聖マリアンナ医科大学病院臨床研修Blog

聖マリアンナ医科大学病院に勤める研修医たちの日々の情報をリアルにお届けいたします。

臨床研修とコンピテンシー?

2009-10-04 22:29:42 | 医学教育
現時点でできる能力abilityから
自分で解決できる能力自己指示的学習能力であるcapabilityを修得するようになれば
ずっと継続して学習していくように成長したことになる
これが医師の生涯学習と言われています

医師としてのプロ意識に目覚めた段階とも言えます
自己を振り返り問題解決していく能力を修得したわけですから

つまりすべてを教えることではなく
このような能力を身に付けさせればいいのだという発想です
これもあれも教えることが研修で求められていないということ

ここでいつものセリフです
あなた方研修医はいったい何種類の病気や何人の患者さんを受け持ったら自信がつくというのですか?

研修において
一定のサポートのもと安全に医療が実践できる段階をcompetentといいます
このレベルに達する事が望まれるわけですが・・・・
competentって?
辞書で引くと要求にかなう・十分な・(行為が)許容されるなんて意味があります
これは「ボクは~できます」って口で言うより
実際に臨床において行動することが重要
そこで初めて「できる」と評価されますよね
このレベルをcompetentというのだと思います

さて・・・・今人事考課で「コンピテンシー評価」っていうのがあるのをご存知ですか?
というより聖マリアンナ医科大学では最近受けた病院機能評価で
医師の自己評価でこの「コンピテンシー評価」を記入したのを覚えてますか?
このときこの評価のことを担当したんですよね~
なんだかそんなことばっかりやって~って呆れないでください
好きで担当した訳でもないんです・・・・・・はい・・・ま・嫌いじゃないですけど・・ははは


この「コンピテンシーcompetency」ですが・・・・
よく臨床でも指導医たちが研修医を捕まえてこう評していることがあります
「あいつは基本がわかってない」とか
「いくら頭がよくて理屈がわかっていても実際にできなきゃ意味ね~ヨ」って
これって評価的な発言・・・・・まさに行動評価ですね
臨床家を自負すればするほどこの発言が多いですし意味もよくわかる
医療現場にこそふさわしい評価的発言とも言えますが
企業におきてはこのような評価が人事考課で用いられてて
この場合コンピテンシーは「高い業績をあげるための能力や行動」などと説明されてます
そしてその評価のためにも「具体的な事実に基づいて」行われるべきなのです

おろ?ポートフォリオっぽくないですか?
さらにさらにこの「コンピテンシー評価」においてはしばしば360度評価っていうのが
行われるわけですよ・・・・・・ほらほらまた出てきた
聖マリアンナ医科大学の研修医や指導医の評価表もこれだったのですがわかりますか?


ある研究家は「コンピテンシー」はわかりやすく考えればスキルに近いと説明してます
確かにね~

以前解説した「指導医ガイドライン」によれば
この「コンピテンシーモデルを用いた行動評価」にはこのように説明されています
つまり・・・・
医療者として高い業績(パフォーマンス)をあげるような望ましい行動を明示するということは
企業にあてはめるとその病院において「期待される人間像・医師像」を提示することである
ただ医師は個人で評価されることが多いのでこの場合は
「医師として求められる行動」としてとらえるべきであり
「患者から見た望ましい医療人像を提示するもの」として考えるべきとしています

だからこそ「・・・・できる」ではなく「・・・・する」といった評価項目が求められ
どんなに「する能力」があっても実際に行動できなければ評価されない
そのもっとも最たる職業人である医師にこそこの評価が重要なんだと感じます
研修病院を評価する機構もありますが
そこでもコンピテンシー評価は重視していて
360度評価を行っているかって注目してますよね

ここで面白い興味深い論文を発見
まったく医学に関係ないですが・・・・
ある関西の大学の卒業論文だと思いますが
「学生の就職活動が個人の成長を促している」というもの
このとき自己受容度と社会的コンピテンス能力に着目
説明しよう!
自己受容とは「自己の現実の姿について正確な観察を行いその姿をありのままに受け入れる」(Combs&Snygg,1949)こと
コンピテンスとは環境との積み重ねの結果生じるものつまり効果的に環境と相互作用する能力と定義(White,1959)。


その結果は非常に興味深い
大学生は3年生のときより4年生のほうが
自己受容度・コンピテンスともに大きな伸び率が認められたというもの
だって4年生になると就職活動のためにまず
現在の自分を他人それも全く知らない人にわかってもらわなければならない
自分がどれだけできるのかしっかり自分を見つめ直し
自己分析「自分を深く掘り下げ過去の自分を振り返り現在の自分も見直すこと」を行ったことで
自分を理解し自己の存在価値を認めるようになったんだそうです
コンピテンスについては
社会に自分自身をより近づけようと努力をしていることが成長率から見られ
より多くの社会の情報を得ようと他者や周囲に目を向けて
「自己を見つめるのみだけでなく他者との関わりの中で自分自身の位置を定めていること」になった

ほらほらこれって面白くないですか~?
だって医学部ってこれまで就職活動なかったわけでしょ?
ところがここへきて急にマッチングなわけ
これがどういった影響を医学生に及ぼすか興味深いですよね

つまり本学の聖マリアンナ医科大学の医学生が一生懸命マッチング対策をとるということは
ほらほら・・・・・悪くないんじゃないですかね?
そして聖マリアンナ医科大学の臨床研修がこれらの振り返り・自己分析を積極的に行う理由
ポートフォリオを用いて何を促しているか
どうですか?わかっていただけますか?
研修医の皆さ~ん!ほら何をすればいいのか
何をすれば自分がどうなるのか見えてきましたか?

もうひとつ面白い結論
楽観主義者の方が悲観主義者よりも就職活動において納得いく成果を得ているんだって
もっともこれは言い切るほどのデータではなかったらしいですが・・・・ふ~ん
マッチングで満足するには楽観的にいきなさいってことかしら?


長い書き込みですが許してくださいませ

でも個人的には面白いな~って調べてて思っちゃいました



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