相場博士(ファンドマネージャーのテクニカル分析)

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ランダムウォーク理論対テクニカル分析

2006-05-06 00:40:07 | 相場雑学
ランダムウォーク理論テクニカル分析

将来のことは誰にも分からないという人が居ます。金融市場の予測なんて分からないに決まってると。これを運用会社の人が平気な顔で言うのにはびっくりです。小生には自分の仕事を放棄しているような気がしてなりません。

小生は百歩譲ったとしてもこう言いたいです。『いつも分からないわけではない』と。あるいは『分かるときもかなりある』と。

読者の皆さんには、ご存知の方も多いと思われますが、効率的市場仮説(この場合ウィーク型)とかランダムウォーク理論とかいう言葉があります。簡単に言うと、それは過去の値動きから将来の予測をすることはできないというものです。

ランダムウォーク理論によれば、市場価格の変化はそれぞれ独立したものとされます。したがって、過去の値動きは将来の価格の方向性を予測するに際して信頼すべきではないこととされています。この理論は効率的市場仮説を基に、市場価格は本質的価値の周辺をランダムに変動するものと考えます。そして最良の市場戦略は、市場に打ち勝とうとするのではなく、極めて単純なBuy and Hold 戦略にあるとするものであります。
 
 ランダムウォーク理論は、市場価格がトレンドを形成することを疑問視するものでありますが、実務界で多くのトレンド追随型システムが収益を上げているという事実をどう説明するのでしょうか?もし、市場価格が予測不能で、トレンドを形成しないとすれば、市場参加者は如何にして市場の強気、弱気を判断するのでしょうか。Buy and Hold戦略は、市場価格の長期下落トレンドが続く場合は実践すべきではないのではないかといった疑問が残るのであります。

 小生の経験では、日中の値動きは確かに予測が難しいのもがあります。あまりにもノイズが多く、イントラデーの値動きが細か過ぎるからです。しかし、その日中の値動きにも、時々、規則性や市場特有の変動パターンが見られるときがあります。また、日々の終値を繋いだチャートであれば、過去の経験則が活かされるときもかなり多く見られます。テクニカル分析によってかなり相場予測の参考になったことが多かったのです。

 テクニカル分析は、過去の市場価格の変動パターンを通じて将来の参考にするものであります。たとえそれが100%当たらないからといって全てを否定するアンチチャート論者とは初めから議論がかみ合わないものなのです。だいたい100%なんていう『絶対』の世界は『死』と『税金』だけなのです。
 
小生が参考にしているP&F、エリオット波動、罫線、移動平均線などのテクニカル分析、そして行動ファイナンスは、こうした効率的市場仮説やランダムウォーク理論に常に挑戦しているのです。