ぼちぼち スウェーデン

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選挙が終わった翌日

2010-09-21 | メディア情報

 

9月19日の総選挙の投票率の最終的な数字は84.63%である(前回2006年度は80.4%)。

ふたを開けてみると、多くの世論調査が予測したように保守ブロックが多数議席を獲得した。 

まだ全部開票されていず、最終的な結果は、水曜日、あるいは木曜日に判明するが、現時点では、保守ブロックが49.3%で、赤緑ブロックが43.6%と出ている。議席でみると、保守ブロックが172で、赤緑が157となる。  

保守ブロックを率いる穏健党の党首、現首相は、続いて政権を担当すると宣言しているが、過半数を割っているので、前途はこれまでのように容易ではない。国会の議席は349あり、過半数となる175席には 少し足りないからだ。   

社会民主党は、タッチの差でいまでも最大党であることは変わりないが(得票率30.8%で、第2党は30.0%を獲得した穏健党)、1932年以来、83%の期間の政権党であったが、2006年から8年間、野党の座に甘んじることになる。これがどのように将来につながっていくのか、まったく予測はたたないが、政治にあたらしい局面が開かれたことは事実であろう。   

今回の選挙での大きな出来事は、スウェーデン民主党が初めて国政に参加することである。この党は、元々、ドイツのナチ党シンパの組織が発展したもので、移民政策批判を目玉として、おもに南スウェーデンで市町村と県という地方レベルでの議席を少しずつ獲得していき、ついに国会レベルまで達したのである。  

今回の選挙で、得票率5.6%で20の議席を獲得した。国中がこの事実にショックを受け、本日、ストックホルムなど、3大都市で抗議集会がひらかれ多くの人が参加した。  

保守ブロックは過半数を割っているので、政治決定には、党外に協力相手を見つけないといけないが、ヒットラーの爪痕の記憶がまだ生々しい現状では、スウェーデン民主党を相手にすることは絶対に不可能である。

保守ブロックは、赤緑チームの環境党に協力を求めると公言しているが、環境党は拒否し、代わりに全7大政党による会談を提案している。国会レベルでの極右新党の出現により、既成政党による国政は大きく揺さぶりをかけられているのだ。  

これからこの国の政治はどうなっていくのか、今の段階での見通しはかなり困難である。しかし、他の多くのヨーロッパ諸国のように、外国人排斥党が民主的に選出されたことは事実である。 

社会民主党の後退も、他のヨーロッパ諸国並だし、スウェーデンもついに、ふつうのヨーロッパの一国になったのだろうか・・。