里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

ミヤマウズラ 常緑の野生ラン

2018-02-07 | 日記
石巻市北上町十三浜地区、海岸から程近い丘陵を上っていくと、落葉広葉樹が茂る
なだらかな稜線に出ました。稜線上の高みに向かって、ツツジなどの潅木をかき分けて
ゆるやかに上っていくと、杉や樅などの針葉樹が7~8本そびえる一角があって、その
木陰にミヤマウズラが点々と生えていました。
常緑の野生ランで、夏に小さな花は咲きますが、それよりも葉に入る斑紋の変化を楽しむ
愛好家の方が多いようです。




                              二枚とも2018.2.4撮影

この自生地は針葉樹に囲まれているため、周囲の雑木林に比べればかなり薄暗い場所です。
そのためか葉に入る斑紋が不明瞭で、観賞価値は低い部類に入るでしょう。
アカマツ林や雑木林に生えている株の方が、クッキリとした斑紋が入り、その色や模様の変化も
多いというのが私の印象です。一説には、人の指紋同様に、全く同じ斑紋はないのだとか。

ミヤマウズラの名の由来は、葉に入る白い斑紋が、ウズラの羽根の模様に似ていることから。
この斑紋が美しいことから、江戸時代後期には「錦蘭」と呼ばれた古典植物で、上級武士や富裕な
商人の贅沢な趣味として、人気を集めたようです。
ただ、当時は栽培方法が確立していなかったようで、その後は下火になったといわれています。
近年は栽培技術が確立したことで、また愛好者が増えているようですね。


                                  2018.2.4撮影

ラン科シュスラン属の常緑多年草で、北海道中部~九州に分布する。
ミヤマが付くものの、深山や亜高山のみならず、丘陵~低山の林内にも自生する。
根茎は細く、多くの節がある。茎は直立し長さ4~6cm。
葉は互生し、葉身は卵形で長さ2.5~5cm、4~6個付く。全縁で先端は尖り気味。
葉表は暗緑色で白い斑紋があり、葉裏は淡緑色。葉質はやや厚い革質。
花期は8~10月で、長さ5~12cmの花茎を伸ばして、茎頂に長さ3~10cmの穂状花序を出す。
一方に片寄った疎らな花穂に、5から10個の白~淡紅色の花が付き、長さは1cmほど。
萼片3個、先端の内側に黄褐色の斑点がある。 


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