あのイケアが家具の中古市を始めた。
「不要になったイケアの家具を捨てないでください」「家具のリサイクルをして、環境を守りましょう」などとの売り言葉で、イケアが中古の自社製品の売買を行うサイトを公開した。既成のスウェーデン最大のネット中古市ブロケットと提携である。
何かを売りたい人がブロケットのサイトに広告を出すと、買いたい人が広告主に直接連絡して、売買交渉をする仕組みになっている。家や、車からアクセサリーまで、ありとあらゆるものが手ごろな値段で売買されるので、とても人気がある。
これら従来のサイトでは、売り手はなにがしの広告料を支払うシステムであるが、イケア経由で同社の中古家具を売る場合は、イケアのメンバーカードを持っていれば広告料が無料となる。それに、自動的に提携先のブロケットにもその広告が載る。
9月4日の土曜日に、各地のイケア店舗の駐車場で、誰もが参加できるフリーマーケットの開催により、この「新事業」をデビューさせた。 スウェーデンをテストケースとしてうまくいけば、イケアが進出している他の国への導入を考えているそうだ。
相変わらずイケアの商法はすごい。店舗で売った商品のその後の動きを知ることができるうえ、何よりもすごいのは、ほとんどお金をかけることなしに「環境を考える会社」というイメージが強化されることだ。今の企業にとって、環境に対する姿勢に高い評価を得ることほど、大切なことはない。
創業者のイングヴァル・カンプラードは、フォーブル誌の世界富豪ランキングで7位に位置付けられている。5歳から商売を始めた人で、それこそ商売の神様を絵にかいたような人だ。この神様は時代の流れを的確にとらえ、それをビジネスに結びつけていった。その精神はふつふつと生き続けている。
PS:スウェーデンのジャーナリスト、バッティル・トーレクルが書いた伝記『イケアの挑戦ー創業者(イングヴァル・カンプラード)は語る』を私どもで出版しています。詳細はこちらでご覧ください。