聖マリアンナ医科大学病院臨床研修Blog

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指導医徒然日記 ~医学教育でもリメディアル教育『学び直し』が必要?~

2011-07-25 21:48:43 | 医学教育
昨今大学生全般の『学力低下』が社会問題となっています
これは一般大学に限らず医療系大学でも同じではないでしょうか?

そのためどの大学でも初年次教育で『リメディアル教育』が注目されています

『リメディアル教育』
つまり『学び直し』です

欧米とくに米国ではこの『学び直し』を『Developmental Education』と称しているそうです
これは大学レベルの教育を受ける準備が教育として必要であるコースのことで
米国では読み書きや数学などの教科が含まれています

ところが
日本では若干拡大解釈されいてあるアンケート調査ではいくつかの解釈がなされているようです

一つは高等学校までの教科教育を学習しているパターン
高校で単位を修得していない教科がその大学の教科で必要となる知識を履修させる未履修型や
高校で履修はしたがとても大学の講義についていけないくらいの知識しかない学力不足型があります
そしてもう一つ
これは大学での学習活動の入門編といえるパターン
大学の専門教育を受けるのに必要とされる知識などを補うもので
医療系であれば研究活動に必要な学習スキルを身に付けるための大学講義の導入パターン
さらに上記の二つを利用しながら
入学前に合格者を対象に大学が実施する入学前教育や
大学入学後に実施した様々な試験結果から基準点不足の学生を対象に実施する補修・復習型教育があるようです

多くの大学がこのような考えで『学び直し』を行っています
医療系大学といえども同じことが言えそうです

授業を受けている大学生を対象に実施したアンケートでも
『授業の内容が難しくついていけない』と回答している医学生は半数に及びます
ところがある大学のアンケートでは教員側は9割は教えていると豪語しているそうです

これでは乖離が生じていると受け止めざるを得ません

まずは高校生の受動的な学習態度や学習意欲の低下が切実な課題です

義務教育段階における『学び直し』の課題を明らかにして
義務教育段階での学習内容の確実な定着に向けた実践が求められているようです

大学生でも自分の意見がなかなか言えない
どうも『言えない』のではなく
『表現できない』のだそうです

患者の訴えを聞いても
自分の言葉で置き換える事もできない
医療用語に当てはめてみようとするが
そもそもきちんと理解できていないので当てはめられないのが現実のようです
『つまりコミュニケーション能力の低下?』とひとくくりにはできません
杉本先生に怒られてしまいます
あるコンテクストにおいて
コミュニケーションはとっているけど
自分の考えをきちんと相手に伝えられないし
相手のメッセージも正しく同じように受け止められない
語彙力の低下がそこに存在するということです

『先生それってどういうことですか?』
きょとんとした顔をしながら発するこの何気ない質問の中には
とても深いい意味があったのかも知れないのです

ということで
研修医の態度が云々と上から目線だけで捉えることは難しそうです

とにかく大学という環境に「適応」させるため
私たち指導医や教員は
入学してきた学生を「高校生レベルの学び」から本来の「大学生レベルの学び」に「転換」させることを考えないといけないようです

では『リメディアル教育』を実践すれば医学生から変えられるか?と言うと
どうも『No!』と言うしかないですっていうのは次回の話題


参考資料:
Benesse 教育研究開発センター 記事

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