辞書引く日々

辞書が好きなのだ。辞書を引くのだ。

沖縄

2009年03月23日 | Weblog
はじめて沖縄に行きたり。
なにぶんこれまで行ったことがないので、沖縄のイメージというものものなかった。
観光でちょっと行ったところでわかることは、たかが知れているが、それでもいくらかの発見がある。

丘というものが多く、手入れされていない丘では低木と草とが、緑の濃淡をまだらのようにつくる。
ハブがいるというのも、そんな薮なのであろう。そうした丘の一部がさとうきび畑になっているが、
さとうきびの背丈が高いせいか、薮との境界がよくわからないこともある。
終始曇っていたせいもあってか、美しい海よりも、そうした丘のほうが印象に残った。

伝統的な建築物というものが、どういうものなのかは、イメージできるほど見る機会がなかった。
むしろ、コンクリートづくりのビルのデザインに著しい特徴があるのを発見した。
四角い箱に窓がうがってあるという感じではない。
外から見ると、窓の間に垂直方向・水平方向に柱をはりつけたようなデザインが多いのである。
色はクリーム色一色で塗りつぶしたようなものを多数見かける。

いわゆるグスクなるものにも行ってみた。14世紀ごろにつくられたものは、小さな岩を多く
積み上げてできていて、大きな岩を切ってぴったりとはめた首里城のような立派なものより
風情があった。
特徴的なのは、そのデザインの中にある曲線。円弧とか放物線とかでは割り切れないものだ。

音楽を聴く機会には恵まれなかった。
沖縄の音楽だと自分が信じている一連のものと、あのまだらの丘との間にどうしても関連性が
見つからない。あのいわゆる沖縄音楽というものをどう感じたらいいのか、それは宿題となった。

とにかく、宿題をたくさん発見した旅行であった。
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「オズの魔法使い」の黄色い道

2009年03月18日 | Weblog
「オズの魔法使い」で、ドロシーは黄色い道を歩いて、オズのところまで行くわけだ。
黄色い道、というのが以前から何だか気にかかっていた。なんか不自然じゃん。そんなものあるの。

いささか怪しいけれど、流布しているらしい説明があるのを知った。
この話がかかれたのは、1900年で、アメリカは不景気へと進んでいた。
黄色い道というのは、金本位制のことで、オズは大統領だというわけだ。
金本位制の(黄色い)道をたどって大統領(オズ)に会っても、不況を克服し
農民(かかし)や工場労働者(ブリキのきこり)を満足させることはできず、
結局銀の靴でドロシーは家に帰れた、という話。
当時、マネーサプライを増やすために、金本位制だけでなく、
銀も併用しようという議論があったとか。

映画公開70周年ということで、話題になっていた。

ちなみに、
http://news.bbc.co.uk/1/hi/magazine/7933175.stm
によると、話の出所は、
1964年にHenry Littlefieldという高校の先生が書いた論文
(http://www.amphigory.com/oz.htm がそれかな)
だそうだ。
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サミュエル・ジョンソンの顔

2009年03月16日 | 
ぼちぼちとボズウェルが書いた伝記を読む。

ふと気になったのは、ペンギン版の表紙にもなっている有名なポートレイトである。
こんなやつ↓

http://www.amazon.co.jp/gp/product/images/0140436626/

Google で画像検索すると、こればっかり出てくる。これをを見る限り、ジョンソンは
近視で(ボズウェルによると片目が見えないのだという)肥満の男である。

どうもあまり良い肖像画に見えないのだ。目が悪いということと、
太っていたということは伝わってくるのであるが、肖像画に大切な生彩が伝わってこない。
そういえば、このポートレイトの表紙を見て、本を注文するのをやめたことがあったっけ。

もっと別のものはないかと探していて、

http://www.npg.org.uk/collections/search/largerimage.php?LinkID=mp02446&role=sit&rNo=12

を見つけた。エッチングで、かなり衝撃的だ。なんというか、異形である。

そんなに恐ろしくないものもある。

http://www.npg.org.uk/collections/search/largerimage.php?search=sp&sText=samuel+johnson&rNo=1

これは、哲人風とでもいおうか。

http://www.npg.org.uk/collections/search/largerimage.php?search=sp&sText=samuel+johnson&rNo=2

これは、立体で、政治家風。

http://www.npg.org.uk/collections/search/largerimage.php?search=sp&sText=samuel+johnson&rNo=4

これは、詩人風。

http://www.npg.org.uk/collections/search/portrait.php?search=sp&sText=samuel+johnson&rNo=5

これは、デスマスク。魁偉であったことが想像される。

色々見てみたが、かえってイメージがつかめなくなった。
きっとそう単純な奴じゃなかったのだろう。

そして、最初のに戻って見ると、たしかにたいしたポートレイトとは思えないにはかわりないが、
描いた人間が描かれた人間に何かしらの愛情があったのではないかということを発見するのである。

人の顔とはおもしろいものよのう。


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○○○○の株

2009年03月14日 | Weblog
ダイニングで私の席の後ろに電話機が置いてある。狭い家ゆえ、よりかかるとその電話機にぶつかる。
ぶつかると、必ず受話器が外れて落下する。そこで、汚い言葉の悪態をつきたくなる。なにせ、毎日だ。
どうも、背中がちょっと当たっただけで落下するのは、設計上の問題ではないかという気にもなってくる。
電話機の場所を移動しようにも、ファックスつきの小さくないやつだから、そうそう自由にならぬ。

そこで、その受話器に素敵な名前をつけることにした。
「○○○○の株」(○○○○は、その電話機のメーカー名だ)というのが、それだ。
こうすれば、私は、口汚いののしり言葉のかわりに、ごく冷静に
「○○○○の株が落ちた」「○○○○の株が下がった」などとと言えばよいのだ。
そして、いつしか苛立ちは同情に変わるのである。

もっとも、こう不景気では、電話機を買い換えて内需の拡大にいくらかでも
貢献したほうがよいには違いない。
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サミュエル・ジョンソン伝

2009年03月12日 | 言葉
辞書が好きだと公言する以上、やはりサミュエル・ジョンソンを避けては通れない。
サミュエル・ジョンソンを知るには、ジェームズ・ボズウェルが書いた伝記を避けては通れない。
長いこと、なんか宿題みたいに頭の中に引っかかっていた。
先日 Amazon で安かったので、やっと、The Life of Samuel Johnson をペンギン版で買った。

ものすごく厚い。
どのくらい厚いかというと、「コロコロコミック」が薄く見えるほどに厚い。
もちろん、コロコロより薄い印刷用紙を使っていて、これだ。
「ちゃお」の増刊だって、この厚さには勝てまい。

めげかけたが、数ページを読んでみた。そしてまた、めげた。

名作ということになっているが、ぜんぜん名文ではないのだ。
外国人のわしがそう言いきれるほど、のろのろとした、そして抑制のない文体だ。
名作=名文というほど、単純ではなかった。おそるべし。

はじめからして先行する伝記への非難と、自分の書いたスタイルの宣伝とが延々と続く。
読み終わってから自慢してやろうと思っていのだが、
自分の読解力を考慮に入れると、どうもこりゃあ全然読み終える自信がない。

まあ、本題に入ったらおもしろきことが書いてあるに違いないのだと自分に言い聞かせる次第だ。
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