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庭に植えるツバキ

2021-08-18 18:21:31 | 北海道北限のツバキ探索

 法華寺のツバキを見終えて車に戻ろうとすると、門の向こうに海が見えたので、足が自然に動きました。

 

 
 目の前に小さな港が広がっていました。


 空を覆う雲の下で、平穏な日本海が水平線を見せていました。


 徳川幕府の軍艦が沈んだ海とは思えぬ、どこにでもありそうな平凡な景色でした。


 踵を返し、寺の石段を駐車場へ向かうと、掲げられた「法華寺 縁起」に気づきました。


 「当山は大永元年(1521年)に上ノ国勝山に創立し、寛文5年(1665年)に江差に移転、享保元年(1716年)に復建した、総欅作りの古刹である。


 山門は檜山奉行所で使用されていた門で、1678(延宝6)年に建造され1882(明治15)年に法華寺に移された北海道最古の建造物の一つで、本堂の天井に描かれた「八方にらみの龍」は、京都に生まれた江戸時代の文人画家 、池大雅の作と伝えられる。」

 

 などが記されていました。

 

 
 文中に記された大永元年(1521年)の古さに興味を覚え、江差、松前の歴史を調べてみました。


 和人が北海道に移り始めたのは、私が認識していた時代より更に前の、室町時代の頃からだそうです。

 

 徳川幕府成立後の慶長9(1604)年に松前藩が成立しましたが、ちょうどその頃、京都の花山院忠長らの青年公家達が、後陽成天皇が寵愛する女官たちと密通、それが発覚して、忠長等は松前に流刑、それを契機に松前藩と京の公家達との交流が始まります。

 

 更には近江(滋賀)商人との交易も進んで、松前や江差に京文化が運ばれるようになりました。

 

 ツバキも多分、その頃に持ち込まれた筈です。


 しかし北海道に持ち込まれたツバキは、人間が他の植物との競合から守らなければ、生存競争に負けて消滅します。

 

 庭に植えたツバキが生き続けることと、ツバキが自生することは全く次元が異なるのです。


 それはヤブツバキも園芸種も同じで、数多くある我が国固有のツバキ園芸種は、文化財保護と同様に対処しなければ必ず消滅します。


 そう書くと「そんなことをして何かの役に立つか」という意見が出ますが、その意見には、東京大学小石川植物園等で保存されてきた江戸時代からの変化アサガオ群が、動く遺伝子・トランスポゾンの研究に大きく貢献した例などを示し反論することができます。


 ですが、科学の発展の多くは、何かの役に立つか否かではなく、純粋でひた向きな探求心の結果であることは、良く知られた事実です。


 あれれ、 「法華寺 縁起」から、あらぬ方向に話が脱線しましたが、「旅は気まぐれ風任せ」が私の旅のスタイル・・・ いえ、あの、その、どうぞ大らかな目で見てやって下さい。

 

 法華寺を出て、すぐ近くの江差姥神大神宮を訪ねました。

 

 
 ネット検索で、この神社にツバキ咲く情報を得ていたのです。


 ふむふむ、確かに。

 

 桜の木の下に一株のツバキが緑の葉を茂らせていました。


 境内に育つ数本のツバキを見て、江差も松前同様、ツバキが普通に育つ気象条件であることを理解しました。

 

 
 江差姥神大神宮のツバキを確認し、道南のツバキ探索を終了しました。


 次に目指すは余市町のツバキですが、その前に、日本最北の茶の木が育つ古平の禅源寺に寄り道します。


 江差でナビに古平の住所を入力すると、走行距離約220km、5時間強が示されました。


 無理をせずに、禅源寺は明日訪ねることにして、今夜は積丹半島の海辺で夕日を眺めながら晩酌を楽しもうと考えました。

 


 江差のコンビニで買ったパンとコーヒー牛乳で、運転しながら昼食を済ませました。


 ナビのお姉さんに言われる通り、熊石から八雲へ抜けて国道をはしり、長万部からニセコを経て岩内に着いたのが16時半頃でした。

 

 数年前にニセコ連山の花の百名山である目国内岳に登り、この辺りを見下ろした光景を思い出しました。

 

 積丹半島の付け根に開けた、僅かな平地の佇まいが脳裏に浮かびます。

 

 そんな侘しい街のスーパーで夕食を購いました。


 今夜のメインディッシュはタコ飯

 


  酒の肴は生ウニ

 

 
 そして酒は青森のスーパーで手に入れた「桃川」です。

 


 海辺のパーキングに車を止め、後部座席をフラットにし、潮風を車内に導き、まだ暮れやらぬ、19時半頃からコップ酒の一人宴会を始めました。

 

 
 ほんと! 金もかけずディオゲネスを気取って、幸せな人生だな~

 

 ムムム・・そう云えばたしか、ディオゲネスは食べたタコに当たって死んだそうです。

 

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