辞書引く日々

辞書が好きなのだ。辞書を引くのだ。

人文科学

2008年09月13日 | 言葉
以前から「人文科学」という言葉が気になっていた。文学や歴史や宗教に「科学」の名が冠されているのはいかがなものかということである。

取っ掛かりとして、日本語版 Wikipedia を見てみる。「もともとhumanitiesの訳語でありscienceという言葉は含まない。」とあり、英語版の humanities にリンクが貼ってある。

英語の Wikipedia には、humanities のほかに、human science という項目があり、これには、science というのは、ラテン語で知識を意味する scientia からきたものではあるが、science という言葉を広義に使うとまぎらわしいので、自然科学と社会科学は一般に科学と分類され、これに対して古典、言語、文学、音楽、哲学、歴史、宗教、美術、演劇は humanities と呼ばれる、というような意味のことが書いてある。[例によって、出典も用例も書いてなかったけどね]

手元にある The New Shorter Oxford English Dictionary(名前に反して2冊組で6Kgもある。OED 持ってないから、これが一番我が家で重い辞書)を引いてみると、human science なんて項目はない。humanity ならあって、何番目かの意味として、「人間の文化(human culture)にかんして学んだり(learning)研究したりする(literature)ことで、特に、(現在この意味では複数形が普通なり)ラテン語とギリシア語の古典をあつかう学問分野(branch of knowledge)」とある。意味狭っ。

ま、とりあえず、人文は普通に言うところの科学なんかではないということにしておこう。

でも、なんで人文科学という言い方が普及しているのかな。科学という言葉がつくと予算がもらえそうだらかだろうか。そう疑いはじめると、人文科学の「科学」というのが、文化包丁の「文化」や、電子レンジの「電子」、ホルモン焼きの「ホルモン」みたいなもののように思えてくる。
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