辞書引く日々

辞書が好きなのだ。辞書を引くのだ。

使い易さと楽しさの隙間

2012年06月03日 | 言葉
高校生が電子辞書で音楽を聞いているのを目にした。辞書ソフトのオマケみた
いな音源で、サビの部分しかない。可笑しいのは、彼はスマホを持っていて、
古い録音で我慢しさえすれば有名なクラシックの曲などいくらでもダウンロー
ドできるということである。

思うに、スマホでダウンロードする知識がなくてできないとか、面倒だとかい
う理由ではないだろう。音楽を聴くための機能がない辞書専用のガジェットで
音楽が聴けるということが面白いに違いない。

そもそも、スマホを持っていれば辞書専用のガジェットは不要のはずである。
辞書アプリのほうが安いうえに使い易いことも多い。それでも辞書専用機を使
うのを好む高校生は少なくないようだ。(まあ、スマホだと教室に携帯が許さ
れないのかもしれないが)。なにかショボいものの魅力、オモチャのようなも
のの魅力、そんなものが辞書専用機にあるのかもしれない。

しかし、その辞書専用機たるや、目を覆いたくなるような奇妙なユーザ・イン
ターフェースである。串刺し検索はできない、必ず辞書の選択→検索語句の入
力の順でないと駄目、和英・英和辞典は和英用と英和用で二つのテキストボッ
クスがあって使い分ける、といった具合だ。

ガラパゴスと言えば一言で済んでしまうかもしれない。徒花と言えば徒花だろ
う。たしかに私だったら、その器械は買わない。ところが、やはり、それでも
辞書専用機は独自の世界を醸しているのである。使い易さと楽しさとの間には、
何かがはさまっているらしい。
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