の日刊紙DNによると、これは党の主導陣の意見であり、24の地方支部のうち、4分の3までが、独自の道を歩むべしという意向らしい。党首ラーシュ・オーリィ(Lars Ohly)の退陣を望む声も上がっている。支持率が5.6%と低迷しており、党首の責任がいま問われだしている。

 

これからいったいどうなるのか

つぎの選挙は社民・環境党だけの共同戦線で、という声も聞かれる。また、メディアは社民党は中道派との協調にも興味があるように伝えている。

げんに10月28日の日刊紙DNに、赤緑連合3党の主導部が連名で、穏健党を除く保守連盟小党(国民、中央、キリスト教民主)に、穏健党が強引に押し進めた悪名高い傷病手当制度の改革を人道的なものに戻そうと呼びかけている。

前に(10月7日)のブログにも書いたように、保守連合の小党は支持率が減少傾向で、とくに現時点ではキリスト教民主党の存在が危ぶまれており、この党の立場はかなり微妙だ。

それにしても、この赤緑諸党による連名記事が掲載されたのは、赤緑連合の一時休止を宣言してからたったの2日後。とにかく、現時点での政界ではあらゆる可能性が混在しているようだ。だから政治はおもしろいのかもしれない。 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿